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事実婚のメリットとデメリットとは

婚姻という形に縛られない事実婚を選択したときに、法律上どんなメリットやデメリットが発生するのでしょう?事実婚を生涯続けた場合の財産などはどうなるでしょう?事実婚のメリット・デメリットを簡単にご紹介します。

池田園子

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目次

  1. ○事実婚のメリットとデメリット
  2. ○メリット1.どちらかが姓を変える必要がない
  3. ○メリット2.法的拘束がないので対等なパートナーシップを結べる
  4. ○メリット3.関係を結ぶのも、別れるのも楽である
  5. ○メリット4.家族や親戚と付き合うときの距離感を、自分の意思で決めやすい
  6. ○メリット5.もし別れても、戸籍にその履歴が残らない
  7. ○デメリット1.税金の配偶者控除が受けられない
  8. ○デメリット2.子どもが非嫡出子になる
  9. ○デメリット3.パートナーに相続権がない
  10. ○デメリット4.夫婦の証明が難しい
  11. ○デメリット5.周囲からの理解を得にくい
     
    • 事実婚のメリットとデメリット

      ここまで、婚姻関係を結ばないカップルたちの幸福な事例をご紹介してきましたが、この項目では、少し現実的なお話をしたいと思います。
      実際に事実婚を選択したときに、法律上どんなメリットやデメリットが発生するのか、事実婚を生涯続けた場合の財産などはどうなるのか。
      婚姻関係を結ばないという、自由な関係を結びたいと思っても、結婚する場合としない場合で、どんな違いがあるのか、正しく知らないことには決められないでしょう。
      法律婚(届出婚)と比べて事実婚は、今の日本ではマイナーな位置づけです。事実婚とは、自他ともに夫婦であるという認識を持ち、家族として共同生活を送っているものの、婚姻届を出していないカップルを指します。
      すでに前項で記述しましたが、事実婚を選択する方々から話を聞いていると、ふたりの間で納得し、お互いを尊重しながら、自由なパートナーシップを築いていて、内実は法律婚の夫婦と変わらないな、と改めて思いました。
      けれども、法律上の両者の差は、婚姻届という書類を提出したか否か、だけではありません。
      では、事実婚のメリット・デメリットを簡単に5つずつご紹介します。
      事実婚のメリット

      1.どちらかが姓を変える必要がない

      2.法的拘束がないので対等なパートナーシップを結べる

      3.関係を結ぶのも、別れるのも楽である

      4.家族や親戚と付き合うときの距離感を、自分の意思で決めやすい

      5.もし別れても、戸籍にその履歴が残らない

      事実婚のデメリット

      1.税金の配偶者控除が受けられない

      2.子どもが非嫡出子になる

      3.パートナーに相続権がない(遺言が必要)

      4.夫婦の証明が難しい(生命保険の受取人指定や、病院に搬送されたなど緊急のとき)

      5.周囲からの理解を得にくい

      一言でまとめると、事実婚のメリットは、拘束のない自由な関係性と、手続きが楽だということ。デメリットは、法律上のさまざまな補助を受けにくいことと、周囲から理解されにくいことです。

       

      では、メリットとデメリットをひとつずつ見ていきましょう。
    • 1.どちらかが姓を変える必要がない

      結婚、離婚を経験した私自身の体験からも感じる事実婚のメリットは、なんといっても姓を変える必要がないことです。法律婚をする際に姓を変える手続きは、想像以上に煩雑で面倒なのです。
      私は、入籍と同時に姓を夫のものに変更しました。夫が私の姓に変える可能性はお互いに考えていませんでした。私自身も、どちらかというと旧姓(池田)よりも夫の姓のほうが好みだったので、姓を変更すること自体に抵抗はありませんでした。
      しかし、戸籍上の姓変更に伴い、運転免許証や保険証、パスポート、印鑑、クレジットカード、銀行口座名義、クレジットカードで自動引き落としにしている各種サービスなど、ありとあらゆるものの氏名変更手続きに取り掛かったとき、その作業の大変さを実感しました。
      とくに年末に差しかかり、何かとやることが多い時期、どうして私だけが膨大な時間を割いて、面倒な手続きをしなければならないのか……と、イライラしたこともあります。
      たとえば、クレジットカードの名義変更は行っているのに、クレジットカードで引き落とす契約にしているサービスが旧姓のままだと、システムは「姓が異なっていておかしい」と判断し、引き落としが行われません。
      あらゆるものの変更手続きを行わなければ、このようにさまざまな不都合が出てきますので、どんなに忙しくても、なるべく早く変更を行う必要があったのです。
      また、仕事の場面でも、さまざまな手続きが発生します。
      まず、取引先に対して、夫の姓に変更したため本名及び銀行口座名義が変わったこと、ただし仕事(メールのやりとりや原稿の署名)は今までどおり「池田」で続けることの2点を伝えました。
      その後も、場合によっては取引先登録簿の再提出をしなければならなかったり、請求書に記載する氏名を本名に統一する必要があったり、逆に旧姓のままでも問題なかったり……と、旧姓と新姓との間を行ったり来たりする、どっちつかずの奇妙な感覚があったのを覚えています。
      仕事の現場では旧姓が浸透しているため、改めてそれを覆すのには抵抗がありました。今まで積み上げてきたキャリアが、違うものになってしまうような感覚があったからです。
      そのため、仕事の現場ではずっと旧姓で通してきました。
      けれども、公的な場では新姓で呼ばれることが多くなるため、戸惑いを感じることがありました。
      当初は夫の姓に変わることに抵抗がありませんでしたが、もし諸外国のように夫婦別姓が許可されているなら、姓の変更はしなかったと思います。
      先日、夫婦別姓制度が最高裁で却下されましたが、結婚したふたりのどちらかが、こうした不都合を受けることのない法律が一刻も早く整備されるようにと、強く願っています。
    • 2.法的拘束がないので対等なパートナーシップを結べる
      3.関係を結ぶのも、別れるのも楽である

