目次
- ○ダイエットで仕事量が2倍になる法則
- ○ビジネスに直結する格闘技ファン人脈
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ダイエットで仕事量が2倍になる法則
いま、体育会系タレントとして大活躍している武井壮さんは、私の古くからの友人のひとりです。彼の睡眠時間が基本的に1日45分だということはご存じの方も多いかと思います。これは医学の常識を超えた話に思えますが、近くで見ている私には納得できる部分が多々あります。何より彼はとにかく圧倒的な体力の持ち主ですから。体力があればあるほど疲れないし、短時間の休憩で回復する。これは当然の話です。また、私は格闘家としての第一線を退いたあとの2015年の夏に、選手としての蓄積疲労もあって肘の手術をするにいたりました。そのために前後数カ月のあいだ、激しいトレーニングを控えていたのですが、ここでおもしろい現象が起きました。トレーニングを控えていた時期のほうが、しっかりトレーニングしていた時期と比べて仕事中の疲労度が明らかに高いのです。普通、トレーニングと仕事の両方をこなしていたほうが疲労が増すはずだと考えがちです。しかし、トレーニングを休んでしまうと、仕事中でもついつい眠くなる頻度が上がってしまうのです。不思議に思って調べてみると、どうやらテストステロンという物質の分泌量が関係しているようです。テストステロンとは男性ホルモンの90%を占めるといわれる物質で、その分泌量は人の精神状態や活動エネルギー、健康維持や性欲にも大きな影響を与えます。また、テストステロンの分泌量が多いと筋肉は増え、体脂肪は燃やされやすくなります。いわば「男性の活力の源」ということができるでしょう。しかし、残念ながら、男性の大半は30歳を超えるとテストステロン値がゆっくり低下してしまいます。その結果、心臓病や肥満、2型糖尿病などのリスクが上がっていき、さらには筋肉の衰えなどにもつながります。また、基本的に女性のテストステロン量は男性の10分の1程度ですが、それ以下になると女性ホルモンとのバランスが崩れて更年期障害にもつながってしまいます。女性にとっても重要なホルモン物質のひとつなのです。それではテストステロンを増量するためにはどうすればいいか。テストステロンは食事の内容などにも影響を受けるほか、基本的にはより多くの筋肉を刺激することで分泌量を増やすことができます。なかでもスクワットやベンチプレスのような複数の関節を使うトレーニングが効果的であることが知られています。しかも、ジョギングやウォーキングのように長時間行うゆるやかなトレーニングより、短時間行うハードなトレーニングのほうがより効率的だそうです。「トレーニングをしていないので肉体的には疲れていないはずなのに、やけに疲労感が溜まる」「ハードなトレーニングをしていないときのほうが疲れやすい」という一見、矛盾した現象にはこのような理由があったのです。このテストステロンは社会のなかで自分を主張する際にも必要とされるため、「社会的ホルモン」とも呼ばれています。また、脳の認知機能にも影響をおよぼし、判断力や決断力を高めるともいわれています。「疲れを感じなくなり」「脳の認知機能が上がり」「決断力、判断力がアップする」。これらは、どんな仕事をするときでも必要とされている要素です。もともとは肉体改造を目的としているダイエットが、じつは仕事の質の向上や効率アップにもつながっていくという理由がおわかりいただけたかと思います。この本で紹介しているダイエット「トイカツ・メソッド」は、筋トレをともなうハードな運動に重きを置いた「格闘技メソッド」と、食べる量より食べるものにこだわった「食材チョイスのメソッド」がメインになっています。それはそのままテストステロンの分泌量の増加にもつながっていきます。まさにいいことずくめです。 -
ビジネスに直結する格闘技ファン人脈
