目次
- ○サプリメントをとるよりも食事を見直そう
- ○添加物を体に入れない食事法とは?
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サプリメントをとるよりも食事を見直そう
前章の患者さんの体験談では、水飲みのほかに、「体を冷やさない」「食品添加物を避ける」などのアドバイスを目にされたと思います。そこで、この章では食事、入浴、冷え対策など生活全般に関して、水飲みの効果を上げるために心がけたいポイントをお伝えします。まずは、食生活についてアドバイスしましょう。栄養の不足やアンバランスが心配な人にとって気になる存在が、サプリメント(栄養補助食品)です。最近では、妊娠を望む女性に向けた「妊活用サプリ」まで販売されています。患者さんからも「サプリメントをとったほうがいいですか?」という質問をよく受けますが、私は基本的に必要ないと考えています。体に必要な栄養素は、食事からとるのが基本です。食べ物にはそれぞれ、植物や動物が自身の命を養うために蓄えた多種多様な栄養素が含まれています。栄養素はどれか1つが単独で働くわけではなく、ビタミン、ミネラル、たんぱく質、糖質、脂質など、さまざまな栄養素が互いに作用し合い、協調して働くことで、私たちの体を健康に保っています。毎日の食事でいろいろな食べ物を広く浅く偏らずにとることが、人体に吸収・活用されやすいかたちで栄養素をバランスよく補給する近道なのです。私がサプリメントの活用に消極的な理由は、質のよい、安心して摂取できるものを見極めるのが非常に難しいからです。サプリメントの原料には、化学合成で人工的につくられた合成原料と、天然の材料からつくられた天然由来原料がありますが、市販のサプリメントの多くは合成品で、特に価格の安いものはほとんどが合成品です。栄養素の種類によっても違いますが、一般に合成品は天然由来成分に比べて体内への吸収率や作用が劣ります。原料を化学合成する際、体にとって有害な物質も同時に生成される不安もあります。また、サプリメントには、原料を固めたり、増量したり、味を調えたり、保存期間を長くしたりするために、さまざまな添加物が使われています。サプリメントは毎日とるものですから、添加物が体に与える影響も気になります。こうした点を考慮すると、あえてサプリメントをとる意味はあまりないでしょう。では、バランスのよい食事をとるには、どうすればよいでしょうか。1つの目安となるのが、日本の伝統的な食事スタイルである「一汁三菜」の献立です。ごはんと味噌汁に、肉・魚介類・卵・大豆などたんぱく質の多い食材を使った主菜(メインのおかず)を1品、野菜・いも類・豆類・きのこ・海藻類などビタミンや食物繊維が豊富な食材を使った副菜(サブのおかず)を2品つけると、一汁三菜になります。これにチーズやヨーグルトなどの乳製品と果物を加えれば、全ジャンルの食品を網羅できます。「一度の食事でたくさんの種類の食品をとらなければいけない」と、無理をしなくてもだいじょうぶです。昼食で肉を食べたら夕食の主菜は魚にする、揚げ物の次は煮物にするといった具合に、食材や調理法にバリエーションを持たせて、1日の中でバランスを取っていけばOKです。なお、妊娠に備えて妊活中から特に意識してとっておきたい栄養素があります。それは、ビタミンB群の仲間である葉酸です。葉酸は細胞の分化に不可欠なので、妊娠初期の胎児にとって特に重要な栄養素です。葉酸が不足すると、脳や脊髄の先天異常である神経管閉塞障害(二分脊椎や無脳症など)の発症リスクが高まることがわかっています。そのため厚生労働省では、妊娠を計画している女性は1日あたり400㎍の葉酸を摂取するよう推奨しています(妊娠していない18歳以上の女性は葉酸の摂取推奨量が1日あたり240㎍)。葉酸は、牛・豚・鶏のレバー、焼きのり、乾燥わかめ、煮干し、たたみいわし、さくらえび、ほうれん草、モロヘイヤ、ブロッコリー、アボカド、パセリ、切り干し大根、枝豆、納豆、エリンギ、きくらげ、まいたけ、イチゴ、キウイなどに多く、葉物野菜以外にも幅広い食品に含まれています。農林水産省では「1日あたり400㎍の葉酸は、例えば野菜を1日350g程度食べるなど、各食品について適正な摂取量を確保すれば摂取が可能」との見解を示しています。その意味でも、やはりバランスのよい食事は必須です。添加物を体に入れない食事法とは?