      事実婚を選ぶ人たちにお話を伺うと、この2点に魅力を感じる方が多いようです。
      先ほどの項でうまくいっている事実婚カップルの事例をご紹介しましたが、「結婚」という法律上の契約を結ばないことで、いい意味でも悪い意味でもふたりの間に緊張感が生まれます。事実婚で子どもを持たないカップルの場合は、長く同居して連れ添っても、ふたりを結びつけるのはお互いへの愛情だけ。
      その結果、相手を大事にしようという気持ちが生まれ、日常でもこまやかな気遣いが絶えません。
      たとえば先ほど述べたカップルの事例では、休日は趣味の仲間との交流を一緒に楽しんだり、ふたりの記念日に必ず正装して食事をしたりと、子どもを持つ夫婦では失われがちなふたりの時間を、大切にしていました。
      逆に、こうしたふたりの間の交流が失われると、別れるのも簡単です。一生、ふたりが同じ気持ちでいられるかどうかは誰にもわかりませんし、年齢やライフスタイルの変化によってはパートナーとの関係がうまくいかなくなることもあります。
      そうした変化に対応しやすいという点ではメリットですが、相手との強固な関係を望む方にとっては、デメリットと感じられる点かもしれません。
    • 4.家族や親戚と付き合うときの距離感を、自分の意思で決めやすい

      30代に入ると、「今お付き合いしている方はいないの?」「そろそろあなたもいい年よね」といった親や親戚からの言葉にプレッシャーを感じる方も多いでしょう。
      また、長男だから、ひとりっ子だから、後継ぎだからといった「家」に関わる理由で、「なんとしてでも結婚して、子どもを授からなければならない」と重圧を感じている方もいます。
      いざというとき頼りになるのは血縁のある親や親戚、という考え方もありますが、結婚しない生き方を選ぶ方たちは、どちらかというとこのようなプレッシャーや圧力から逃れたいと思う方が多いようでした。
      自由な生き方を選びたい方にとっては、このような圧力は、ストレスに感じられるのでしょう。
      確かに血縁は強固な結びつきを生みやすいですが、自分では選べないもの。第1章でお伝えしたように、自分の求める仲間と、求める形で助け合いの信頼関係を結びたいと思うのなら、親戚とも心地いい距離感で付き合いたい、という気持ちは理解できます。
      そういったとき、「事実婚」という形式をとることで、正式な結婚をした場合より、パートナーの親や親戚との付き合い方を、比較的自由に選べるようになります。
      相手の親や親戚との交流は、結婚では「義務」になりがちですが、事実婚では距離感を自分の意思で選びやすいのです。
    • 5.もし別れても、戸籍にその履歴が残らない

      結婚・離婚は、制度上は「籍の移動」の問題です。離婚すると、姓を変更した(籍を移動した)人は原則的に旧姓に戻る(婚姻前の籍に戻る)のですが、その履歴は戸籍上に残ります。つまり、どこに籍を移し、どこに戻ったかという戸籍の移動は、さかのぼって見ることができます。
      もちろん、普段の生活では戸籍を見ることはほとんどありませんし、不都合はないでしょう。けれども、戸籍という正式な書類に結婚・離婚の履歴が残るのは抵抗があるという方もいます。
      離婚したという過去を忘れて、自由になりたいと願うためです。
      しかし、事実婚の場合は、そういった履歴は一切残ることがありません。気持ちの上でも制度上も、自由で身軽な関係を結ぶことができると言えるでしょう。
      次に、事実婚のデメリットを見ていくことにしましょう。お金の話が多くなりますが、まずはこちらです。
    • 1.税金の配偶者控除が受けられない

