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- ○一見、見ているようでもこちらを見ていないケース
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一見、見ているようでも
こちらを見ていないケース「赤ちゃん特有の、人なつっこさが見られない」「あやしても、母親と目をあわさない」などの行動から気づくことが多いようです。こちらを見ているようでも、よく見ると目の焦点があってなく、集中していないように見えます。少し成長してくると、父親や母親など、普段から一緒に過ごしている人とは視線をあわせることができるようになってきます。けれども、見知らぬ人が声をかけても答えてくれません。Why? ほかの人の存在に気づいていない場合や
相手に興味がないということが考えられます。広汎性発達障害によく見られる特徴です。特に、乳児期の子どもにあらわれやすい傾向があります。なぜ目を見ないのか、乳児期のため、この頃の子どもの気持ちを正確に知るのは難しいので、細やかな経過観察が必要です。こう対処 1歳半の時点では診断はできません。
注意しつつ、見守るにとどめます。子どもは親や周囲の人と心を通わせるスキルをもって生まれてくるものです。けれども乳児のうちから、他人とコミュニケーションをとる能力に問題があると思われる子どもがいるのも事実です。乳児のうちは、「視線をあわせない」ということだけで、広汎性発達障害の診断はできません。またその後は、特に問題なく成長していく場合も多いものです。けれども、もし1歳半健診の時期になっても視線があわない違和感が続くようなら、広汎性発達障害の特徴の一つ「社会性の障害」のあらわれの可能性があります。まずは、保健師やかかりつけの小児科医に相談してみましょう。「あらわれ」とは症状や特徴、特性が頻繁に見られること。広汎性発達障害などの子どもの特性があらわれることを「あらわれ」と表現したりする。
子どもの発達障害 家族応援ブック
「うちの子、理解されにくいかも……」「うちの子、学校になじめないかも……」。言葉としてはよく知られるようになった「発達障害」。ただ、障害の詳しい特性や、望ましい接し方、「療育」など支援の仕方など、肝心なことはまだまだ十分知られているとは言えません。大切なことは、周囲の方が「発達障害」について正しい知識を持ち、早いうちに子どもが抱えている困難感を理解して、その子が持っている伸びる力を発揮できるようサポートしてあげることです。本書は、発達障害を持つ子どもが、すこやかに成長し、将来自立していけるように、発達障害の基礎知識、療育や支援の受け方など、実践的で役立つ情報を児童精神科医師がやさしく解説し家族を応援します