目次
- ○痛い、歩きづらい 足のトラブルが急増中
- ○誰にでも起こり得る足指の変形
- ○靴の圧迫だけではない足の使い方が大問題!
- ○これって「外反母趾かな?」チェック
-
痛い、歩きづらい 足のトラブルが急増中
下にまとめた足の病気を見て、「意外とたくさんあるな」と驚かれたかもしれません。しかし、これはほんの一部。足首から下の部位だけを見ても、細菌感染が原因の水虫や爪水虫、足のオーバーワークで起こるアキレス腱炎・アキレス腱周囲炎、さらに、痛風や糖尿病による潰瘍など、ほかの病気によって足に痛みが出るケースも少なくありません。私たちが二足歩行を始めたときから、足は全体重を支え続けています。足には、ゆっくり歩行でも体重の約1・2倍、走れば約3倍、ジャンプすると4~10倍もの負荷がかかるとされています。そのため、足には衝撃をやわらげる機能が備わっているのですが、足のケガ、立ち仕事や運動による足の使い過ぎ、体重の増加などによって負荷が大きくなると、さまざまなトラブルが引き起こされるのです。なかでも、幅広い世代の女性が悩むのが『外反母趾(がいはんぼし)』と外反母趾で併発する『内反小趾(ないはんしょうし)』。まずは、どのような症状なのか見ていきましょう。こんなにある!痛みをともなう足のトラブル巻き爪
爪の端が内側に巻き込んだ状態。足の親指に多く、進行すると激しく痛むことも
外反母趾
足の親指がひとさし指側に曲がっていく症状の総称。足部ではもっとも多い疾患のひとつ。飛び出した足のつけ根部分に靴があたり、赤く腫れたり、ズキズキと激しく痛む
偏平足
足裏の土踏まずがない状態。歩行時の衝撃をうまく吸収できず、足裏などに痛みが出る
ハンマートゥ
親指以外の足指が「く」の字に曲がったままになる状態。タコやウオノメができて痛むことも
内反小趾
小指が内側に曲がってしまう足の疾患。歩行時に小指のつけ根に痛みが出ることも
モートン病
足裏の前部がくり返し衝撃を受け、しびれや痛みを生じる。中高年女性に多い
足底筋膜炎
一歩目を踏み出したとき、足裏やかかとに痛みが起こる。足の筋力低下が主な要因
-
誰にでも起こり得る足指の変形
足は片足だけでも26個ものさまざまな形をした骨が精密に組み合わさり構成されています。外反母趾は、足の親指(母趾)がひとさし指に向かって、「くの字」に曲がってしまった状態。外反、つまり、突出(飛び出る)した親指の付け根の関節が靴などで圧迫されることで、炎症や痛みが生じるのです。さらに、小指(小趾)が薬指側に曲がる内反小趾を併発することもあります。一般的に足の親指が15度~20度曲がっていると外反母趾の軽度と診断され、20度以上は重度となります。かなり重症になると、親指とひとさし指が重なってしまうケースも見られますが、これら足骨の変形は、ある日突然生じるのではなく、長年の積み重ねによって引き起こされます。そのため、中高年以降、とくに女性に多く見られるのですが、若い女性や成長期の青年にも十分起こり得ます。私の治療院でも、二〇代のOLさんや中高生のサッカーや陸上選手も外反母趾の相談に来られます。みなさんに共通しているのが“足に合わない靴”を履いていること。女性はつま先の細いハイヒール、アスリートはキツキツのスパイクシューズが原因となるケースが多いようです。窮屈な靴を履いて歩き続ければ、足指はつねに圧迫を受けます。これが足の骨が変形する大きな要因ですが、私は単純な圧迫ではないと考えています。小さな骨が集まる「足を構成する骨」足指の変形をそのまま放置すると、親指がひとさし指にのってしまったり、足を地面についただけで激しく痛むこともある。また、親指と小指の変形は併発することが多い。↓写真で見る!足の親指と小指の変形①外反母趾
外反角度20度以上で外反母趾の重度と診断、治療を要するとされている。「ただし、症状の出方は人それぞれで、軽度でも強い痛みが出ることも少なくありません」(浅田先生)。
②内反小趾
一般的に10度以上小指が内側に曲がっていると内反小趾と診断される。外反母趾ほどの強い痛みはないが、炎症を起こしたり、ウオノメやタコができやすく、痛むこともある。
↓外反母趾・内反小趾が起こる原因は?↓ -
靴の圧迫だけではない足の使い方が大問題!
靴の圧迫は外反母趾の直接原因ですが、それではスリッパやサンダル、大きな靴で起こる説明がなりたちません。大小に限らず足に合わない靴で起こるということは“歩き方”に問題があると考えるべきでしょう。足の小さな骨一つ一つは、たくさんのじん帯や腱によって支えられています。このような精密な構造が、足の複雑な動きをつくり出しています。例えば、靴の中で足はどのように動くのでしょうか。足の指は一本一本が自在に動く手の指と違い、親指と4指が協力して力を出します。ところが、大きな靴を履くと、脱げないように反射的に足指を上げたり、窮屈な靴を履くと指を曲げたかたちで歩いてしまいます。本来は親指と連動するはずの4指が十分に働かず、親指の“押し出す力”が使われなくなり、その筋力が低下、4指に引っ張られるようにくっついて変形を招くと私は考えています。逆に、内反小趾は使いすぎが主な原因。『正しく足を使う歩き方』で説明していますが、歩行時の重心移動は、かかとから入り、母指丘(親指つけ根のふくらみ)へ抜けます。ところが、親指が使われず、母指丘にかかるはずの体重を小指で受け止めると、小趾の細かい筋肉が巻き込まれるように収縮し、内反小趾となるのです。親指の機能低下が元凶のため、外反母趾が進行するほど起こりやすく、内反小趾単独はほとんど見受けられません。外反母趾・内反小趾が起こる原因とは?小指の骨が変形 内反小趾の原因
親指の働きの低下で小指の負担が増え、使いすぎが原因となることが多い。「外反母趾の悪化をともなうため、内反小趾が単独で起こることはほとんどありません」(浅田先生)
親指の骨が変形 外反母趾の原因
親指のつけ根が圧迫されて起こる。「歩き方など“ 間違った足の使い方”によって親指の働きが低下し、内側に引っ張られることで変形が進行すると考えられます」(浅田先生)
骨と骨、骨と腱をつなぐ「足のじん帯と腱」
大小26個の骨が集まる足部は、じん帯や腱、筋肉によって支えられ、「足のアーチ」を形成、強い衝撃を受け止めるクッションの役目を担っている。
-
これって「外反母趾かな?」チェック
痛みが軽いうちは「これくらい大丈夫」と見過ごしがちな『外反母趾』。進行を防ぐために、気になる症状をチェックしましょう!□親指が小指のほうへ曲がっている
□親指のつけ根が内側に出っ張ってる
□親指のつけ根が痛い
□親指のつけ根が腫れて赤くなっている
□親指のつけ根が靴に当たって痛い
□親指が第2指(ひとさし指)の下にもぐり込んで重なっている
□第2(ひとさし指)・3(中指)・4(薬指)指が小指のほうに曲がっている
□親指のつけ根の関節の下が痛い
□第2指(ひとさし指)のつけ根の関節の下が痛い
□足が平べったくなり、先のほうが広がっている
□扁平足(土踏まずがない状態)になっている
□かかとが外側に傾いている
2つ以上当てはまったら……
以上のチェックには外反母趾予備軍も含まれますが、チェックリストを作成した「日本靴医学会」では、2つ以上該当する場合、足・靴専門の医師に相談するよう推奨しています。