目次
- ○ダイエットに欠かせない4つの耳つぼ
- ─耳つぼが司る、それぞれの神経
- ○耳つぼの押し方
- ─肺や噴門のつぼを少し長めに押すと効果的
- ○耳つぼの刺激で瘦せられる理由
- ─レプチンというホルモンが痩せるカギ
- ─塩の摂取量の減少でむくみが解決
- ○1000人の測定によって効果を証明
- ─耳つぼへの刺激で、体内にある脂肪が減少
- ─耳つぼの刺激で満腹中枢にも影響が
- ○耳にあるつぼのさまざまな効果
- ─精神を安定させる神門のつぼ
- ─噴門のつぼを補助するつぼ
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ダイエットに欠かせない4つの耳つぼ
理想の体型をつくる、4つの耳つぼの役割を理解しよう「なかなか痩せられない」「食事をがまんせず健康的に痩せるダイエット方法を探している」という人におすすめなのが、耳にある4つのつぼを刺激することで痩せられる、“耳つぼダイエット”です。私たちの体には、東洋医学でいう“経絡(けいらく)”が全身に張り巡らされています。経絡とは体の組織や器官と連動した経路。この経絡上には、刺激することで体の調子を整える効能があるとされるつぼがあり、耳には、内臓や自律神経の働きを助けるつぼがたくさんあります。たくさんあるつぼのなかでも、耳つぼダイエットでは4つのつぼを押すだけで、痩せやすい健康な体をつくることができます。それが、「肺」「噴門(ふんもん)」「内分泌」「神門(しんもん)」の4つのつぼです。耳にある“4つのつぼ”の位置と効果
肺
満腹感を亢進、空腹感を減少させ、食事の摂取量を減少させることで、体重を減少させることができるというデータがある。塩味覚過敏が認められている。噴門
食欲抑制効果、体重減少効果があるとされる経絡であり、塩味覚過敏効果が認められている内分泌
下垂体を介して全ホルモン系を安定化させる働きがあるとされている神門
不安や痛みを軽減し、気分を高揚させる経絡であり、鎮静、炎症作用があるとされている -
▼耳つぼが司る、それぞれの神経
次の図のように、耳の場所によって司っている神経が異なります。各つぼが、どの神経に属しているかみてみましょう。耳つぼの位置と、神経が支配する領域耳は大きく3種類の神経に属しているまず、肺、噴門、内分泌が位置している耳の内側は、迷走神経が支配しています。副交感神経や、のど(咽頭と喉頭)・食道の上部の運動神経なども含んでいます。迷走神経は内臓に多く分布しており、体内の環境を調節しています。神門のつぼが位置する耳の上部は、耳介側頭神経(三叉神経)と呼ばれる神経が支配しています。三叉神経は、痛覚や触覚といった顔の感覚を脳に伝える神経です。延髄から出ており、眼神経と上顎神経・下顎神経に分かれています。このほかに、耳の下側は大後頭神経(第三第四頚椎神経)と呼ばれる神経が支配しています。大後頭神経は椎の上にある神経から後頭部にわたる範囲に通っている神経です。この範囲には飢点と呼ばれるつぼがあります。飢点のつぼにも、肺や噴門のつぼと同様、食欲を抑える効果があるといわれています。 -
耳つぼの押し方
2種類の耳つぼ押しを習慣にして、太りにくい体質になろう!痩せるためには、4つの耳つぼ(肺、噴門、内分泌、神門)を押すのに効果的な押し方と押すタイミングがあります。 -
▼肺や噴門のつぼを少し長めに押すと効果的
