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- ◯生活の基本は「 入ってくるお金で暮らす」
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生活の基本は「入ってくるお金で暮らす」
お金に対する「問題解決」に、〝不安〞や〝自信のなさ〞などのマイナスの感情や余計な情報が入ってきて、問題が複雑になっているのは、ご理解いただけたでしょう。問題をシンプルに整理してみましょう。私たちが、お金に対して不安になっている理由は、ほとんどが「いつか貧乏になってしまうのではないか?」「いまのままでは豊かな暮らしができないのではないか?」といった、お金が「足りないこと」です(なかには、お金がありすぎて不安になっている場合もあります が、それはまたの機会に説明します)。では、あなたが「お金が足りない」ということを問題としている場合、その解決は、ふたつしかありません。「入ってくるお金を増やす」「出ていくお金を減らす」基本的に、日々の生活は「入ってくるお金で暮らすこと」ができれば、問題はありません。15万円入ってきたら、15万円。 30万円入ってきたら30万円の暮らしをすればいいでしょう。それ以上の暮らしをしようとしたり、将来のことを考えず計画性のない使い方をしたりすることから、「足りないよー」となってしまうのです。お金の問題を解決するためには、できるだけ感情を交えず、まるで他人ごとのように、 ありのままに現実を見ることから。もし、あなたが「これはやっぱり足りないわー」と思うなら、「入ってくるお金を増やせないのか?」「出ていくお金を減らせないのか?」、ふたつの解決策を考えればいいだけです。私が上京したとき、家の離れを無償で貸してくれた80代の女性大家さんは、たいへん質素な暮らしをしている人でした。天涯孤独で兄弟、親戚もなく、結婚もせず、子どももなかったといいます。家にあるものは、家具から調理道具まで数十年、使っているものばかり。それは、「古くていいもの」ではなく、ただ「古いもの」であり、服も古い普段着が数着。「買い物を するのは食料品ぐらいね」といって、ほとんど出かけず、ガーデニングをしたり、古い本 を読んだりして過ごしていました。ところが、年に数回、こんなふうに軽く言って出ていくのです。「しばらく旅に行ってくるわ。マダガスカル島のバオバブという不思議な木を見たくなったから」行き先は毎回ちがって、アマゾンのジャングルだったり、北欧の氷河クルーズだったり、オランダのチューリップ畑だったり......。若いころから旅行が趣味で、「ここに行きたい!」と思ったら、杖を突きながら飛んでいってしまうのでした。ほかにも、私の暮らす離れに新しいバスルームを設置してくれようとしたり、眼の手術 で入院したときは「わたくし、人といっしょの部屋で寝るのが苦手で......」と一日数万円する特別室に入ったり、ときどき、びっくりするほど豪快にお金を使うので、尋ねてみました。「これまで、どんなお仕事をされていたんですか?」「普通の高校教師ですよ」「でも、どうしてそんなにお金をもっているんですか?」「あら、簡単よ。普段はあまり使わないから、貯まっていくの。昔、銀行員をしていた 父から、よく教えられたものだわ。お金の使い方は〝水道の蛇口〞と同じ。毎月、入っ てくる量が同じであれば、普段は蛇口を閉めておいて、本当に欲しいものがあるときに、 ジャーッとひねって出せばいいだけ」なるほど、自分の意志で、蛇口を開けたり閉めたりしていれば、お金の問題は調整できるというわけです。大家さんは質素な暮らしをしているために、「ここぞ!」というときに使えたのでした。また大家さんには、庭の剪定や重たい買い物など、代わる代わる手伝いに来てくれる男性の老人が数名いました。聞くと、50年前の教え子たちとか。「先生にはたいへんお世話になったので、月1回ずつ交代で手伝いに来ているんです」こんなふうに、人とのつながりを保っておくのも、お金を使わずに暮らし、「出ていく お金を減らす」ためのひとつの方法なのでしょう。大家さんは、「自分を喜ばせてくれるものはなにか?」をよくわかっている人でした。生き方がぶれることはなく、決断が速い人でした。ただの節約家ではなく、いくつになっても自分の経験や学び、人を喜ばせるためにお金を使える人は、最高に格好いいと、私は思ったのです。お金の問題は、生き方の問題でもあります。まずは、「自分はどう生きたいのか」。そのために、いくら稼ぎ、いくら使うのか。そこからお金の問題も見え、解決方法も見えてくるのです。自分の価値が 上がるポイントお金の収支は〝水道の蛇口〞。 自分でひねって調整する
感情に振りまわされない―働く女(ひと)のお金のルール~自分の価値が高まっていく稼ぎ方・貯め方・使い方
将来の不安が消える「戦略」を立てよう。60歳までに、コツコツ貯金するより、60歳から毎月10万円稼げる自分をめざす!!