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【医師執筆】肩こりの原因と解消法

あなたは肩こりに悩まされていませんか?肩こりには様々なタイプがあります。この記事では、違うタイプの肩こりに効く、食材や運動について紹介します。

矢久保 修嗣 木下 優子 上田 ゆき子

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目次

  1. ○(気、血を巡らせる食材と運動で改善)
     
    • 肩こりの食養(気、血を巡らせる食材と運動で改善)

      ●いつも表に出ている肩はこりやすい
      多くの場合、エアコンは室内の天井や上のほうに設置されています。そのため、冷房をかけている部屋では、たいてい冷気が当たるのは肩のあたりです。また、お風呂に浸かっているときや、布団をかけて寝ているときも、肩は外に出て冷えていることが多いものです。つまり、肩は常に冷えがちなのです。
      冷えた肩の部位では、筋肉が固くなり、循環障害が起きています。循環障害とは、血液などの巡りが悪くなっていることで、漢方では気滞きたい瘀血おけつ水毒すいどくが関係します。
      そのため、肩こりを改善する食材は、気や血を巡らせるものが中心になります。
      ●急な肩こりがある場合
      長時間のデスクワークなどで、急に肩がこるようになった場合には、血の巡りが悪くなっていると考えられますので、血流をよくする食材がおすすめです。
      血管を広げ、血を巡らせる働きをする食材は、納豆、ニラ、菜の花、イワシ、ウナギなどです。
      大豆のたんぱく質は、そのままの状態よりも、発酵させた納豆のほうが吸収されやすくなります。ネバネバしている部分は、ナットウキナーゼというたんぱく質分解酵素が含まれていて、血栓を予防する効果があります。つまり、血流を改善するので、肩こりの緩和にも役立ちます。
      なお、朝に納豆を食べる人も多いと思いますが、血流は夜寝ている間のほうが滞りやすいので、夕食にとるほうが効果的です。
      ●ストレスによる肩こりがある場合
      ストレスと気は直結しています。気の滞りによって、血の巡りも悪くなり、肩こりが生じている場合は、気を巡らせる食材をおすすめします。
      大根は、気の巡りを促す作用があり、胃腸の働きを高めます。生のままでは、涼性で体を冷やしますが、加熱すれば冷やすことはありません。
      タマネギは、胃腸を温め、気の巡りを改善します。気の巡りがよくなると、体は温まり、肩のうっ血も解消されやすくなります。
      また、ストレスには、柑橘類など酸味のある食材が効果的です。ミカンは、気の巡りをよくし、消化吸収を促します。抗酸化作用もあり、疲労回復にも繋がります。ミカンの皮を干したものは陳皮ちんぴと呼ばれ、漢方に用いられます。苦みが湿邪を除き、辛味が気を巡らせるなどの働きがあり、「百病に効く」とも言われます。
      なお、気の滞りによって、冷えやのぼせが起こっている肩こりには、大根、タマネギ、ラッキョウ、紫蘇、鮭など、気の流れをよくし体を温める食材が有効です。
      ●むくみを伴う肩こりの場合
      むくみを伴う肩こりは、水分の代謝が悪くなっていることが原因と考えられます。体の水分バランスは五臓の腎が関係しているので、ハトムギ、黒豆、金針菜きんしんさい、ナズナ、スイカ、ブドウなど、利尿作用と腎を補う働きをもつ食材をとりましょう。
      金針菜は、ホンカンゾウという花を乾燥させたもので、水分の代謝をよくする作用や、精神を安定させる作用があります。鉄分やカルシウムも豊富で、貧血や月経痛などにも効果があります。水で戻し、スープや炒め物などに用いるのが一般的です。味にくせもなく、中華食材のコーナーなどでも売られていて、とりいれやすい食材です。

       

      *養生法
      肩こり対策には、食事以上に、適度に体を動かすことが重要です。デスクワークが多い人は、常に同じ体勢でいることが多く、とくに筋肉がこわばっているので、ときどき肩をまわして肩周辺の筋肉をほぐすように意識しましょう。
      なお、肩と、首や腰骨は連動しています。腰は骨格の要です。腰が不安定だと、体はその上の部分でバランスをとろうと無理をして、肩や首が痛くなることがあります。このような人は、腰痛の自覚症状はなくても、腰がこっていることがあります。ときどき、腰まわりのストレッチをするといいでしょう。
      なお、肩こりがひどくなると、多くの人の姿勢は両肩が前に出た状態になります。すると、胃の働きが悪くなり、食べ物がつかえる感じがしたり、胸郭が開きにくくなって、呼吸が浅くなり、息苦しさを感じる人もいます。悪化してしまわないように、こまめにこりをほぐすことが肝心です。

       

      ■里芋湿布で肩こり解消
      日本の民間療法では、サトイモは熱や腫れを鎮める効果があることで知られ、昔から肩こり、打ち身、神経痛、腫物などにサトイモを使った湿布薬〝イモ薬(または里芋パスター)〟が重宝されてきました。イモ薬の作り方は次の通りです。
      ①サトイモの皮をむいてすりおろす。
      ②同量の小麦粉を合わせる。
      ③②の量の約1割の生姜をすりおろしたもの
      と塩少々を加え、すり鉢でよく混ぜる。
      ④ガーゼなどに塗布して患部に貼る。
      効き目の持続時間は、4時間程度と言われています。皮は刺激が強いので、必ずむいてください。かぶれやすい人は、皮膚にゴマ油を塗ってから貼るようにしましょう。なお、肌に合わないときは、使用を中止してください。



女子漢方

矢久保 修嗣

木下 優子

上田 ゆき子

法研

冷え、むくみ、便秘・下痢、頭痛、月経前症候群ほか―漢方で整える、女性の心と体。

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