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しろいくろ営業時間と「塩黒豆大福」の特徴

食のトレンドを担う麻布十番で白と黒で形作られた和洋菓子が並ぶ『しろいくろ』。そちらで販売されている「塩黒豆大福」はその名の通り黒豆を使用したひと味違う豆大福です。小豆と黒豆によるハイブリット餡子と塩気の掛け合わせが魅力の一品をご紹介します!

イワイサトシ

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目次

  1. ◯しろいくろ
     
    • しろいくろ
      麻布十番@東京メトロ南北線 他

      しろいくろ

      今や東京の“食のトレンド”を担うとされる東京メトロ南北線「麻布十番」駅の4番口から右手に伸びる十番通りを進み、その先の信号を左折する。すぐにある右折路へ入り進むと見える、静謐(せいひつ)な民家が『しろいくろ』である。店頭には“しろ”と“くろ”とで形作られた和洋菓子が、ショーケースの中で整列している。濃淡様々な茶色に染まった木製家具や調度が温もりを与え、そこを総べる壁はコンクリの無彩色に、店名から想起される印象の一端を見る。なるほど『しろいくろ』ならグレイである。
      そんな中で「塩黒豆大福」は、ビニール袋に収まっていた。その状態でも躍動感溢れる造形ははっきり窺うかがえる。小ぶりな体躯(たいく)は、しかし力強い百合根か芳醇(ほうじゅん)なる白トリュフを思わせる。大きさは四八ミリ。ハリのある半球体に成形されている。表面にはマウント・オーガスタの様な、平たい隆起が幾つもある。餅の中に埋まる、たくさんの黒豆が作り上げたものだ。黒豆達は白い餅に淡い影を浮かび上がらせ身を潜ませている。時々、自らの水気で餅を溶かしてツルンと滑らかな黒い種皮で艶めかしい光沢を放つ。
      餅は石灰岩を連想させる白練色(しろねりいろ)に内部を染めていて浅い部分には僅かな透明感を湛える。キメ細かさはまさに餅肌のお手本だ。ツルリとなだらかな稜線を描いて覆い隠す様に細かい粒子の片栗粉が塗されている。綺麗に起立した片栗粉の質感から「塩黒豆大福」の繊細さを見て取れる。その文様は毛足の短いファーに似ている。
      ビニール袋を開けると塩豆大福がスーッと下界へ滑り出る。片栗粉には剥離(はくり)も舞い散る気配もなく、シッカリ繋ぎ止めたままだ。摘まんでみると餅はほんの少しだけ窪む。指先は餅の中へ沈み込む事なく極上のハリを保ち続け、持ち上げても、形に乱れは生じない。指と指の間で何時までも出会った時のままの変わらない形で居続ける。小ぢんまりした姿の割に、指先でズシリと強かな荷重を示す。ひと口サイズの大きさで、まずは半分位を齧(かじ)り付く。サワサワ滑らかに流れる片栗粉の舌触りの向こうにフニャっと柔らかな感触が伝わる。
      一方で唇の端にはボコッと大きなカタマリが餅越しに現れる。前歯を餅へ食い込ませればまろやかなコクと抑えた塩気を纏(まと)った甘さが湧き出してくる。前歯はニュルリ滑らかな感触で覆われ、更に奥深く沈降して滑らかな餡子が口の中へ押し出される。水気を得た餡子がトロリ柔らかな舌触りに変化を遂げる。優しい甘さの底で淡く広がる塩気が舌の上で沸き立つ。嚙み口から見えるこし餡に黒くヌメッとした光沢が見えた。細かく刻まれた黒豆が艶消しで広がる小豆の海に揺蕩(たゆた)っている。なる程こし餡の滑らかさにシャキシャキの歯応えが響く。上品な甘さに、独特の風味と食感を与える。
      いわば小豆と黒豆によるハイブリット餡子だ。それが潤滑油の役割を果たし、餅に潜んだ黒豆の存在感タップリのカタマリは、嚙み潰すとプチンと種皮が破けるとしっかりとした塩気を帯びた子葉が、ツルンと飛び出す。
      纏(まと)った塩気に寄り添って広がる風味から醤油の仄(ほの)かな香りが現れる。奥歯で嚙み潰せ、すぐに滑らかなペースト状に変わる。舌の表面に纏わり付いて黒豆の全力が込められた風味を放出する。そして、口の中を回遊する餡子と融合して餅に絡まってゆく。
      コシが強い餅は徐々に柔らかく粘り気を帯びるに連れて米の優しい風味が舌先に漂い始める。最後は上品な甘じょっぱさが、餅を包み込んで喉を通り過ぎ消えてゆく。
      食べやすい大きさにして片栗粉の剥離も少ない。べた付かず手離れが良い。丸く小さな白黒という、見た目の愛くるしさも好印象だ。散策のお供や陣中見舞いや手土産にも最適で、非の打ち所がない。

      ●住所 東京都港区麻布十番2-8-1

       営業時間 10:00 ~ 18:00 定休日 不定休

私が幸せな東京豆大福五〇の覚書き

東京豆大福五〇の覚書き

イワイサトシ

東京ニュース通信社

変わり豆六色より

庶民のスイーツ「豆大福」。ひとくちに豆大福と言っても、かたち、豆の種類、豆の位置など、実は千差万別。いま食べておくべき「東京の豆大福」をオールカラーで紹介。“マメに暮らして大きな福を招く”との願いを込めて、東京の豆大福に特化した初めてのガイドブック。ツキをまるごといただけますよ! 豆大福を食べてしあわせになろう!

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