「ダイエットが仕事に役立つ」ということをずっと述べてきましたが、この話題の最後に、私がこの本でおすすめしている「格闘技をとおしてダイエットする」ことの副産物的なメリットをひとつ挙げておきましょう。先に述べたように、現在は経営者のなかに格闘技を趣味としている人たちが非常に多くなっています。実際、「トイカツ道場」の会員のなかにも新進企業の経営者が何人もいらっしゃいます。さまざまなところでそんな人たちとお話ししていて思うのですが、彼らはとにかく格闘技に対する“好き”の度合いがスゴイのです。「格闘技が好きな人はみんな友だち」という感じでしょうか。トイカツ道場に所属している友人の経営者が話していたのですが、出張先の九州での雑談のなかで、「自分がいま、格闘技にハマっている」という話をしたら、先方も「極真空手(きょくしんからて)」の道場生で、ずいぶん話が盛り上がったとのこと。どうやらそのまま先方の道場に遊びに行くことになったとか。また、次の機会にプライベートで遊びに行き、1日トレーニングして、飲みに行って……とやって、ムチャクチャ仲よくなったそうです。ちなみに彼は仕事でモンゴルに行ったときも現地の格闘技好きと仲よくなって、モンゴルの道場で出稽古(でげいこ)をしてきたというツワモノですが。そのときも言葉がわからなかったのに、なんの不自由もなく仲よくなれたそうです。現代はどんなビジネスでも、それこそ小さな街の小売店でも、ネットショップを通して海外と接する必要が出てくるような時代です。そして、このエピソードでもわかるとおり、格闘技というのはある意味で世界共通の言語です。まさにワールドワイドで、ボディーランゲージだけで成り立つ世界なのです。近年はハリウッドスターのニコラス・ケイジやメル・ギブソン、ミラ・ジョヴォビッチなどがブラジリアン柔術を学んでいるということもあり、アメリカでは格闘技にハマる人たちがどんどん増加しています。また、韓国やタイなどのアジア地域では、もともと高かった格闘技人気がさらに上がっています。「好きな人同士が共通の話題で盛り上がる」という意味では将棋や囲碁なども同じかもしれません。しかし、将棋や囲碁で会話ができるのは、いいところ日・中・韓の3国止まり。もちろん世界にプレイヤーはいるでしょうが、本当の意味で「世界中に広がっている」とはいいがたいでしょう。逆に、日本では格闘技はまだまだメジャーな世界とはいいがたいのも事実です。しかし、逆にいえば、その分、レア感がある。「格闘技をやっている」ということでリスペクトされる度合いが高いということができます。とくに肉体労働とはかけ離れたデスクワークをしている人が、自己紹介で「じつは格闘技をやっています」といったときのことを想像してください。意外性という意味も含めて圧倒的なインパクトを与えることができるでしょう。経済評論家としてテレビでも活躍している友人の上念司(じょうねんつかさ)さんは、コメンテーターとして出演している番組で格闘技をやっていることをネタにして、意外性で笑いをとっていました。また、パッと見は貧弱そうなキャラクターのお笑いコンビ・ドランクドラゴンの鈴木拓さんが、じつは柔術家として最強に近い実力を持っていたりする(そのうえで、あまりそれを表に出していない)のも本当にカッコイイと思います。もちろん私がダイエットの手段として格闘技をすすめるのは、それがやせるために最も効果的な手段だと信じているからです。しかし、格闘技を趣味にするメリットはそれだけではありません。格闘家同士や格闘技の愛好家同士にかぎらず、「一般受け」という意味でも人間関係のうえで大きなメリットがあるのです。
プロ格闘家流「できる人」の身体のつくり方
第1章 「ダイエット常識」のウソ――すべて実体験で検証!より
なぜ世にはびこる「お手軽ダイエット法」は無意味なのか。なぜスポーツジムがすすめるジョギングなどの「有酸素運動」ではやせないのか。なぜ1日3食とってもお腹がすくのか。なぜほとんどのダイエット法は挫折するのか。元世界ランキング1位のプロ格闘家で、日本一たくさん道場を経営する格闘技業界No.1経営者が、食事と運動に関して、プロ格闘家としての経験から学んだ真実に加え、科学的な裏づけもとった「やせてあたりまえの方法」を伝授する。