目次
- ○1.仰向け
- ○2.横向き
- ○3.枕の調整
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1.仰向け
仰向けでは、適切な枕を用いて、首の骨(頸椎)が普通よりも曲がったり(屈曲)伸びたり(伸展)せず、あごも軽く引けた姿勢が理想です。頸椎・胸椎・腰椎の脊柱カーブも、正常な緩やかな生理的弯曲が保たれているのが理想です。
理想的な仰向け姿勢
枕を使用しないと、頭が後ろに行きすぎて首の前弯が増強し、あごが前に突き出ることになります。胸椎上部では代償として過剰な屈曲を生じてしまいます。
頸椎過伸展
この姿勢は、頭がからだの前に出て、ねこ背姿勢を増強することになります。舌の位置と顎関節の位置も変わってしまい、将来的に、飲み込みにくいという嚥下(えんげ)障害をきたす可能性があります。逆に、枕が高いと、首が曲がりすぎて、首から胸椎の真ん中まで長く過剰な屈曲を生じ、腰椎の前弯は減少します。
頸椎過屈曲
この姿勢は、肩甲挙筋や僧帽筋上部線維に伸張ストレスを生じさせ、ストレートネックとなで肩を助長するおそれがあります。神経も伸張され痛みを生じることがあります。なお、枕の高さが合っていても、寝具が柔らかすぎると胸部や腰部が寝具に沈み込んでしまい、枕が高く感じますので注意が必要です。 -
2.横向き
横向きにおいては、適切な枕を用いて、首が左右に曲がったりせずに、あごも軽く引けた姿勢をとることが重要です。仰向け姿勢と同様に、頸椎・胸椎・腰椎の脊柱カーブも正常な生理的弯曲が保たれているのが理想です。
理想的な横向き
枕を使用しないと、首がベッド側へ曲がり、胸椎の上の方にもその曲がり方が波及してしまいます。
首のベッド方向への側屈
この姿勢は、側弯症あるいは骨盤の高さの左右差(天井側のウエストラインがベッド側よりも低くなる)を生じる可能性があります。逆に、枕が高いと、首が天井側へ曲がり、胸椎の上の方にもその曲がり方が波及してしまいます。
首の天井方向への側屈
この姿勢は、側弯症あるいは骨盤の左右差(天井側のウエストラインがベッド側よりも高くなる)を生じる可能性があります。また、正しい枕の高さでも、いつも同じ側を下にして寝る習慣がある場合には、下側の肩甲骨が前に出て肩が前に出る巻き込み肩となり、僧帽筋下部線維や菱形筋が伸張されてしまいます。
下側の肩甲骨が前に出る
あるいは、体格の大きな人の場合は、上になる腕の重みにより、上側の肩甲骨が前に出て肩が前に出る巻き込み肩となり、僧帽筋上部線維の筋活動が過剰となってしまいます。
上側の肩甲骨が前に出る
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3.枕の調整
寝る姿勢における不良姿勢を修正するには枕選びも重要になります。自分自身に合った高さを確認するには、バスタオルを用いて高さを調整します。仰向けでも横向きでも理想的な姿勢になれる高さを探すことが大切です。バスタオルは、肩口ぎりぎりまでしっかり入れます。横幅は50〜60㎝くらいが寝返りを打っても頭がはみ出さない幅です。肩甲骨の正しい前傾角度に合わせて、肩甲骨もリラックスできるようにするのが目的です。理想的な仰向け姿勢になるように、バスタオルを組み合わせて傾斜を作ります。傾斜は、15〜20℃くらいが一般的です。
仰向けでの枕の調整
のどが詰まる感じがしないか、呼吸が楽かもチェックします。さらに、仰向けで調整した傾斜が、横向きになったときにも使えるかがポイントになります。横向きになっても首が左右に曲がらないのが理想的です。
理想的な仰向け姿勢
すなわち、理想的な仰向け姿勢から寝返って横向きになっても、理想的な横向きの姿勢が保てる傾斜を調整することが大切になります。寝具屋で枕を作ってもらう方もいますが、寝具屋のマットの固さが自宅のマットや布団の固さと異なっている場合は、自宅に持って帰ると高さが合わないことも多くあります。自宅のマットや布団で、バスタオルを使って高さを合わせた物を、寝具屋に持っていって、的確な枕に仕上げてもらうことをおすすめします。
睡眠中によくとられる姿勢である仰向けと横向きの姿勢について説明します。
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