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なぜ何もしていないのに疲れるのか?

特に疲れるようなことをしたわけではないのに、何故か疲れることってありますよね。疲れが溜まっているのかな…?と考える方が多いと思いますが、この疲れの原因は筋肉と関係があるそうです。全米No.1の日本人スポーツカイロプラクターの著書から、疲れのメカニズムについてご紹介します。

仲野広倫

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目次

  1. ○なぜ何もしていないのに疲れるのか?
     
    • なぜ何もしていないのに疲れるのか?

      「何もしていないのに、すぐ疲れてしまう……」という人は、赤ん坊が立つのにどれだけの年月がかかるかを考えてみてください。よい姿勢を保つだけでも私たちはポステリアチェーン(カラダの後ろ側の筋肉)をフルに使っています。

      立位だけでもポステリアチェーンと呼ばれるカラダの後ろ側の筋肉をフルに使う

      立位だけでもポステリアチェーンと呼ばれるカラダの後ろ側の筋肉をフルに使う。

      姿勢が悪くなると臀筋を鍛えろと言われるのも、大殿筋、ハムストリングス、内転筋といった筋肉が最初のディフェンスだからです。
      もし臀筋が弱り硬くなって動かなければ、あとは背骨まわりの脊柱起立筋が背骨を支えるしかなくなります。しかし、脊柱起立筋は小さな筋肉で鍛えるのは困難です。
      筋力がなくなれば自分のカラダを支えられなくなります。腰が前傾し、ひざから曲がって猫背になります。最初は意識すれば自力でよい姿勢に戻ることができます。ところが、長年悪い姿勢のままだと、いくら力を込めてよい姿勢をつくろうと思ってもできなくなります。カラダも疲れやすくなります。

      ポステリアチェーンが衰えるとカラダを支えられず姿勢が崩れる。

      ポステリアチェーンが衰えるとカラダを支えられず姿勢が崩れる。

      筋力がないと重力による負荷で、筋肉がしだいに硬く癒着していきます。すると筋肉のパフォーマンスを出せなくなる。つまり弱くなります。筋肉による支えがなくなった関節は負荷がかかって、可動域が狭くなります。典型的には、あぐらがかけなくなったりします。
      開脚や股割りでなんとか股関節の可動域を出そうとするものの、すでに筋肉の故障から関節の故障へ進行している可能性があるので、軟部組織のリリースをしなければなりません。レントゲンによる的確な診断も必要です。関節が硬いから、ストレッチするのは根本的に間違いです。
      関節の故障も初期は軽度の痛みですみます。ただ、機能運動性を高めなければ徐々に関節が老朽化し、変形を起こします。変形性関節症がひどくなると基本的には手術でしか治りません。骨を切り取って新しい人工関節を入れる大がかりなものです。
      股関節やひざは、最新の手術で予後もよくなっているものの、首や腰の痛みの原因になりがちな背骨は脊髄が通っているため、人工関節に取り替えるわけにはいきません。予後も股関節やひざと比べてよくありませんし、脊髄は脳の一部であり、非常にデリケートな場所なので手術のリスクも大きくなります。

      「首に痛みがあり、今は手のしびれも感じるようになった」

      「腰が痛くて、最近はひざまで痛くなった」

      「背中が伸びにくく、倦怠感やだるさが取れない」

      「がに股やO脚になってきた」

      これらはすべて機能障害が進行した一例です。腰から股関節、ひざまで痛いとさまざまな場所が故障するのは、全体の機能運動性が落ちているからであり、「足の捻挫」など一過性の怪我とはわけが違います。昔は放っておけばそのうちよくなりましたが、慢性の痛みはまったく別物です。
      痛みのある人は「痛くて運動したくない、できない」となりがちです。ただ、どれだけ休んでも回復しません。我慢したり、放置するほど悪化します。
      ここでクイズを出しましょう。

      Q.年齢、性別、体重がまったく同じとき、どのタイプにいちばん腰痛が見られるでしょうか?

      ❶ 姿勢の良い人

      ❷ 姿勢の悪い人


      正解は「どちらとも言えない」です。よく姿勢の悪い人が腰痛を起こしやすいと思われがちです。これは間違いです。
      姿勢と痛みの関係にもいろいろなリサーチがあります。あるリサーチでは腰痛のある人とない人(計36名)の写真を、カイロプラクター、理学療法士、理学療法専門医、リウマチ専門医、整形外科医ら28名が、「正常、増加、低下」の3つで姿勢(横から見た首のカーブ、腰のカーブ)を判定した結果、姿勢に対する見立てはほぼ全員が一致するものの、痛みの有無には関連がないことが明らかになりました。
      そり腰だろうが、猫背だろうが、どれだけ姿勢が良かろうが痛い人は痛い、痛くない人は痛くないのです。
      しかしここでややこしいのが、悪い姿勢だと故障しやすいのです。猫背で座る。腰を曲げて荷物を抱える。足を組んでだらっと座る。こうした姿勢は腰、首の椎間板に負担をかけるため、故障を起こしやすい、つまり怪我のメカニズムと同じなのです。
      ですから、もし腰痛患者の姿勢が悪ければ、姿勢の改善を図ります。ただ、医者が「あなたは姿勢が悪いので、将来腰痛になります」と予言したら嘘になります。これが痛みと姿勢の関係です。
      痛みの原因は姿勢や骨の歪みではなくディスファンクション(Disfunction)、機能障害です。ではそれですべての説明がつくかと言えば、それほど甘くはありません。痛みは、年収、学歴、性別、職業、飲酒、肥満、喫煙などとの相関が、さまざまな角度から研究されています。
      とくにたばこと痛みの関係は1980年代から調査されていて、それだけで1冊に収まりきらない情報量があります。
      慢性的な痛みを首、腰に一生抱える人と喫煙率との関係は非常に高いことがわかっていて、さらに頭痛、線維筋痛症、慢性関節性リウマチといった症状とも相関関係が見られます。今すぐ禁煙をするのに十分説得力のあるリサーチです。
      ニコチンには一時的に痛みを抑える働きがあるものの、喫煙者のほうが痛みの感じ方が強いとのデータも出ています。血液循環が悪くなるというのも一理ありますが、脳の神経伝達物質や回路にニコチンが影響して痛みにつながるようです。「姿勢と痛みは関係ない」のは痛みを感じるのは脳だからであり、喫煙はその痛みを感知する認識システムに問題を起こすと言われています。
      また、痛みの強さとニコチンの量、つまり中毒性のひどい人ほど痛みは増すという研究もあります。
      わたしは「たばこ、アルコールに中毒がある人は痛み中毒になる」と患者さんに伝えています。日本ではたばこ、アルコールは嗜好品とされているものの、世界ではアルコールが法律で禁止されている国もあります。アルコール、たばこが世界でもっとも問題を起こしている依存性の強いドラッグであることは、もっと知られていい事実です。
      これらのデータは世界の地域などによっては大きなばらつきもあり、完全に原因を絞りきることは困難です。しかし、WHOの統計で後進国を対象にしたデータでも喫煙、飲酒、所得、学歴などと痛みとは明らかな関連性があります。
      また、あるリサーチによると、腰痛の再発率は1年以内に50パーセント、2年後で60パーセント、5年後はなんと70パーセントと言われています。
      つまり、腰痛は有無を言わさず繰り返しやすい症状であり、薬、注射、電気、整体、マッサージなどの対処療法で解決するというのはまったく間違えた発想です。
      痛みは、脳の感じ方から環境因子まであらゆることに関係するからこそ、機能運動性の向上を突破口として、生活習慣を見直しましょう。

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仲野広倫

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