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食品業界を知り尽くした男が教える!失敗しないお肉の選び方

スーパーで肉を買う時、肉の種類や値段以外には何をチェックしていますか?消費期限やパックの中のドリップなどを見るのではないでしょうか。しかし、肉の本当の鮮度を知るには他の部分にヒントが隠されているのだそうです。これを読めば新鮮なお肉が買える!”ズルい”スーパーが見抜ける!購入時のチェックポイントをご紹介します。

河岸宏和

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目次

  1. ○肉を買う場合は、まず加工所の所在地をチェック
  2. ○日本の食品には「製造日」や「加工日」がほぼ表示されていない
  3. ○外注の工場でスライスした肉は鮮度が悪い
  4. ○肉を店内で加工処理しているスーパーの見抜き方
  5. ○肉を割引販売しないズルいスーパーに要注意!
  6. ○豚のひき肉に、硬くて獣くさい親豚の肉を使うケースも……
     
    • 肉を買う場合は、まず加工所の所在地をチェック

      スーパーの「精肉売り場」には、私たちの食卓に欠かせない鶏肉や豚肉、そして、牛肉などが並んでいます。例えば、豚肉であれば「ロース切身」「ロースブロック」「バラうす切り」「こまぎれ」といった具合に、それぞれの肉にはさまざまな種類があり、その多くは、あらかじめ小分けした状態(パック詰め)で販売されています。
      皆さんは肉を買うとき、肉の種類や値段以外に、何をチェックしていますか?
      おそらく「消費・賞味期限」かと思います。
      しかし、それよりも優先して、確かめるべきことがあります。
      それは「加工者名と所在地」です。この部分をチェックすることで肉の鮮度がわかるわけです。食品表示にかかる基準をまとめた法律である「食品表示法」では、原材料名などが書かれている一括表示を、容器包装に載せることを義務付けており、加工者名と所在地も明記しなくてはなりません。
      肉は、それが鶏肉であれ、牛肉であれ、豚肉であれ、一番美味しいのは「スライスされてから、時間が経過していないもの」です。
      鶏肉を買ったとき、パックの中に赤い汁が溜まっていたことはありませんか? この赤い汁は、〝ドリップ〞と呼ばれる肉の旨味成分です。このドリップは、スライスした状態で置いておくと、切断面から、流れ出してしまうのです。ドリップがパックに溜まった頃を見計らい、ふき取って、再パックし、消費者にはわからないようにしているスーパーもあります。
      100グラム2000円の高級牛肉でも、ドリップが出尽くしたものは、まったく美味しくなく、単なる肉のカタマリです。それならば、スライス仕立ての100グラム500円の安い牛肉のほうが、断然美味しいでしょう。
    • 日本の食品には「製造日」や「加工日」がほぼ表示されていない

      では、肉がスライスされてから、どのくらい時間が経過しているかは、どのように見極めればよいのでしょうか。真っ先に思い浮かぶ「消費・賞味期限」は、あくまでも「その食品が食べられるリミット」ですから、スライスされた時間を把握することはできません。
      本来であれば「肉をスライスした年月日(加工日)」がわかればベストなのですが、食品表示法では、一部食品(ふぐ加工品など)を除いて、製造日や加工日を表示しなくてもよいことになっています。消費者を第一に考えたスーパーや食品メーカーであれば、製造年月日を明記していますが、それはほんの一部です。
      「え、本当に?」と驚いた方は、冷蔵庫に入っている食品をチェックしてみてください。
      ちなみに、1995年4月までは、日本では食品の製造年月日や加工年月日の表示が義務付けられていました。
      なぜ、表示義務がなくなったと思いますか?
      製造年月日や加工年月日の表示があると、古いものが売れなくなるといった理由や、輸送に時間がかかる輸入食品に不利になるといった理由で、難癖をつけた食品業界の圧力により廃止されてしまったのです。
      肉をスライスした日(加工年月日)がわからない以上、ほかの手がかりで見極める必要があります。それこそが前述した「加工者名と所在地」なのです。
      肉の加工所がスーパー内でない場合の食品表示(例)

      肉の加工所がスーパー内でない場合の食品表示例

          加工者名が「○○ミートセンター」や「○○パックセンター」など、スーパーと違う場合は、スライスされてから時間が経過して、鮮度が悪い可能性が高い。

    • 外注の工場でスライスした肉は鮮度が悪い

      スーパーが肉をスライスする場所は、大きく「スーパーの厨房」と「外注の工場」「自社の精肉加工センター」に分かれます。以前は「スーパーの厨房」でほぼ占められていましたが、肉をスライスする職人の人件費を削減するために、「外注の工場」に委託し、そこでスライスしたものを仕入れるスーパーが増えてきています。
      あるいは、スーパーが「自社の精肉加工センター」を設置し、そこでスライスとパック詰めを行うケースもあります。また、肉の種類によって「スーパーの厨房」と
      「外注の工場」、「自社の精肉加工センター」を使い分けているケースもあります。
      このうち、肉の鮮度が一番悪いのが「外注の工場」です。外注の工場の場合は、小さな規模のところが多く、前日の8時〜17時の間に、スライスとパック詰めを行い、翌日出荷しているところがあります。これよりも早い時間や遅い時間だと、余計な人件費がかかるため、日中にしか作業をしないのです。
      「外注の工場」であるかは、加工者名と住所を見れば一目瞭然です。
      表示ラベルの住所がスーパーの住所と一緒でなければ、それは「外注の工場」でスライスされた肉ということになります。その多くは「○○ミートセンター」や「○○パックセンター」といった名称で、住所がスーパーから離れているほど、鮮度は落ちていきます。
    • 肉を店内で加工処理しているスーパーの見抜き方

