目次
- ○小麦の成分がさらに腸の透過性を上げる
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小麦の成分がさらに腸の透過性を上げる
小麦には、消化されにくいこと以外にも、リーキーガット症候群を促す理由があります。小麦のグルテンの一種であるグリアジンが、腸の透過性を上げる物質の分泌を促すのです。腸の絨毛にある上皮細胞は、細胞どうしがつながって、物理的な「ふるい」の役目をしているといいました。その結合を離す作用を持つ「ゾヌリン」という物質があります。小麦のグリアジンは、この物質の分泌を促すのです。実はゾヌリンは、健康な状態でも必要に応じて分泌されています。少し大きなものを腸から吸収する必要があるとき、腸の上皮細胞どうしを一時的に離す役目をしているのです。しかし本来なら、その目的を果たしたあとは元に戻ります。ところが、パンなどで小麦を多くとっていると、ゾヌリンが活性化し続け、リーキーガット症候群が起こったり、すでに起こっているときは悪化したりするのです。グルテンからできるモルヒネ様物質は、本来、腸の上皮細胞を通れない大きさの分子ですが、リーキーガット症候群になると通りやすくなります。そして、中毒が引き起こされ、さらに食べ続けてしまいます。つまりパンは、「未消化物を作る」「その未消化物を腸に入れる」「そのサイクルを続けさせる」という、体をこわすには完璧ともいえる複合作用を発揮するのです。腸の炎症とそれによるリーキーガット症候群によって、アレルギー疾患、自己免疫疾患、精神症状、感染症などが起こりやすくなります。アレルギーの原因物質(アレルゲン)になりやすい物質の筆頭は、分子量の多いたんぱく質です。しかし、パンを食べたときにできるような未消化物も、消化されたものより分子量が多く、アレルゲンとなりやすいのです。アレルギーを持つ人は、アレルゲンをとってすぐ症状が現れる即時型でも、数時間~数日後に症状が出る遅延型でも、同様に腸の透過性が上がっているという報告があります。ある研究では、アレルギーを持つ食品を摂取すると、腸の上皮細胞が構造的・機能的に変化することと、その食品を除去することで腸の状態が改善することを、画像で証明しています。この研究では、主に4つの食べ物で反応が強く出ました。牛乳、小麦、イースト、大豆です。ただし、日本では、消化しにくい大豆を発酵させて消化しやすくし、納豆、みそ、しょうゆなどにして上手に食べる知恵があります。このように、日本人は大豆と親しんできた民族ですし、遺伝子組み換え大豆が少ないことからも、比較的、大豆の悪影響は少ないと考えられます。そうなると、腸の透過性を上げてアレルギーを促す食べ物としては、パンに使われる小麦やイースト、次章で述べる牛乳がその筆頭になります。一方、小麦の未消化物などの異物が体に入ると、それを排除するために抗体ができます。この抗体が、体の臓器や組織を攻撃するのが、自己免疫疾患です。具体的には、関節リウマチ、多発性硬化症、小脳失調、橋本病、潰瘍性大腸炎、クローン病などがあります。こうした自己免疫疾患の最初のサインとして、腸の透過性が上がることが報告されています。なお、パンなどで起こる腸の透過性の亢進は、原因となる食べ物をやめて半年以上たっても、まだ残っている場合もあるので注意が必要です。
★パンをとると、「ゾヌリン」という物質が活性化し続け、リーキーガット症候群が起こったり、悪化したりする
★パンは「未消化物を作る→その未消化物を腸に入れる→そのサイクルを続けさせる」という、体をこわすには完璧ともいえる複合作用を発揮する
パンと牛乳は今すぐやめなさい!
第2章 なぜ、パンをやめたほうがいいのか?より
パンは腸と脳をこわす!牛乳は骨と血管を弱くする!乳ガン患者はパンと牛乳が大好き。内臓脂肪が激減!アトピー、鼻炎が改善!子宮筋腫、卵巣嚢腫が縮小!子供が勉強に集中できる。