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安心・安全な「冷凍食品」「冷凍惣菜」の選び方
冷凍食品の生産地には中国が多い、という印象をお持ちの方は多いと思います。日本人は中国産の食品を倦厭する傾向にありますが、一概に「日本の工場=安全、中国の工場=危険」とは言えないのだと、多種多様な日本の食品工場の現場で働いてきた河岸宏和さんは言います。それにはどのような背景があるのでしょう。河岸さんの著書で確認してみましょう。
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目次
- ○中国産の冷凍食品は決して危なくない
- ○日本の工場のほうが衛生面で問題ありのケースも……
- ○ポイント
- ○ホテルの朝食の納豆って、冷凍品なの?
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中国産の冷凍食品は決して危なくない
日本冷凍食品協会が消費者に行った調査(2016年)によると、過去に冷凍食品の利用経験があり、現在は利用していない女性に、その理由を聞いたところ「弁当を作らなくなった」(37・5%)、「できるだけ手作りにするようになったから」(32・0%)に続いて、「中国産が多いから」が27・0%と上位になっています。皆さんの中にも「中国で作っているから」という理由で、冷凍食品に対して、なんとなく嫌悪感を抱いている人も多いかと思います。本当に、中国産の冷凍食品は危険なのでしょうか?私はこれまで、ハムソーセージ工場や、餃子・しゅうまい工場、コンビニ向け惣菜工場など、多種多様な日本の食品工場の現場で働き、協力企業の関連工場の現場にも足を運びました。その体験を通して言えるのは、「日本の工場=安全、中国の工場=危険」という思い込みは間違いだということです。 -
日本の工場のほうが衛生面で問題ありのケースも……
確かに数十年前の中国の食品工場は、衛生管理が不十分なケースが多かったのですが、最近の工場は、基本的に新築で、最新の設備を備えています。また、衛生管理のシステムも整備され、作業員は工場に入ってから出るまで、マニュアルにしたがって働いています。もちろん作業着も工場でクリーニングしています。中国の工場の衛生管理が改善された理由は、食品メーカーの日本の駐在社員が、厳しく指導をしてきたからです。中国の食品工場でトラブルが起きれば、日本のメーカーにとっては死活問題になります。ですから、細心の注意を払っているのです。その一方、日本の中小の工場は、戦後からの古い工場を使い続けているケースも少なくありません。そこで働く従業員は、自宅で作業着を洗濯し、私物の靴のままで作業場に入ることもあります。実際、私はその現場を何度も目にしました。確かに、中国産の野菜などが、輸入時の検査で、農薬の一定基準値をオーバーしたというニュースが報じられることもあります。消費者が、不安を抱くのも当然でしょう。しかし、それは見方を変えれば、しっかり検査をしているから問題点が見つかるのです。日本産の野菜は、農薬検査が行われていません。しかも冷凍食品に使う中国産の原材料に対して、日本の食品メーカーは、その選別を過剰なほど行っています。その背景を考えると、あまり一方的に中国産を否定するのは、行き過ぎだと思いませんか?それよりも私が問題視するのは、国内で製造された冷凍食品は、原材料として重量割合が50%未満の場合、産地表示の義務がないという点です。例えば、エビピラフで使うたまねぎの割合が10%であれば、その産地が中国産やタイ産であっても表示する必要がないのです。また、すべての原材料が50%を超えなければ、原産地の表示すらも不要です。一方、輸入品は原産国名の表示が必要であるため、ひと目で「中国産」などとわかります。そのため、消費者自身が「買う」「買わない」の選択ができます。しかし、国内で製造された冷凍食品は、もしかしたら中国産の原材料を使用しているかもしれないのに、それを知る手立てがないのです。こちらのほうが、よっぽど悪質ではないでしょうか。なお、東京都では、国内で製造され、都内で消費者向けに販売される冷凍食品については、「原材料の重量に占める割合が上位3位までのもので、かつ、重量に占める割合が5%以上のもの」、「商品名にその名称が付されたもの」は、原料原産地表示を義務付けています。また、食品メーカーによっては、自ら、積極的に原材料を表示するケースもあります。これこそが、消費者を第一に考えているということなのです。そうした対応をしている冷凍食品は、安心して選んでよいと思います。 -
ポイント
●中国の工場は、日本の駐在社員が指導しており、衛生管理は徹底されている
●中小の日本の工場は設備も古く、衛生面で問題ありのケースが多い
●原材料の重量割合が50%未満の場合、産地表示の義務がないことは大きな問題点
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ホテルの朝食の納豆って、冷凍品なの?
納豆を瞬間凍結し、注文に応じて解凍している皆さんは、ビジネスホテルなどの朝食で出された納豆を「いつも食べている納豆と味が違う……」と感じたことはありませんか。その理由は、冷凍品の納豆をホテル内で解凍しているからです。実は、ホテルの朝食で提供される納豆の多くは冷凍品で、注文に応じて解凍したものです。瞬間凍結で凍らせた納豆なら味に変化は少ないのですが、それでも、一切凍結していない納豆とは、その味わいに差が出るのは当然です。スーパーには、さまざまな食品メーカーの納豆が販売されています。ぜひ食べ比べてみて、大豆の甘みを味わってみてください。なお、納豆のタレは、自分で作ることをオススメします。納豆を混ぜたあと、砂糖と醤油、そして最後にオリーブオイルを少量足して混ぜると、泡立ちが良くなり、美味しさが格段にアップします。
知らないと危ない! ズルい食品 ヤバい外食
第1章 スーパーの見方が変わる!「ズルい食品」のカラクリより
この1冊で、あなたのスーパーでの買い物の仕方が変わります! ランチのお店の選び方が変わります! そして、プロの消費者になれます!!