      ちなみに、最近では、コンビニエンスストアでも、パック詰めされた肉が販売されるようになっています。「でも、なんか質が悪そうだし、絶対に買わない」と、敬遠している方も多いのではないでしょうか。
      しかし、それは思い込みであって、真実ではありません。例えば、セブンイレブンでは、専用の精肉加工センターを持っており、そこでは、深夜0時にスライスし、朝7時に店に並べる体制が整っています。「外注の工場」の多くが、8時〜17時勤務であるのに対し、コンビニの工場は、24時間稼働しているため、こうした差が生じます。コンビニの肉は、「外注の工場」よりも、よっぽど新鮮なのです。
      しかし、コンビニの肉も「スーパーの厨房」でスライスして、パック詰めされた肉の鮮度にはかないません。スーパーが「自社の精肉加工センター」を持っている場合も、当然、スーパーの厨房での加工にはかないません。
      それだけにまずは「加工者名と所在地」を確認し、そのスーパーの住所が書かれたものを選ぶことが大事です。スーパーが「自社の精肉加工センター」を持っている場合は、スーパーとの距離をチェックしましょう。
      店内の厨房でちゃんと肉の加工処理を行っている大手スーパーは、「ライフ」「イトーヨーカドー」「サミット」などです。
    • 肉を割引販売しないズルいスーパーに要注意!

      ところで、食品表示法では、肉について「冷凍・解凍品の場合はその表示」が義務付けられています。冷凍・解凍品については、食肉処理されて、すぐに凍結されたものであれば、ドリップはとじ込められたままのため、美味しさは保たれています。
      しかし、こんなケースもあります。
      通常、チルドの鶏肉は、消費・賞味期限を表示して販売し、売れ残ると破棄しますが、スーパーによっては、消費・賞味期限が切れる直前に凍らせています。そうして、あらためて解凍し、新たな消費・賞味期限をつけて再販売するのです。
      「そんな不正をしてもいいの?」と、思うかもしれませんが、違法ではありません。消費・賞味期限は、一度決めた期限を変えてはいけない、という法律は存在しないからです。
      ずっとチルドのまま販売されていた肉ですから、ドリップは出尽くしており、鮮度は悪いに決まっています。そんなシロモノを凍らせて、その後溶かして再販売しても美味しいはずがありません。
      こうした劣悪な肉の見極め方は難しいのですが、チルドの鶏肉の場合、賞味期限が近付いているのにもかかわらず、割引で販売していないスーパーは要注意です。
      また、スーパーの中には、精肉店が入り、対面販売しているケースもありますが、この場合も、閉店間際になっても「20%OFF」といった具合に、割引販売しないところは注意してください。売れ残ると少量ずつパック詰めして、あらためて販売するケースがあるからです。
      鶏肉の再販売のカラクリ

      鶏肉の再販売のカラクリ

    • 豚のひき肉に、硬くて獣くさい親豚の肉を使うケースも……

      スーパーがこのようにして、消費者をあざむくのは、「肉の味なんて素人にはわからないだろう」という考え方が根底にあるからです。
      その一例を紹介しましょう。
      スーパーの肉売り場の定番商品である「豚のひき肉」。通常は、ロース肉やバラ肉、もも肉などを取り終わったあとの残りの部分をひき肉にしていますが、スーパーによっては、ひき肉用の豚を使っているケースがあります。
      私たちが普段食べているのは、生まれてから180日前後の豚の肉です。この豚の「母親の豚」「父親の豚」のことを、この業界では〝大たい貫かん豚ぶた〞と呼び、この豚肉が、ひき肉用として使われているのです。
      大貫豚という言葉、生まれてはじめて耳にする人も多いはずです。この肉は、硬くて獣くさく、普通に食べると美味しくありません。しかし、肉の色が濃いために、ひき肉がきれいに見えるといった理由から、こっそり使うスーパーも少なくないのです。
      消費者が、大貫豚を使ったひき肉を見抜くのは難しいと言わざるを得ません。しかし、前述した「外注の工場」でパック詰めしたひき肉で、値段が相場よりも安い場合は、その可能性が高いとみてよいでしょう。

知らないと危ない! ズルい食品 ヤバい外食

河岸宏和

永岡書店

第1章 スーパーの見方が変わる!「ズルい食品」のカラクリより

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