目次
- ○糖質制限食十箇条を守る
- ○糖質のバランスを60%から12%へ
- ○たんぱく質と脂質をしっかりとる
- ○「穀物」と「イモ類」を控える
- ○イモ類でOKなのはコンニャクイモ
- ○缶詰、佃煮などにも要注意
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糖質制限食十箇条を守る
高雄病院の糖質制限食の鉄則とは次の「糖質制限十箇条」です。これは、糖尿病や肥満が気になる人に向けて、糖質制限の基礎となるルールを10項目にまとめたものです。では早速、この十箇条をベースにしながら、どのように糖質制限を実践したらいいかを紹介していきましょう。
一 魚介、肉、卵、豆腐、チーズなどのたんぱく質や脂質が主の食品はしっかり食べる
二 白パン、白米、糖類およびお菓子、白砂糖などの精製炭水化物の摂取は極力控える
三 やむを得ず主食をとるときは未精製穀物(玄米、全粒粉パン)を少量
四 飲み物は牛乳、果汁は飲まず、成分未調整豆乳、水、番茶、麦茶、ほうじ茶はOK
五 糖質含有量の少ない野菜、海藻類、キノコ類は適量OK。果物は少量に留める
六 オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的にとり、リノール酸を減らす
七 マヨネーズ(砂糖なしのもの)やバターは気にせず使ってヨシ
八 お酒は蒸留酒(焼酎など)はOK。醸造酒(ビール、日本酒など)は不可。ただし辛口ワインは適量OK
九 間食はチーズやナッツ類を中心に適量とる。菓子類、ドライフルーツは不可
十 できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
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糖質のバランスを60%から12%へ
食べてカロリー(エネルギー源)になるのは糖質、たんぱく質、脂質の「3大栄養素」。これにビタミン、ミネラルを加えたものは「5大栄養素」と呼ばれます。この3大栄養素からどのくらいのカロリーを摂取しているかを示した「エネルギー産生栄養素バランス」で、日本人は糖質60%、たんぱく質15%、脂質25%となっています。700万年におよぶ人類の進化の歴史からすると、カロリーの半分以上を糖質からとるというのは極めて偏った食生活です。これこそが糖尿病や肥満といった生活習慣病の引き金となっているのです。高雄病院のスーパー糖質制限食のエネルギー産生栄養素バランスは、糖質12%、たんぱく質32%、脂質56%という比率になっています。糖質を制限する分、カロリー摂取を減らさないようにたんぱく質と脂質をとります。その供給源になるのは魚介類、肉類、卵(卵製品)、大豆(大豆製品)、チーズ、ナッツ類、オリーブオイルなど。魚介類、肉類、卵(卵製品)、大豆(大豆製品)、チーズからは、たんぱく質と脂質がとれます。ナッツ類は脂質が多く、オリーブオイル、魚油、バターは、そのものが脂質です。たんぱく質には体内で合成できない「必須アミノ酸」、脂質にも体内で合成できない「必須脂肪酸」がありますから、たんぱく質と脂質は欠かせない栄養素です。一方、糖質(ブドウ糖)はというと、「糖新生(とうしんせい))」という肝臓の機能によって体内で合成できますから、"必須糖質"というものはありません。そのため、糖質は思い切って減らしても問題はないのです -
たんぱく質と脂質をしっかりとる
日本人の食事は基本的に、主食、主菜、副菜2品、汁物という「一汁三菜(いちじゅうさんさい)」で構成されています。和食店の定食がその典型ですが、糖質制限食ではこのうち糖質が多い主食をカットするわけです。その代わり、主菜と副菜を増やして栄養バランスを整えながら、その人にとって必要なカロリーを摂取します。旧来のカロリー制限を主体とした糖尿病の食事療法やダイエット法では、脂質が多い肉類や魚介類、チーズ、オリーブオイルなどを制限するのが普通でした。なぜなら脂質は1g 当たり9kcalと3大栄養素のなかで最も高カロリー(糖質とたんぱく質は1g 当たり4kcal)だから。しかし、太るのは糖質のとりすぎと、それによるインスリンの過剰分泌なのですから、ことさらに脂質をカットする必要はありません。脂質を減らすために肉類や魚介類の摂取が減ると、私たちの体を作っている大事なたんぱく質が不足します。ところが、筋肉や臓器だけでなく、髪も爪も皮膚もたんぱく質で作られていますから、たんぱく質を減らすわけにはいかないのです。そもそも自分の活動量に合ったカロリーの上限を超えない限り、脂質のとりすぎだけで太ることはありません。