耳つぼの押し方には、大きくふたつあります。ひとつは、指や綿棒、つまようじの丸いほうの先などで、4つの耳つぼを“ツンツン”と軽く押す方法です。耳つぼを押す時間は、5〜10分。とくに、食事の前や空腹を感じたときに押すのが効果的です。ただし、食欲をコントロールする効果がある肺や噴門のつぼは、ほかのつぼよりも少し長めの時間押してください。耳のつぼを押す際はくれぐれもやさしく、耳が傷つかないように押しましょう。左右両方の耳つぼを押すと、より効果的です。ふたつめは、金粒(1・2〜1・5㎜)を4つの耳つぼにそれぞれ貼っておくことで、1日中つぼを押して刺激を与えるという方法です。金粒がない場合は、ビーズなどの小さくて固いものでも代用できます。金粒やビーズを耳に貼るときは、「肌にやさしい・通気性がよい・かぶれにくい」不織布(ふしょくふ)製テープを薬局で購入して、使用するとよいでしょう。刺激の慣れを防ぐのと、衛生面の配慮のためにも、1日ごとに貼り替えてください。耳つぼの位置を覚えるまでは、ペンで印をつけて、その場所を押すとよい -
耳つぼの刺激で痩せられる理由
脂肪組織からつくられるホルモンで食欲が抑えられる!耳つぼダイエットでは、耳つぼを刺激することと並行して、体を健康にするために必要な栄養素や、脂肪の燃焼を高める栄養素を摂取することで、体調を整えていきます。そうして、リバウンドしない体質へと改善し、徐々に体重を減らしていくのです。肥満のおもな原因は過食です。肥満に悩む人は、本来必要な量よりも食べ過ぎているために、太りやすい体質になっていると考えられます。 -
▼レプチンというホルモンが痩せるカギ
「お腹がすいた」「もう満腹だ」という調整(摂食調節)を行なっているのは、間脳の視床下部にある満腹中枢と摂食中枢です。
実際に、ラットに耳つぼへの刺激を与えた実験で結果が現われています。まず、肥満のラットの耳つぼに電気刺激を与えた場合、その刺激によって発生した興奮は、迷走神経耳介枝という部分を経て間脳の視床下部に至り、摂食調節に関係するニューロンを活動させました。一方、肥満度の低いラットに同じように電気刺激を与えると、摂食調節関連ニューロンを活動させると同時に、レプチンの生成を促進しています。レプチンというのは1994年に発見された、白色脂肪組織という中性脂肪を貯蔵する働きをもつ脂肪細胞からつくられるホルモンです。そのレプチンが視床下部に「満腹だ」というサインを送ることで、食欲を抑えることができるのです。ほかにもレプチンには、肝臓や筋肉などでエネルギーを消費するように、交感神経に働きかけたり、エネルギーの消費を上げて必要以上のエネルギーが蓄積されないようにしたりする効果があるといわれています。耳つぼを刺激してつくられるレプチンが、痩せられるカギなのです。 -
▼塩の摂取量の減少でむくみが解決
塩分に対する味覚が鈍い人は、塩分の摂取量が多いため、水分貯留が起こっていると考えられます。水分貯留というのは、体内に十分に水分が補給されないため、体内にある水分を保存しようとする働きで、むくみの原因になります。肺や噴門のつぼを押すと、塩分に対する味覚が過敏になります。これは、舌と耳つぼの脳神経分布がほぼ同じであることが原因だといわれています。味覚が過敏になると、そのぶん、塩分の摂取量が少なくなり、水分貯留による体のむくみも改善できるようになります。塩分の摂取量が少なくなると、むくみにくくなる -
1000人の測定によって効果を証明
耳つぼの刺激で体重が減少し、間食も減った!耳つぼの刺激による痩身の効果を証明するための実験を行ないました。10〜70代の女性1000名を集め、耳にある6つのつぼ(肺、内分泌、噴門、神門、胃、食道)に金またはセラミックの粒子を貼りつけて、3カ月間4回にわたって体のデータの測定をしたのです。その際、測定器はタニタ社製デュアル周波数体組成計DC320を使用しました。耳つぼへの刺激を行なう器官は、食事指導(カロリー摂取量減少および、栄養バランスの指導)のみで、運動療法は行ないませんでした。 -
▼耳つぼへの刺激で、体内にある脂肪が減少!
