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- ○禁煙やダイエットが続かないときは、こんなふうに考える
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禁煙やダイエットが続かないときは、こんなふうに考える
禁煙がしたい、ダイエットがしたい。でも、続かないという人がいます。そういった人たちに言いたいことが二つあります。一つは「そもそもその禁煙やダイエットは本当に必要なことですか?」ということ。たとえば、60歳代以下の人であれば、喫煙は明らかに害なことです。細胞を老化させるだけでなく、癌になるリスクは高まるし、動脈硬化を促進するし、肺気腫という空気中なのに溺れたような状態になって非常に苦しむことになる病気にもなる確率が高まるからです。でも、70歳近くになった人なら別です。「70代の喫煙者・非喫煙者の生存曲線」を調べた研究があるのですが、それによると65歳以上であれば、喫煙はほとんど生存率に影響を及ぼさないという結果になっています。つまり、70歳近い高齢者であれば健康のために禁煙するというのは無用なわけです。もちろんこの本の読者のみなさんはもっとお若いと思いますので、喫煙は強く「やめたほうがいい」とアドバイスしておきます。ダイエットについても同じです。すでに書いたとおり、普通よりやや肥満の人のほうが最も長生きだという研究結果があります。もっと言えば、日本人は本当にダイエットが好きで、そのせいで栄養不足・飢餓状態に陥っている人もたくさんいます。それなのに、健康のためにダイエットをするのはどうかと思うわけです。「自分は健康ではなく、美のためにダイエットをしている」と言う人もいるかもしれません。でも、これも「健康的に良くはなくても美しいほうがいい」ということになってしまいます。過度な食事制限をすると、神経伝達物質が減少します。その結果、うつになりやすくなります。それでもいいのでしょうか。うつにまで至らなくても、うつっぽい気分になると、若返り欲求も減退します。寝たきりの高齢者が、食べているうちは元気なのに、食べられなくなって一気に病状が悪化する、老化が進行するというのは、よく知られていることです。さらに言うと、若い頃と違って、歳をとってから痩せるとシワが増えたり、肌のみずみずしさが失われたりします。食べないことは、「美を損なう」ことにつながるのです。一方で、美味しいものを食べるという快体験をすると、前頭葉が刺激されます。老化は感情から始まるといっても過言ではないので、老化予防つまり美しさを保つためには、我慢せずに美味しいものを食べたほうがよいのです。もう一つ言いたいのは、「禁煙やダイエットそのものが目的となっていないか」ということです。よく言われているのが、体重を減らすという数値自体が目的化してしまい、目標の体重を落とすことだけでは満足できなくなってしまうケースです。挙句の果てに、拒食症や過食症といった摂食障害になり、命の危険にもつながります。ダイエットの本来の目的は何なのか。それを見失わないことが、誤った道へ進むことを防ぐ防波堤となります。
「我慢する」がなくなる本
第2章 「我慢する」はこうして転換するより
身体的にも、精神的にも、我慢があなたに良い影響を与えることは一切ありません。逆に我慢は病気のもとです。「自分が謝れば済むことだから……」などと、我慢した結果、体も心もボロボロになってしまえば元も子もありません。長くもない人生、今が、そして結果がすべてです。