肉類や魚介類のようにたんぱく質を豊富に含む食材は、脂質も多く含んでいます。カロリー過多を恐れて脂質をカットしようとすると、肉類や魚介類といったたんぱく源を知らず知らずのうちに遠ざけてしまうことになり、たんぱく質が不足して基礎代謝が下がりやすくなります。基礎代謝の一翼を担う筋肉は、水分を除くとほとんどたんぱく質です。たんぱく質の摂取が足りないと筋肉が分解されて基礎代謝が落ちてしまい、同じだけ食べても太りやすい体質になってしまうので逆効果になります。筋肉の分解は、カロリー制限でリバウンドが起こりやすい理由のひとつとなっています。糖質制限食では、主食を食べない代わりに主菜と副菜を増やし、糖質の代わりに肉類や魚介類などからたんぱく質と脂質をとります。すると、カロリーもたんぱく質も不足しないため、筋肉の分解も起こりませんし、基礎代謝も下がりません。たんぱく質と脂質の摂取を増やすと基礎代謝が増えたり、「食事誘発熱産生」といって体内で栄養素を分解する際に一部が体熱となって消費されたりすることで消費カロリーが増加します。何より、食事の満腹感や満足度が高くなり、カロリー制限によるダイエットのようにひもじい思いをすることがないので長続きするのです。 -
「穀物」と「イモ類」を控える
糖質制限食の最大の特徴は、日本人の摂取カロリーの60%を占めている糖質を可能な限りカットすることです。理想的な糖質制限食生活に近づくために、先ほど十箇条を掲げましたが、大まかにいうと"糖質をカットすればいいだけ"。カットすべき糖質には、「デンプンを含む食品」「甘味のある食品」の2つのタイプがあると理解するとわかりやすいです。デンプンを含む食品は、さらに「穀物」と「イモ類」に分けられます。穀物とは細かくいうと、デンプンを主成分とする"植物の種子"。「米」「小麦」「トウモロコシ」が"世界3大穀物"であり、多くの国々で主食として食べられています。米からご飯やお餅、小麦からパンや麺類(パスタ、うどん、そうめん、中華麺など)、トウモロコシからシリアルやトルティーヤ(薄焼きパン)などが作られ、食べられています。このほかにも、そば、大麦、雑穀(アワ、ヒエ、ハト麦、オーツ麦など)なども穀物です。これらは主食として大量に食べるものであり、食後の血糖値を上げてインスリンの追加分泌を招きますから控えるようにします。念を押しておきますが、そばや雑穀はヘルシーなイメージがあるものの、糖質が多いので控えるようにしましょう。 -
イモ類でOKなのはコンニャクイモ
イモ類には、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、長イモ、ヤマトイモ、タロイモ、キャッサバなどがあり、いずれも糖質をたっぷり含んでいます。ジャガイモ、タロイモ、キャッサバは糖質があまりに豊富なゆえに、穀物の代わりに主食として食べている国々もあるほどです。また、イモ類はさまざまな食品に加工されています。ジャガイモから作られるポテトサラダ、フライドポテト、ポテトチップス、肉じゃが、サツマイモから作られる大学イモや焼きイモなどさまざまですが、いずれも控えましょう。片栗粉、春雨、葛粉などもイモ類のデンプンが原料に使われていますから、糖質は多いのです。イモ類でOKなのはコンニャクイモ。コンニャクイモは、その名の通りコンニャクの原料であり、水分を除くと「グルコマンナン」という多糖類が大半を占めます。グルコマンナンは、ヒトの消化酵素では消化も分解もされないため、血糖値もインスリンの追加分泌も招きません。 -
缶詰、佃煮などにも要注意
もうひとつの「甘味のある食品」とは、砂糖、果糖、ブドウ糖などの甘味料、これらの甘味料を使ったお菓子や清涼飲料水などのことです。食べてみて甘いので「糖質が入っている」とわかりやすいのが特徴です。甘味料は蒲焼きなどの缶詰、佃煮などの加工食品や保存食品にも入っていますから、栄養成分表示で糖質がどのくらい入っているかをチェックしましょう。甘味料のなかには、ハチミツ、メープルシロップ、アガベシロップ、黒糖、和三盆のようにヘルシーなイメージが強いものもありますが、これらは糖質以外の何物でもありません。精製した白砂糖などと比べるとビタミンやミネラルなどの栄養素が含まれているという主張もありますが、これらの微小な栄養素が与えるプラスの効果よりも、糖質をとってしまうマイナス面のほうが遥かに大きいです。ビタミンやミネラルなどの栄養素は甘味料ではなく、野菜などからとればいいのです。
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