目次
- ○ワインは「子どもおいしい」からはじめて、「大人おいしい」をめざそう。
- ○ワインは「好み」よりも「経験」によって味覚が変わる。
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ワインは「子どもおいしい」からはじめて、「大人おいしい」をめざそう。
ワインは嗜好品です。だから「おいしい」か「まずい」かは、個人の好き嫌いに大きく左右されると思います。ただ、もしもワインの「おいしい」を定義するならば、「バランスがいいワイン」ということです。つまり酸味が強すぎるとか、甘すぎるとか、果実味がくどすぎるとか、〝すぎる〟ところがない。なにかの味が出っ張っていたり、凹んだりしていないワインです。だからワインに対する味覚にいまいち自信が持てない人でも、(酸っぱいな)とか(甘ったるいな)などと感じることなく、自然でバランスが良いと感じたら、「おいしいね」と言っていいと思います。ただ、一口に「おいしい」といっても、「おいしい」には段階があります。その事実がワインを飲む人たちに、やや緊張感を持たせているようです。味覚というものは、年齢を重ねていく過程でどんどん変わっていくものですよね。たとえば小学生の頃はハンバーグやグラタンのような「わかりやすくおいしいもの」で満足していた人も、大人になってからはあん肝だったり、しめ鯖だったり、酢の物だったり、「わかりにくくおいしいもの」を好むようになる人も多いかと思います。ワインにも同様に「わかりやすくおいしいワイン」と「わかりにくくおいしいワイン」があります。「わかりやすくおいしいワイン」は、子どもでもおいしさがわかりそうな感じ(飲ませちゃダメですが)で、つまりジュースっぽかったり、ちょっと甘かったりするわけですが、一般的な傾向として「わかりやすくおいしいワイン」の価格はリーズナブルです。反対に、舌の経験値をある程度積まなければ良さがわからない「わかりにくくおいしいワイン」というのは、たいてい高級ワインの部類に入ります。つまりビギナーがいきなり飲んでも、そのワインの良さがよくわからなくて、もったいない。二十歳のときに訳もわからず【ラ・ターシュ】を口にした筆者と同じ状態になります。つまり、ワインに慣れていない人は、たいていジュースっぽい、やや甘い「わかりやすくおいしいワイン」を、おいしいって感じます。そこからどんどんはまっていくと、やがておいしいと感じる好みのワインがより複雑で、繊細なものに変わっていきます(もちろん世の中には、難しいワインをはじめから「おいしい」と感じられる天才的な舌を持った人もいると思いますが)。ときどき、有名な高級シャンパンの【ドン・ペリニヨン】とかを、平気で「おいしくない」って言う人がいます。そんなはずはありません。おいしいです。〝シャンパン〟って書いてある時点でほぼ確実においしいものなのですよ。だって〝シャンパン〟と名乗るには、丁寧に丁寧に造って、シャンパンの番人たちが作った厳しい基準をクリアしなければいけないからです。それでも「ドンペリの味なんてたいしたことないよ」と言ってのけてしまう人は、おそらく〝ジュース的においしいのが好き〟な人なんですね。もちろん先ほども申し上げた通り、ワインは嗜好品なので、なにをおいしいと感じるかには個人差があります。それでも舌の経験値は影響します。だからはじめは無理をして高いワインを買おうとせず、安価でジュース的においしいワインから飲みはじめる。それから「ジュース的においしい」ワインだと物足りなく感じてきた頃に、「わかりにくくおいしいワイン」を探しはじめたらいいと思います。ただ筆者も職業柄いろんなワインを飲んできましたが、発作的に「ジュース的においしい」ワインを飲みたくなるときがあります。つまるところ、おいしければなんでもいいし、「おいしい」に優劣はないと思うのです。 -
ワインは「好み」よりも「経験」によって味覚が変わる。
いかがでしたか?これでまた一つワインを飲むのが楽しくなっちゃいますね!まずは今「おいしい」と思えるワインから楽しんでいきましょう☆
図解 ワイン一年生
<1章より
またまた重版11刷5万9千部突破! 2016年年間ランキング1位(トーネッツアイ調べ 酒・ドリンク部門)ほか、全国書店で続々ランクイン!今、ワインの本で一番売れてます。ぶどう品種が擬人化されているので、ワインの味の違いがかんたんに想像できます。今まで読んだワイン本の中でも一番斬新で、わかりやすいと思えた一冊です。