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【医師執筆】肌荒れの原因と漢方処方

「皮膚は内臓の鏡」と言う言葉をご存知でしょうか?肌荒れは、臓器の状態のあらわれ〟という考え方にもとづいた言葉です。この記事では、肌荒れに良いとされる漢方薬や対処法について紹介します。

矢久保 修嗣 木下 優子 上田 ゆき子

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目次

  1. ○漢方医学の考え方
  2. ○西洋医学の考え方
     
    • 漢方医学の考え方

      *症状
      「皮膚は内臓の鏡」と言う言葉をご存知でしょうか。〝肌荒れは、臓器の状態のあらわれ〟という考え方にもとづいた言葉です。
      肌荒れには、ニキビなどの炎症が起こるタイプと乾燥によって皮膚がかさつくタイプがあります。ニキビは、胃の不調から熱をため込み、その熱を発散させようとしてあらわれます。このとき、多くの場合は瘀お血けつになっています。
      かさつきは、栄養不足による血虚けっきょや、水分のバランスが悪くなる水毒すいどくなどで生じます。
      いずれのタイプも、ストレス、暴飲暴食、栄養や水分の偏りが原因として考えられます。肌のトラブルは、放置するとシミやシワが定着しやすくなりますので、原因を探り、早めに改善しましょう。

       

      *漢方処方
      ●肌荒れに加えて、胃の調子が悪い場合
      暴飲暴食や、胃の働きの低下による消化不良で胃に負担がかかり、体の中に熱をため込んでしまっていると考えられます。熱を発散して気、血の巡りを改善するには、温めて熱を出させる作用のある桂けいし枝茯ぶくりょうがん苓丸や半はん夏げ厚こう朴ぼく湯とうが有効です。
      ●脂性肌で、赤みが強いニキビがある場合
      芯のあるニキビがあり、顔面に熱がのぼって発散できていない可能性があります。肌の機能を正常にととのえる作用がある清上防風湯せいじょうぼうふうとうを処方します。
      ●膿や熱を持った、痛みを伴うニキビがある場合
      赤みだけでなく、化膿している場合は、薄墨色のような顔色の場合が多く、体内に毒素がたまっていると考えられます。このような症状には、十味敗毒湯じゅうみはいどくとうを処方します。
      ●月経前や月経中にニキビができる場合
      月経周期に関連してニキビができる場合は、瘀血が原因だと考えられます。このような場合には、血の流れを改善し、月経不順の改善やニキビの改善に処方される桂枝茯苓丸加薏苡仁けいしぶくりょうがんかよくいにんが有効です。
      ●乾燥とかゆみがある場合
      水分が必要なところに行き渡らず、血も不足して肌に栄養が届いていない可能性があります。肌の湿疹や乾燥のかゆみを鎮める作用のある当帰飲子とうきいんしは、当帰とうき地黄じおうなど血の巡りをよくし、水分を保つ作用の生薬しょうやくが配合されています。
      ●ストレスが多い場合
      気の巡りが悪くなっている気滞が原因だと考えられます。環境の変化など、ストレスの原因がわかっている場合は、その原因をとりのぞきましょう。心身のバランスをととのえ、精神を安定させる作用のある、加味逍遥散かみしょうようさんがおすすめです。
    • 西洋医学の考え方

      *症状
      ニキビには、毛穴が詰まる白ニキビ、酸化して黒ずむ黒ニキビ、黒ニキビが悪化して炎症を起こす赤ニキビ、さらに悪化した化膿ニキビなどがあります。
      私たちの肌には、肌を正常に保つための常在菌があり、その常在菌の一つが、皮脂を好み、ニキビを発症させる性質があるアクネ菌です。このアクネ菌が活性化して繁殖すると、ニキビになると考えられています。このほか、ホルモンバランスや生活の乱れなどによっても、ニキビはできやすくなります。

       

      *対処法
      ニキビを防ぐには、刺激の強くない石けんなどで洗顔して、毛穴の汚れをとりのぞき、皮脂の過剰分泌を抑えるために、しっかり保湿することが基本となります。スキンケアだけでは改善しないくらい悪化した場合には、ステロイド剤、抗菌薬の塗り薬や内服薬などを使って治療していきます。

女子漢方

矢久保 修嗣

木下 優子

上田 ゆき子

法研

冷え、むくみ、便秘・下痢、頭痛、月経前症候群ほか―漢方で整える、女性の心と体。

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