目次
- ○漢方医学の考え方
- ○西洋医学の考え方
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漢方医学の考え方
*症状おもに、めまい、立ちくらみなどの症状がありますが、血液検査によって貧血を指摘されるまで貧血の自覚症状がない人も珍しくありません。貧血が起こる原因は、栄養不足、胃腸の消化吸収の不良、過多月経などによって、血が不足している血虚の状態だと考えられています。とくに女性は、月経による出血があるので、貧血になりやすいと言えるでしょう。*漢方処方貧血を起こす根本的な原因を探り、個々の体質に合わせた治療を行います。貧血が続いている場合は、ある程度、長期間にわたって根気よく体質を改善する治療を行う必要があります。また、食事で鉄分を多くとるよう心がけましょう。●疲れやすく、顔色が悪い場合体力が衰えている人にも処方できる十全大補湯を処方します。ここに使われている生薬の地黄、芍薬は、いずれも血を補う作用があり、大病後の体力回復にも使用されています。●疲れやすく、食欲不振がある場合体力が弱く、食後に胃もたれや下痢などがある人には、消化不良などによる胃腸の調子をととのえる作用がある四君子湯を処方します。四君子湯には、余分な水分をとりのぞく作用もあり、気、血、水のバランスがととのうことで、体内の消化吸収機能が改善されます。●食欲不振、不眠、不安感などがある場合加味帰脾湯を用います。貧血の症状を改善するだけでなく、酸棗仁や竜眼、遠志という、精神的な興奮を抑える作用のある生薬が使われています。●月経量が多い、もしくは冷えがある場合冷えや月経不順を中心とした体調不良に伴う諸症状には、婦人科系の疾患の多くに使える漢方薬、当帰芍薬散を処方します。婦人科系の疾患の代表的な処方で、血を補い、体の余分な水分を排出して、体を温めます。 -
西洋医学の考え方
*症状めまい、血色不良、動悸、息切れ、疲労、倦怠感などの症状があらわれますが、自覚症状がない場合もあります。貧血とは、血液中の物質、ヘモグロビン(血色素)の値が正常よりも少なくなっている状態をさします。ヘモグロビンは、血の流れとともに体のすみずみに酸素を運ぶ重要な役割をしていて、このヘモグロビンが減ると、体内の酸素が不足して貧血が起こると考えられています。たくさんの出血を伴う過多月経だけでなく、無理なダイエット、インスタント食品などのとりすぎなどによる、鉄分不足も貧血の原因になります。その他、具体的な病気によって貧血が起きている場合もあります。*対処法貧血を起こす原因となる婦人科系や消化器系のがんや血液の疾患がある場合は、病気に対する治療を行います。とくに具体的な病気がない場合は、鉄剤を処方して経過をみます。また、生活面では、魚介類、肉類、大豆製品などの良質なタンパク質と、鶏や豚のレバーのような鉄分を多く含んだ食事、そして、鉄分の吸収をよくするビタミンCの摂取をおすすめします。