実際に、1000人のデータを測定してみると、耳つぼへの刺激の前後で体重は平均63・64㎏から57・02㎏まで減少したことが明らかになりました。そのほかにも、BMIは平均22・89から22・06に、体脂肪率は平均25・94%から24・01%に、全体筋肉量は平均42・23㎏から41・08㎏に、ウエストサイズは平均77・60㎝から74・23㎝に、基礎代謝量は平均1331・03kcalから1280・61kcalに変化したことがわかったのです。体重は6㎏以上減少しましたが、全体筋肉量は2㎏弱しか減少していないという結果が出ました。このことから、脂肪が多く減少したこともわかります。そして、各データ間の相関関係を見たところ、スタート時のBMIの量は体脂肪率や内臓脂肪レベルBMI肥満度に高い相関を示したという結果が出ています。1000人のデータの変化
体重や脂肪へ減少しているが、体重あたりの筋肉量や基礎代謝量は増加している -
▼耳つぼの刺激で満腹中枢にも影響が
耳つぼへの刺激の効果の理由を推定するため、ほかの実験も行ないました。男女50名を25名ずつの2グループに分け、片方のグループにのみ金粒で耳つぼを30日間刺激しました。耳つぼへの刺激を行なうグループは、週に2回金粒を交換しました。そして、減食指導中にがまんできずに間食をしてしまった回数を、実験の対象者に報告させたのです。すると、減食指導中にがまんできずに3食以外に間食をしてしまった回数は、耳つぼを刺激したグループで合計252回だったのに対し、耳つぼを刺激していないグループで405回と多い結果が出たのです。これらの実験によって、ラットだけでなく、ヒトの耳つぼを刺激しても、満腹中枢を刺激する効果がある可能性が示されました。減食指導中に食べてしまった間食の数耳つぼへの刺激を行うと、間食の回数が5回から3回ほどに減少する -
耳にあるつぼのさまざまな効果
ホルモンバランスを正常に保つ、イライラをなくすなどうれしい効果が!耳つぼダイエットで押すつぼには、食欲を調節する以外にも効果があります。たとえば、耳の穴のすぐ下にある内分泌のつぼには、ホルモンの分泌リズムをコントロールする効果があります。ホルモンは血液などの体液によって運ばれて、特定の細胞や組織、器官に働きかける物質のことです。肥満になると性別に関係なく、生活習慣病になる可能性があります。ただ、女性の場合は太りすぎると、生理の周期が乱れる、生理痛がひどくなる、妊娠しにくくなる、といったことが起こると聞いたことはないでしょうか。これは、ホルモンバランスの乱れがおもな原因だといわれています。内分泌のつぼを刺激することで、ホルモンが原因で起こっていた生理不順などの不調を改善することができます。ただ、それ以外にも、日頃から規則正しい生活を心がけ、ストレスをためないようにしましょう。そうすれば、ホルモンバランスが整えられて、体質が改善されやすくなります。 -
▼精神を安定させる神門のつぼ
食事をがまんしたり、痩せることへの重圧を感じたりといったストレスが原因で、ダイエットに失敗する人が多くいます。心当たりがある人もいるのではないでしょうか。適度なストレスがあるほうが精神バランスが取りやすいといわれていますが、ストレスが過度になると過食に走りやすくなります。ほかにも、肌の調子が悪くなる、胃が痛くなる、といったことが起こり、心や体によい影響を与えません。神門のつぼは、イライラや不安を緩和してくれるので、押すとストレスを上手にコントロールできるようになります。 -
▼噴門のつぼを補助するつぼ
耳の穴のすぐ下にある、噴門のつぼ。このつぼを挟むように位置しているのが、「胃」と「食道」のつぼです。これらふたつのつぼは、噴門のつぼの働きを補助しているといわれています。胃と食道の調子が整うと、どのように体によいのかをみてみましょう。まず胃は、食べ物を消化する器官です。消化とは、口から体内へと入った食べ物が胃や腸から分泌される消化酵素の働きにより、体内に吸収しやすいように分解することです。健康的なダイエットには、食べ物の消化と栄養の吸収、そして、未消化物をつくらないことが大切です。高カロリーの肉食中心の生活をしていると、消化が追いつかずに食べたものが未消化物となって腸内に残ります。それが腐敗すると、病気になることもあります。胃の消化機能が高まると、必要な成分を小腸で体内に吸収して、いらないものを排泄するのがスムーズになります。胃やそのほかの内臓がきちんと働くと、脂肪の燃焼がよくなるため、基礎代謝が上がり痩せやすくなります。食道は、胃とつながった管状の臓器です。胃へ食べ物を送る働きをしており、胃に食べ物が入るときに噴門を通ります。食べ物が胃の中へ入るのは、食べ物が胃に落ちていくからではなく、食道の筋肉の働きによって胃に送られているからです。そして筋肉によって、胃に入ったものや胃液が食道に上がってこないようになっています。この筋肉の働きが弱まると、噴門が緩んで胃液が食道まで上がってきてしまいます。このように胃や食道は、噴門と深い関わりがあり、これらのつぼが噴門のつぼを補助しているともいえるでしょう。実際の器官の位置と同じように、胃と食道のつぼが噴門のつぼを挟んでいる