目次
- ○食品表示で最初に確認すべきは食品添加物なのか?
- ○食肉加工品は、食品添加物よりも原材料のチェックが大切
- ○美味しいハムを作るうえで、食品添加物は必要な存在
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食品表示で最初に確認すべきは食品添加物なのか?
ここ数年、週刊誌などで「食品添加物は危ない!」といった記事をよく見かけるようになりました。また、「食品添加物には発がん性がある」などと、科学的な根拠もない書籍も多く売られています。こうした影響から、食品添加物への不信感は高まっており、食品表示で、まず食品添加物をチェックする人が増えています。日本政策金融公庫が行った調査「加工食品の表示情報に対する意識」(2014年)によると、加工食品に対する不安感を解消するために知りたい情報について尋ねたところ、こんな順位になりました。1位 「食品添加物」(55・3%)
2位 「遺伝子組み換え」(37・2%)
3位 「原産地・原産国」(35・8%)
2位と3位を大きく引き離し、「食品添加物」が55・3%と突出しています。 -
食肉加工品は、食品添加物よりも原材料のチェックが大切
しかし、食肉加工品を選ぶときは、食品添加物よりも、先にチェックすべき項目があります。それは「原材料」です。下のロースハムの食品表示の例でいえば、「大豆たん白」「卵たん白」「乳たん白」の3つです。安い原材料を混ぜて作ったロースハムの食品表示(例)ロースハムとは「豚のロース肉だけを使用したハム」のこと。
つまり、原材料とし食肉加工品は、食品添加物よりも原材料のチェックが大切て「豚ロース肉」だけを使っていなければ、本来、ロースハムとは名乗れないはずなのです。
実は日本の一部、いや多くのハムメーカーでは、100キロの豚肉から、150キロ以上ものロースハムを製造しています。「そんなこと無理でしょう!?」と、思うかもしれませんが、私は以前、ハムメーカーに勤めており、その現場で陣頭指揮をとっていた経験があるので、実際の手口を目の当たりにしています。どのような手口かといえば、豚ロース肉に、さまざまな「混ぜ物」を加えて、内容量を2〜3倍にかさ増ししているのです。その「混ぜ物」の代表格が、大豆、卵白、乳などの豚肉以外の異種たん白や脂肪、油といった原材料なのです。まさに「大豆たん白」「卵たん白」「乳たん白」です。こうした原材料は豚肉よりも安く調達できるため、その分量を増やせば増やすほど、たくさんのハムが製造でき、ハムメーカーは儲かるのです。もう一つ付け加えるのであれば、水も「混ぜ物」の代表格です。「でも、水は食品表示に書かれていないけど」という声も聞こえてきそうですが、日本の法律では、水は原材料に明記しないでよいことになっているのです。水を「混ぜ物」にして、かさ増しできれば、メーカーにとって、これほど、うまい話はありません。当然、こうしてできたハムは、味がスカスカでまったく美味しくありません。 -
美味しいハムを作るうえで、食品添加物は必要な存在
一方、多くの消費者が「危険だ!」と思い込んでいる食品添加物は、ロースハムを製造する上で、必要不可欠な存在です。上のロースハムの食品表示を見てください。ここに表示されている「リン酸塩(Na)」は、肉と肉の結着性や保水性を高めて、食感をよくするために使っています。「調味料(アミノ酸等)」は、食品の味を向上させるための添加物です。また、ハムは、空気にふれると酸化して変色し、風味も落ちてしまいます。それを防止しているのが、「酸化防止剤(ビタミンC)」です。「発色剤(亜硝酸Na)」には、着色料のように色を付けるためではなく、肉自身が持っている赤い色素を固定する役割があります。さらに、とても怖い食中毒菌で知られるボツリヌス菌の増殖を抑制する効果もあるのです。食品添加物には、「企業が儲けるための食品添加物」と「美味しくするための食品添加物」があります。前述した添加物は、食品を美味しくするために必要な食品添加物なのです。この事実をどうか知ってください。
知らないと危ない! ズルい食品 ヤバい外食
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