目次
- ○すぐに手が出てしまうため乱暴な子と思われることも
- ○かんしゃくを起こすとみさかいがなくなる
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すぐに手が出てしまうため乱暴な子と思われることも
3歳を過ぎると、子どもは社会性が出てきて友だちとの関わりが増えます。そのなかで対人関係での行動が気になり始めます。ほかの子と遊んでいるときなどに、ささいなことがきっかけで「相手を叩いたり、噛みついたり」してしまいます。叱っても直りません。周囲からは「しつけがなっていない」「わがままな子だ」と思われてしまうことも多いようです。Why? 言葉でうまく表現できなかったり、衝動的に動いてしまうため乱暴に見える場合もあります。言葉の発達がゆっくりな子どもの場合、相手に対する不満やいらだちを言葉にすることができずに、手を出してしまったということも考えられます。自分の気持ちをわかってもらいたいという気持ちのあらわれです。また、自分の身体の動かし方が不器用なために、友だちにぶつかってしまったり、乱暴に見えてしまう場合もあります。こう対処 子どもの成長度合いとその行動がふさわしいものか観察。
乱暴な行動をしても叱らずに、危険なことだけは周囲が注意を。衝動的な行動を起こしてしまう子でも、後からその理由を聞くと訳があるものです。乱暴な行動をしてしまったときにはいきなり叱るのではなく、自分の気持ちを言葉で説明できるように、ゆっくりと促していくことが望ましいですね。「自分が後回しにされたのが辛かったの?」など、答えやすい質問でたずねてあげるのも一つの方法です。子どもがなぜそんな行動をとったかを聞いたうえで、よくなかった行動に対しては「叩かれたりしたら、痛いし、悲しいのよ」と伝え、「そんなときは、『やめて』『返してね』と言うとわかってもらえるのよ」などと具体的にどう対応したらいいかを教えてあげてください。 -
かんしゃくを起こすとみさかいがなくなる
公園で遊びに夢中になっている子どもに「そろそろおうちに帰りましょう」とお母さんが声をかけると、とたんに「やだ!」と泣き叫び、興奮がなかなかおさまらないということがあります。「もう暗くなるから、遊びもおしまいよ」などと説明をしても聞き入れることはありません。むしろ、声をかけることで、よけいに身をよじらせて怒ったり、お母さんを叩いたりして暴れてしまいます。Why? 気持ちの切り替えが苦手なだけで乱暴な子だというわけではありません。誰でも自分のしていることに邪魔が入るのは愉快なことではありませんが、成長とともに、状況に応じて渋々でも聞き分けたり、あきらめたりできるようになっていきます。けれども一般に、広汎性発達障害をもつ子どもは興味や関心へのこだわりが強く、行動の切り替えが苦手です。このため、自らのこだわりの対象からいきなり切り離されそうになると、強い抵抗を示すようです。こう対処 予定をあらかじめ伝えたり、感情のコントロール法を教えます。遊びなどの終了間際ではなく、行動を開始する前に、「何時に帰るよ」とか「あの時計で長い針が7まできたら終わりだよ」と終了予定を伝えておくと気持ちの切り替えがしやすくなります。また興奮を静めるために「深呼吸をする」「数を数える」などの方法を教えておくといいでしょう。特に寝不足だと気持ちが不安定になりやすいので、「寝つきが悪い」「夜中に何度も目が覚める」「なかなか朝は起きられない」といったことが続いているようなら、生活リズムを立て直しましょう。
子どもの発達障害 家族応援ブック
「うちの子、理解されにくいかも……」「うちの子、学校になじめないかも……」。言葉としてはよく知られるようになった「発達障害」。ただ、障害の詳しい特性や、望ましい接し方、「療育」など支援の仕方など、肝心なことはまだまだ十分知られているとは言えません。大切なことは、周囲の方が「発達障害」について正しい知識を持ち、早いうちに子どもが抱えている困難感を理解して、その子が持っている伸びる力を発揮できるようサポートしてあげることです。本書は、発達障害を持つ子どもが、すこやかに成長し、将来自立していけるように、発達障害の基礎知識、療育や支援の受け方など、実践的で役立つ情報を児童精神科医師がやさしく解説し家族を応援します