      今の税制は、事実婚に厳しいと言えます。内実は婚姻関係と変わらなくても、パートナーのどちらかに収入がない場合の配偶者控除は受けることができません。
      また、不妊治療を受けている場合でも、法律婚では「特定不妊治療費助成」という控除を受けられますが、事実婚は範囲外となっています。
      とはいえ、健康保険や年金などの社会保障制度では「家族として暮らしている」という事実を重視するため、収入などの条件を満たせば、パートナーの扶養に入ることが可能です。
      事実婚では、法律婚と同じ権利が認められている部分と認められていない部分がありますので、制度面についてはよく確認してから決めることをおすすめします。
    • 2.子どもが非嫡出子になる

      非嫡出子とは、婚姻関係にない男女の間に生まれた子どものことを言います。逆に、嫡出子とは、婚姻関係にある男女の間に生まれた子どものことを指します。
      非嫡出子が法律上の不利益を被ると言われる背景には、大きく相続時の問題と、戸籍の問題のふたつがあります。
      相続に関して言うと、2013年まで、非嫡出子の法定相続分は、嫡出子の半分と定められていました。
      けれども、2013年以降は民法の一部が改正され、非嫡出子は嫡出子と同等の法定相続分を持つことができるようになりました。
      ですので、現在の民法上、非嫡出子は認知されてさえいれば、相続の面で不利益を被ることはありません。
      戸籍に関しては、非嫡出子は自動的に母の戸籍に入ることになります。未婚の母、親が離婚した場合、または父親に他の配偶者がいる場合も同様です。
      ですので、何もしなければ、子は母の姓を名乗ることになり、親権も母が持ちます。戸籍に父は記載されません。
      けれども、父親が認知をすれば、戸籍に母と父の両方が揃うことになります。
      事実婚で子を持つ場合、父親はすぐに認知をするケースが多く、この点はパートナーときちんと話し合えば、問題がないでしょう。
      ですが、もし子どもが父親の姓を名乗りたい場合は、子を父親の養子にするか、一時的にふたりが婚姻関係を結ぶ必要があります。
      このように、相続、戸籍の問題ともに、認知という処置をとることができれば、現実的な不利益はありません。また、それ以外の点でも、子どもが法的に弱い立場になることもありません。
      けれども、子どもが大きくなったとき、戸籍を見て驚くことのないよう、きちんと説明をして、理解させてあげる必要はあるでしょう。
      残る問題は、周囲からの目だけです。
      実質的には婚姻関係を結んでいる家族と変わりがなくても、母親の姓を名乗ることで周囲から「なぜ?」と聞かれることもあるでしょうし、親や親戚の理解を得る必要もあります。
      時には、親が結婚していないことが原因で、子どもが学校でクラスメイトにいじめられるということもあるようです。
      事実婚を選ぶ夫婦が多くなっているとはいえ、日本ではまだまだ理解が進んでいないのが現状。「いちいち説明するのが大変だ」と感じる人も多い中で、根気強く理解を求める姿勢が必要かもしれません。
    • 3.パートナーに相続権がない(遺言が必要)

      事実婚では、パートナーに相続権が認められません。
      事実婚カップルで子がいる場合、親子間での相続は法律婚と変わりませんが、パートナー間で籍を入れていない状態では、相続の権利がないのです。
      家族として暮らしている以上、もしどちらかが事故や病気で倒れた場合は、パートナーが看病をするでしょう。場合によっては長期に渡る介護を引き受けることもあります。
      そういう状態でもしパートナーが亡くなったとしても、相続権がないのです。
      ですから、もし最後まで事実婚で添い遂げるのであれば、遺言状を早めに作成することが不可欠です。
      けれども、血縁のある法律上の相続人の申し立てによっては、財産の一部をあきらめなければならない場合もあります。また、法律婚では免除される相続税が、事実婚では控除の対象になりません。パートナーの死後、相続人の申し立てで家を出なければならなくなったりと、つらい立場に置かれることもあるようです。
      もちろんお金のために相手と一緒にいるわけではありませんが、資産額が大きい場合はとくに、事実婚は税制上不利と言えるでしょう。
    • 4.夫婦の証明が難しい

      事実婚では、生命保険の受取人指定や、病院に搬送されたなど緊急のとき、夫婦の証明がしにくい場合があるようです。
      パートナーが急な事故などで病院に搬送されたり、病気などで入院した場合、姓が違うと家族と認められず、面会させてもらえないこともあるそうです。
      多くの事実婚カップルは、同じ住所に住んでいるという住民票を婚姻関係の証明としています。また、手製の婚姻契約書や、連名になっている賃貸契約書なども事実婚の証明となるそうです。
    • 5.周囲からの理解を得にくい

      非嫡出子の問題の箇所でも軽く触れましたが、事実婚の数は増えてはいるものの、まだ社会的な理解が進んでいるとは言えません。お互いに納得して選んだ婚姻の形でも、周囲からさまざまな質問をぶつけられ、いちいち説明させないで! という気持ちになるかもしれません。
      では、こういった状況は海外でも同じなのでしょうか。
      諸外国では結婚に関してどんな状況なのか知ることで、私たちの現状を見る目も変化するかもしれません。

はたらく人の結婚しない生き方

池田園子

クロスメディア・パブリッシング

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