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【医師監修】乳がんの進行度とステージ分類一覧

がんはその進行度を示す「ステージ」というものがあります。治療にあたる時には、これに合わせて行う必要があります。がんと診断されても、最も早いステージ0であれば、局所の手術で取り除けば完治となるケースもあるそうです。大きく5つに分かれているステージの進行度の診断基準をまとめました。

齊藤光江(順天堂医院 乳腺センター長)

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目次

  1. ○乳がんの進行度を判定する
  2. ○乳がんの病期(ステージ)分類
     
    • 乳がんの進行度を判定する

      乳がんがどれくらい進行しているかで治療方針が変わります。まずは進行度を明らかにしておきます。がんの進行度はステージあるいは病期といわれます。乳がんのステージ(病期)は、「しこりの大きさ」と「リンパ節転移の有無」、「遠隔臓器の転移の有無」などから、大きく5段階に分けられます。こうした病期分類は、しこり= Tumor、リンパ節= Node、遠隔転移= Metastasis を軸にすることから、それぞれの頭文字をとって「TMN分類」と呼ばれます。
      早期がんといわれるのは0期、Ⅰ期で、完治する見込みが高いといえます。とくに0期は、がんが発生部位にとどまっている非浸潤がんであり、そこだけを手術で取り除けば理論的には完治となり治療は終了です。また、Ⅰ期~Ⅲ期までは手術と薬物療法を組み合わせて治療していくことになります。骨や肺など、乳房から離れたところにもがんの病巣がみられるⅣ期であれば、原則薬物療法のみで治療していくことも多くなります(薬物療法の重要性が高まるからです)。
      実際の治療方針はステージだけで決まるわけではありません。がんのサブタイプによって科学的に証明されたもっとも治療効果の高いメニューが提示されますが、最終的には患者さんのからだの状態や希望を考えあわせて決めていきます。
      なお、がんのステージは、各種の検査結果から判断される「臨床病期」と、手術で切除した組織を調べて決定する「病理病期」の2つがあります。2つの病期は一致するとはかぎりません。リンパ節転移やがんの浸潤の程度などは、術前の予測と組織を調べた結果が異なることもあるからです。病理病期が判明した結果、治療方針の見直しにつながることもあります。
    • 乳がんの病期(ステージ)分類

      乳がんの進みぐあいを示すのは病期(ステージ)分類。0~Ⅳ期まで、大きく5段階に分けられている
      非浸潤がん

       0期(ステージ0)

        がんが乳管や小葉にとどまっている(パジェット病(*)を含む)

      浸潤がん

       Ⅰ期(ステージⅠ)

        しこりの大きさが2cm 以下で、腋窩リンパ節への転移がない。複数のしこりがある場合は、最大のものの大きさをはかる


       Ⅱ期(ステージⅡ) ⅡA

        しこりの大きさが2cm 以下で、腋窩リンパ節への転移がある。または、しこりの大きさが2~5cm で、腋窩リンパ節への転移がない

       Ⅱ期(ステージⅡ) ⅡB

        しこりの大きさが2~5cm で、腋窩リンパ節への転移がある。または、しこりの大きさが5cm 以上で、腋窩リンパ節への転移がない


       Ⅲ期(ステージⅢ) ⅢA

        しこりの大きさが5cm 以上で、腋窩リンパ節への転移がある。またはしこりの大きさが5cm 以下でも、腋窩リンパ節に転移し、それらがくっついて固まっている(固定)か、胸骨傍リンパ節に転移がある

       Ⅲ期(ステージⅢ) ⅢB

        しこりの大きさを問わず、皮膚や胸壁に浸潤している。鎖骨上下部のリンパ節に転移のない「炎症性乳がん」もここに含まれる

       Ⅲ期(ステージⅢ) ⅢC

        しこりの大きさを問わず、腋窩リンパ節と胸骨傍リンパ節の両方に転移がある。または鎖骨上下リンパ節に転移がある


       Ⅳ期(ステージⅣ)

        しこりの大きさ、リンパ節への転移を問わず、骨、肺、肝臓、脳など、離れた臓器に転移している

      (日本乳癌学会編:臨床・病理 乳癌取扱い規約 第17版, 金原出版, 2012をもとに作表)


      用語解説

      パジェット病 乳管に発生したがんが乳頭の方向に広がり、乳頭や乳輪にただれたような病変をつくる。乳がん全体の1~2%。

ウルトラ図解乳がん

齊藤光江

法研

第2章 正しい診断で治療方針を決めるより

本書は、オールカラーの豊富な図解で乳がんの基礎知識、検査・診断、治療法、リハビリと心のケア、また再発を防ぐための工夫をわかりやすく解説しています。正しい知識を持つことで不安を解消し、自分に合った治療法を見つけ、生活の質をより良く保つことができます。

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