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【医師執筆】集団行動が苦手な子どもの対処法

集団で遊ぶときに、ほかの子どもたちが先生からいわれた手順にしたがって遊んでいるのに、一人だけ途中で手が止まり、たたずんでいるというようなケースがあります。この記事では、抽象的な表現が理解できない子や集団行動ができない子の対処法について紹介します。

高貝 就

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目次

  1. ○次に何をすべきかわからない
  2. ○なぜみんなで同じ行動をとるのかが理解できない
     
    • 次に何をすべきかわからない

      集団で遊ぶときに、ほかの子どもたちが先生からいわれた手順にしたがって遊んでいるのに、一人だけ途中で手が止まり、たたずんでいるというようなケースです。子ども一人で出かける用意をさせているときに、途中で途方にくれたように動きが止まっている、などのケースでも、同じ理由が考えられます。ぼーっと止まった状態でいるため、「やる気のない子」などと見られてしまうこともあります。

      Why? 指示がうまく理解できない子が多いです。
      広汎性発達障害の子どもは、人から聞いた話を頭のなかにとどめておいて、考えながら行動する力が弱いと考えられます。聞いた話も、一番最初の手順はわかっても、その次に何をして、その次に何を…となるとわからなくなってしまい、動けなくなってしまいます。

       

      こう対処 何をすべきかを段階をふんで、一つひとつ具体的に手順を教えてあげましょう。
      手順を頭のなかで組み立てたり、スケジュールを頭のなかにとどめておくことができないことを周囲がまず理解しておきたいですね。簡単にできそうなことでも、広汎性発達障害の子どもにとってはとても難しいのです。何かを指示するときは情報を一つひとつ、具体的に簡潔に伝えましょう。はじめは一緒に具体的な手順を教えながら行うといいでしょう。こうした傾向の子どもは、耳から入る情報よりも目から入る情報を記憶することの方が得意な子どもが多いものです。ですから図などを使って説明を補うと理解が深まりやすくなります。注意してほしいのは、似たような行動で、ほかの病気が原因となっているケースです。たとえば短時間、意識がなくなるような場合はてんかん発作の可能性も考えられますので、小児科医に相談されることをおすすめします。
    • なぜみんなで同じ行動をとるのかが理解できない

      保育園や幼稚園で保育士さんや先生の指示にしたがって、ほかの園児と一緒に列をつくって歩いたり、歌ったり、遊んだりすることが苦手です。いわゆる、集団行動がうまくとれない状態です。突然、教室から出ていってしまったり、走り出したりするため、周囲の人から、身勝手なことをする子どもと受けとられたりします。衝動的な行動への安全面の注意も必要です。

      Why? 指示の意味がわからなかったり、その必要性がわからないので、指示を無視してしまいます。
      目の前の遊びに集中していて、先生の指示が耳に入らないこともあります。また先生の指示が理解できないため、どうしたらいいかわからないことが原因の場合もあります。子どもにとっては、ほかの子どもと同じ行動をとる必要性が理解できていないだけで、自分勝手な行動をしているつもりはありません。

       

      こう対処 子どものそばで具体的な声かけをすると内容が本人に伝わりやすくなります。
      広汎性発達障害の子どもには大声で何度も呼びかけるよりも、その子のそばに行き、くり返しそっと声をかけるといいでしょう。また、「買い物に行くよ」などの抽象的な言い方ではなく、「○○ちゃんと一緒に買い物に出かけたいから靴下を履いて玄関に来てね」などと、具体的に何をすればいいかわかる言い方を心がけましょう。自分に今、何が求められているかが、わかりやすくなります。幼稚園や保育園とも集団行動が苦手なことを話し合い、普通の声かけでは従えないようなら、具体的な指示を心がけてもらうよう相談しておくといいでしょう。

子どもの発達障害 家族応援ブック

高貝就

法研

「うちの子、理解されにくいかも……」「うちの子、学校になじめないかも……」。言葉としてはよく知られるようになった「発達障害」。ただ、障害の詳しい特性や、望ましい接し方、「療育」など支援の仕方など、肝心なことはまだまだ十分知られているとは言えません。大切なことは、周囲の方が「発達障害」について正しい知識を持ち、早いうちに子どもが抱えている困難感を理解して、その子が持っている伸びる力を発揮できるようサポートしてあげることです。本書は、発達障害を持つ子どもが、すこやかに成長し、将来自立していけるように、発達障害の基礎知識、療育や支援の受け方など、実践的で役立つ情報を児童精神科医師がやさしく解説し家族を応援します

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