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- ○「ダイエット力」とは「マネジメント力」のことである
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「ダイエット力」とは「マネジメント力」のことである
コツコツと地道な作業を厭いとわずにやることがダイエットにも経営にも重要であるということ以外でもダイエットで得た経験が経営に生かされることは、まったくもって特別なことではありません。まず、何より、ダイエットには計画性が必要です。「達成可能なレベルで最上の計画を立てて実行し、成果を確認して次につなげる」。ダイエットの成功者が必ず行っているこの流れは、そのまま生産現場の管理業務を正確に行うための「PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクル」につながります。「目標を立て、それをクリアするための方法を模索し、実行に移す」というスキルは、そのままどんなビジネスの場でも必要とされているのです。そして、若手経営者のあいだで流行しているトライアスロンやロードレース、さらには格闘技にしても、その利点は「ハードなトレーニングによって肉体とともに精神が鍛えられる」というだけではありません。この三つのスポーツに共通しているのは、「勝つために高度な戦略性が求められている」という点です。三つの競技(水泳、自転車、マラソン)を完走しなければならないトライアスロンは、「どの競技を、どのようなペースでクリアするか」「自分の得意種目とライバルの得意種目を考え、どの段階で、どのような位置につけておくべきか」という具体的かつ詳細な戦略と、それを実行に移す精神力が必要になります。また、ロードレースも、コースの距離やアップダウンはもちろんのこと、カーブのコースどりや路面の凹凸、ある地点が向かい風になるか追い風になるかまで把握しなければ作戦が立てられません。そして個人戦でも、ときにはライバルと協力態勢を取り合って隊列を組んで走ることで風の抵抗を減らし、体力を温存して勝負どころに備えるなどの戦略も必要です。もちろん格闘技もたんなる殴り合いや力比べではありません。きわめて戦略的な頭脳が必要なのです。それを最も感じられるのが、柔術などにおける寝技でしょう。「亀の状態の相手を引っくり返して仰向けにして“横四方固め”から“腕ひしぎ十字固め”へ」など柔道で寝技が上手な選手を見ていて、「この選手は流れるように次の技に入るなぁ」と感心したことはありませんか? 柔道にかぎらず、柔術や総合格闘技でも寝技で最終的に「極き め」に入るまでには、いくつもの準備と技の流れが必要になります。それを専門用語で「セットアップする」と呼ぶのですが、「こういう手順で、この技を見せて、相手がこう対応してきたら、こう返す」ということを寝技の最中は誰もが何パターンも考えているのです。そして、寝技は相手の出方次第で進むべき道が刻一刻と変わるのですが、これは状況が日に日に変わる経営者に求められる「臨機応変さ」そのままです。好ましくない変化の流れをいかに止めるか。逆に、チャンスが広がってきたら、いかにリスクをとって攻めに転じるか。それは寝技でいえば自分の残りの体力を、ビジネスでいえば自社の経営状態などを頭に入れて即座に判断しなければなりません。もちろん相手の出方を3手、4手先まで予測する力も必要になってきます。この道をとおると「詰み」なので、すぐにルートを切り替えなければいけない--というのも、寝技でもビジネスでもよくあることです。ちなみにグーグル本社では2014年から福利厚生の一環として社内に道場をつくって「ブラジリアン柔術」のクラスを設けています。この「ブラジリアン柔術」は寝技中心の格闘技です。社員の健康維持はもちろんのこと、ブラジリアン柔術をとおして養われる「戦略性」「先読みの力」を鍛えることもその目的に入っているのでしょう。「継続する力」「戦略性」「先を読む力」「忍耐力、精神力」「健康であること」、そして何より、それらをすべて持っている人に自然と生まれる「信頼感」。ダイエットで培われた思考とスキル、そしてダイエットの成果である「引き締まった身体」は、ビジネス上で成功を収めるためにも、これほどまでに役に立つものなのです。
プロ格闘家流「できる人」の身体のつくり方
第1章 「ダイエット常識」のウソ――すべて実体験で検証!より
なぜ世にはびこる「お手軽ダイエット法」は無意味なのか。なぜスポーツジムがすすめるジョギングなどの「有酸素運動」ではやせないのか。なぜ1日3食とってもお腹がすくのか。なぜほとんどのダイエット法は挫折するのか。元世界ランキング1位のプロ格闘家で、日本一たくさん道場を経営する格闘技業界No.1経営者が、食事と運動に関して、プロ格闘家としての経験から学んだ真実に加え、科学的な裏づけもとった「やせてあたりまえの方法」を伝授する。