食生活で特に気をつけたいのは、添加物を極力、体に入れないことです。私たちがふだん、スーパーやコンビニで手にする食品には、風味や見た目、保存をよくするために、着色料、発色剤、香料、安定剤、乳化剤、増粘剤、保存料、酸化防止剤、漂白剤、防かび剤、甘味料、酸味料、化学調味料など、さまざまな添加物が加えられています。こうした添加物には、石油などからつくられる化学合成品も多く、発がん性やアレルギーなどの病気を誘発する可能性が指摘されるものや、人体に毒性のあるもの、生まれてくる赤ちゃんに影響を及ぼす懸念があるものも少なくありません。添加物は毒性試験を経て、安全性を確認したうえで認可されていますが、日本の安全基準は欧米諸国に比べると甘く、複数の添加物を同時に摂取した場合の複合毒性や、長年にわたってとり続けた場合の人体への影響は未知数です。添加物は体にとって異物なので、その解毒・排泄のために肝臓や腎臓に多大な負担をかけますし、排泄しきれず体内に蓄積されて、体の機能に悪影響を及ぼす可能性もあります。添加物を体に入れないためには、まず、食品を買うときに原材料表示をチェックするクセをつけることです。原材料名のうち、原料として使われている食べ物以外の成分や、見慣れない名前の成分は、ほぼ添加物と思って間違いありません。調理・加工済みの食品や、甘いのにカロリーゼロ、ノンアルコールなのにお酒のような味がするといった不自然な食品には、多くの添加物が使われています。インスタント食品やレトルト食品、加工肉、スナック菓子、袋入りパン、できあいの惣菜や弁当類、ファストフードなどは、できるだけ避けましょう。食卓から添加物を遠ざけるには、料理を手作りするのがいちばんです。肉や魚、野菜などの食材を買って、できるだけ自分で調理するよう心がけてください。生鮮食品も添加物とは無縁ではなく、野菜に使われる農薬や、畜産物の飼料に含まれる抗生物質やホルモン剤、魚介類の重金属汚染などの心配はあります。それでも、自分で調理をすれば、少なくとも食品の加工段階で加えられる添加物を排除できますし、いろいろな食材を偏りなく利用することで、特定の有害物質を多く取り入れるリスクを減らすこともできます。とは言え、毎日のことですから、ゼロから料理を何品も作るのはたいへんです。食材はまとめて下ごしらえして冷蔵・冷凍しておく、主菜と副菜を兼ねた具だくさんのおかずを作る、冷奴や納豆など手をかけずに出せる一品をプラスするなど、なるべく手間ひまをかけずに自炊できる方法を工夫しましょう。あなたの体は、あなたが食べたものでできています。そして将来きっと授かる赤ちゃんも、あなたが食べたもので育ちます。お母さんの体内環境が悪ければ、当然、赤ちゃんにも影響が及びます。「子どもには安全なものを食べさせたい」というのは、どの親も願うこと。今のうちに意識を転換しておくことが、あなたと家族の健康にとってプラスになるはずです。なお、飲酒に関しては、妊娠後は禁酒が鉄則ですが、妊活中は適量であれば問題ないと思います。お酒の適量の目安は、一般的には「1日のアルコール摂取量を25g以下に抑えるのが望ましい」とされています。アルコール25gは、ビールであれば500㎖、日本酒であれば1合(180㎖)、ワインであればグラス2杯(180㎖)、ウイスキーの水割りやハイボールの場合はグラス2杯(ウイスキー量は60㎖)に相当します。ただし、毎日飲むのはNGです。できれば1日おきに休肝日を設けましょう。お酒を飲む前には必ず、水を飲むことも忘れないでください。お酒も食べ物と同様、なるべく添加物の少ないものを選ぶようにしましょう。発泡酒や糖質オフビールよりも生ビールを、カクテル風飲料よりもハイボールや焼酎のお湯割りなどのほうが、添加物が少なくて済みます。カップルでお酒を飲みながら食事や会話を楽しむことは、コミュニケーションを深め、ムードや気持ちを盛り上げる意味でも役に立ちます。お酒が好きな人は適量を守りつつ、日常のアクセントとして楽しみましょう。
もっと水を飲めば赤ちゃんができる!
4週間で妊娠体質になる!不妊は病気ではなく、単に体が妊娠しづらい状態になっているだけのこと。つまり、妊娠できる体に体質を改善していくことが、妊活の重要な目的となります。体質改善のポイントは、「血流改善」「デトックス」「冷え(低体温)の解消」。この3つを同時に実現するのが、水を1日2l飲むことなのです。