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曜日で餡が変わる?文銭堂本舗 新橋本店の豆大福とは

サラリーマンが多く行き交う新橋の御菓子司 文銭堂本舗で豆大福が売られるのは週3日。それもつぶし餡は1日、こし餡は2日だけ。変わった販売日をクリアして手に入れた豆大福は、老舗の技術も相まって至福の味わいなんだとか♡そんな文銭堂の豆大福についてご紹介します!

イワイサトシ

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目次

  1. ◯御菓子司 文銭堂本舗 新橋本店
     
    • 御菓子司 文銭堂本舗 新橋本店
      新橋@JR山手線 他

      御菓子司 文銭堂本舗 新橋本店

      JR山手線「新橋」駅の烏森口改札から横断歩道を渡り、駅正面に建つニュー新橋ビルの前へ向かう。そのまま直進し、ビルの脇に沿って新橋烏森通りを進むと新橋三丁目交差点に出る。反対側の歩道へ渡った視線の先の看板のビルで巨大な文銭を二枚掲げて『御菓子司 文銭堂本舗 新橋本店』がある。
      開店直後の早い時間にも関わらず、店内にビジネススーツ姿の人が多いのは新橋という土地柄だろう。菓子折りと領収書を握りしめ足早に去ってゆく。菓子棚の前ではご婦人が供された緑茶をいただきながら、贈答品のお菓子を地方へ発送する手続きを繰り返している。そんな中でお目当ての「豆大福」は奥行きのある店内の正面で、菓子棚の上にズラリと並んでいる。
      さて、こちら『御菓子司 文銭堂本舗 新橋本店』の「豆大福」、いささか販売方法が変わっている。まず豆大福が売られるのが、一週間の間に三日だけなのだ。その三日のうち、火曜日に“つぶし餡”が売られ、木曜日と金曜日の二日で“こし餡”が売られる。つまりつぶし餡とこし餡の両方いただくならば二度はお店へ訪れなければならない。つぶし餡派並びにこし餡派の方はご注意を。
      先ずは火曜日のつぶし餡を買いにゆく。大きさは五八ミリで、なだらかな弧を描くドーム型に仕上がっている。菓子棚の上で白く大きな泡の様に並ぶ袋の中には水気が小さな水滴になり、白い靄(もや)をこしらえている。それが表面に塗された片栗粉に触れ、緩く溶かし始める。片栗粉が溶けたところでは乳白色の餅肌が露わになる。餅はフニャリと柔らかい。指先は直ぐに内側へ向かい、ゆっくり沈み始める。
      ところが指触りを遥かに超えたハリがあって歯も顎の押し返す力を持っている。餅は程良い厚みで均一に広がり、潤いが幾重の層になり、輪を造り断面に広がっている。コシが強い食感は程良い伸びを生み、太くブチリと千切れると現れるのは粘り気が強いつぶし餡だ。ふっくらとした小豆の粒が溢れてくるとグッと締まりのある甘さに舌も顎も刺激を受ける。そこに赤えんどうの風味がジワリ漂い、スッと閃光に似た塩気がつぶし餡の甘さを照らす。この“火曜日の豆大福”は綿花の様に柔らかで、何度も新鮮な喜びを与えてくれる。
      次いで木曜日のこし餡を買いに来た。金曜日ではなく木曜日なのは、つぶし餡の記憶が鮮明なうちにという理由だ。豆大福自体の外観に変わりはない。良くある餅の色分けや、食紅を用いた刻印の類も見当たらない。大きさもおよそ五八ミリで別段変わりはなく手に取ってみても違いは判らない。齧(かじ)り付いた餅の強い弾力やハリは勿論、片栗粉の滑らかさも同様だ。しかし、嚙み口から穏やかな甘さが深々と流れ出す。それはトロトロ流れ広がって口内の隙間という隙間を満たしてゆく。手触りの良い布がスウゥッと撫でるかの様な舌触りである。
      変わった販売日をクリアして手に入れた豆大福はいずれも老舗の技術も相まって至福の味わいである。つぶし餡には小豆が餡子に変わる際の素材の活かし方を教えられる。こし餡には小豆が餡子に変わる際の作り手の技が込められている。和菓子における餡子という“芯”について改めて感心する。同時に週三回の時を待ちわびる、ささやかな喜びも与えてくれるのだった。
      そして、その念願が叶った今の願いは年二回販売される「豆大々福」を手に入れる事に変わる。販売期間は一一月にある『御菓子司 文銭堂本舗』の創業祭と、二月の節分の前後となっている。普段売られているものに比べて一・五倍も大きいという。その「豆大々福」を手にする日まで、再び火曜日のつぶし餡を買う事から始めよう。

      ●住所 東京都港区新橋3-6-14

       営業時間 [月~金]8:30 ~ 19:30 [土]9:00 ~ 16:00 定休日 日・祝

私が幸せな東京豆大福五〇の覚書き

東京豆大福五〇の覚書き

イワイサトシ

東京ニュース通信社

定番の赤より

庶民のスイーツ「豆大福」。ひとくちに豆大福と言っても、かたち、豆の種類、豆の位置など、実は千差万別。いま食べておくべき「東京の豆大福」をオールカラーで紹介。“マメに暮らして大きな福を招く”との願いを込めて、東京の豆大福に特化した初めてのガイドブック。ツキをまるごといただけますよ! 豆大福を食べてしあわせになろう!

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