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【精神科医執筆】ガマン(ストレス)が身体に与える弊害とは

我慢をするとストレスが溜まりますが、ストレスは様々な不調を引き起こします。時には癌のような大病も引き起こすと言われていますが、それはどういったメカニズムによるものなのでしょうか。精神科医・和田秀樹さんの著書から我慢と不調の関係をご紹介します。

和田秀樹

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目次

  1. ○我慢でストレスを溜めると身体にどのような弊害が起こるのか?
     
    • 我慢でストレスを溜めると身体にどのような弊害が起こるのか?

      我慢をすると、人間は大きなストレスを感じます。もちろん人間の生活には、適度なストレスは必要です。
      しかし、過度なストレスを感じ続けることによって、免疫機能は低下することがわかっています。
      日本人の死亡原因のトップは癌です。実に3人に1人が癌でなくなっています。
      意外に知られていないことですが、癌による死亡数が増えているのは、先進国では日本だけとも言われています。
      その原因を考える前に、癌が発生するメカニズムについての有力な仮説を簡単に説明しましょう。
      人間の細胞は絶えず細胞分裂を繰り返しています。そのときに、一定の割合でミスコピーが生じ、出来損できそこないないの細胞ができます。
      年齢とともにこのミスコピーの割合が増えます。
      通常、この出来損ないの細胞は免疫細胞が排除してくれるのですが、この免疫細胞(NK細胞)の活性は20歳をピークに低下していきます。
      そのため、高齢になると排除されなかったミスコピーの細胞が増え、その一部が勝手に増殖を始めることで癌になるのです。
      そう考えると、この50年ほどで30歳以上も平均寿命が伸びた日本人に、癌患者が増えているのは当然かもしれませんが、長寿化だけが原因ではありません。
      実際に癌とストレスの関連性を示す研究結果があります。
      たとえばオーストラリアのシドニー・ジスーク教授の研究に、うつ病とうつ病ではない人の「免疫細胞の活性の推移」を調べたものがあります。それによると、うつ病の人のほうが免疫細胞の活性が低いことがわかっています。
      また、伊丹仁朗いたみじんろう博士の研究では、笑いによって免疫細胞の活性が低い人でも正常値に近づくこともわかっています。
      つまり、日々の生活において、我慢をするとストレスを感じて免疫機能を低下させることにつながり、不健康(癌)になる。逆に、我慢をせず、笑いを生むような快体験をたくさんすることで、免疫機能が活性化し健康になる、ということです。
      ですから、美味しいものを食べるとか、好きな相手ばかりと付き合うとか、観たいテレビを観るとかいった快体験は、我慢をせずにどんどんやるべきだといえるのです。

「我慢する」がなくなる本

和田秀樹

ぱる出版

第1章 我慢することは美徳ではないより

身体的にも、精神的にも、我慢があなたに良い影響を与えることは一切ありません。逆に我慢は病気のもとです。「自分が謝れば済むことだから……」などと、我慢した結果、体も心もボロボロになってしまえば元も子もありません。長くもない人生、今が、そして結果がすべてです。

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