目次
- ○じょぼじょぼ注ぎ、舌全体に液体を広げる。
- ○ワインのいろんな香りを探してみよう。
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じょぼじょぼ注ぎ、舌全体に液体を広げる。
ワインボトルからワイングラスへ、どんなふうにして注げばいいのか。カッコつけたかったら、ボトルの底に親指をひっかけて注ぐのもいいでしょう。ちょっと高めの位置からワインの液体を落として、じょぼじょぼじょぼと空気に触れさせながら注ぎます。こぼさない程度に、じょぼじょぼいわせればいいです。安いワインはあまり代わり映えしませんが、良いワインであれば、高めの位置から落とすだけでも、香りと味が開きやすくなります。そしてワインを注ぐ量は、グラスの三分の一くらいまでにとどめてください。香りがたまるスペースがなくなるので、升酒のようになみなみとグラスの縁近くまで注ぐのはダメです。次に味わいます。どんなふうに味わってもいいです。ビールのようにがぶがぶ飲んでこそおいしいタイプのワインもあります。でも自分でちゃんと選んだワイン、ちょっと値段が高めのワイン、とっておきのワインなどは集中して味わいたいものです。そこでまず、グラスに注がれたら外観を見ましょう。そしてちょっとでもワインの液体の中に枯れた色、褐色、レンガ色っぽさを見つけられたら、「さすがだな」ってつぶやきながらニヤニヤすればいいです。それからクンと匂いをかいで、「お、開いてきた」って言ってみます。よくわからなくても「開いた」って言えばいいんです。言葉にすることが大事です。これで「ワインを味わっている自分」という気分が高まります。グラスを回しますか? はい、回しましょう回しましょう。飛び散らないようにやさしく回しましょう。回しては嗅ぎ、回しては嗅ぎしてみましょう。するとボトルに閉じ込められていた味の蕾が、だんだんだんだん開いてくるような気がします。初対面で緊張してモジモジしていた少女が、少しずつ打ち解けてくれる感じです。いよいよ飲みます。良いワインは原則として、なるべくゆ〜っくり飲んだ方がいいです。長く寝かせてあるワインほど、ファーストアタックから余韻にいたるまで、味とか香りがどんどんめまぐるしく変わるから、時間をたっぷりとらないと、大事なシーンを見逃してしまうのです。いよいよ味の本体です。ワイン舌の初心者が高級ワインに挑むとしたら、どんなふうに味わえばいいか?がぶがぶいっちゃうと一瞬で味が流れてしまうので、一口をそおっと慎重に口に含んで、渋味(タンニン)? ジャムっぽさ? タバコっぽさ? などの味を、一つひとつ舌で追いかけてみるとわかりやすいかもしれません。少しマニアックな話をさせていただくと、ワインの液体をベロの上に広げたあと、液体でベロ全体を包み込ませるといいです。ベロは甘い、酸っぱいなどの五味を感じる場所がそれぞれ違います。だから舌全体にまんべんなく行き渡らせた方が、味の特徴をつかみやすいのです。さらに、そのワインで使われているぶどうの品種の特徴を知っていたりすれば、その味を積極的に拾いにいくこともできます。それですぐ見つかるときもあるし、(あれ? いねえな?)と肩透かしを食うときもあります。そんなときは「んー、意外とメルローっぽくないな」とか、なんともグルメ偏差値の高そうなつぶやきがこぼれ出るのです。そして最後は余韻です。そういう意識を持っていないとなかなか気づかないかもしれませんが、高級ワインなら高級ワインほど、香りや味わいの残像のようなものが、幻のように長く続いていきます。昔、別れた彼女の香水の匂いが、ふと思い出されるときのように、いつまでも切なく、愛おしく、尾を引いてゆくのです。 -
ワインのいろんな香りを探してみよう。
図解 ワイン一年生
1章より
またまた重版11刷5万9千部突破! 2016年年間ランキング1位(トーネッツアイ調べ 酒・ドリンク部門)ほか、全国書店で続々ランクイン!今、ワインの本で一番売れてます。ぶどう品種が擬人化されているので、ワインの味の違いがかんたんに想像できます。今まで読んだワイン本の中でも一番斬新で、わかりやすいと思えた一冊です。