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クレジットカードの基本と賢い使い方

ポイントや割引が魅力的でクレジットカードをよく使っていませんか?また複数枚持っている方も多いのでは?しかし、そもそもクレジットカードも借金の一種です!クレジットカードの基礎知識と賢い使い方をお伝えします!

マネー研究会

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目次

  1. ○クレジットカードも借金の一種
  2. ○クレジットカードの仕組み
  3. ○クレジットカードの賢い使い方
  4. ○クレジットカードのセキュリティ
  5. ○クレジットカードの利用を考える
  6. ○返済遅延とブラックリスト
  7. ○インターネットでの利用
     
  1. クレジットカードも借金の一種

    かれこれ20年来の付き合いの女性と、一緒に夕食をとっていたときのことです。支払いの段になって女性が奢ってくれることになりました。彼女がレジで財布を取り出すと、そこには5枚ほどのクレジットカードが並んでいました。そのうちの1枚を取り出して、クレジットで支払いました。私は興味本位で彼女に聞いてみました。「その財布の中のクレジットカード、全部使っているの?」彼女は当たり前といわんばかりに「だって割引なんかがあって、とても便利よ」と答えました。さらにクレジットカードによっては、使った額に応じたポイントがたまり、各種の特典と交換できるというのです。そのときは私もそんなものかと思っていましたが、2年後、彼女はクレジットカードの使いすぎで自己破産してしまいました。あきらかに、彼女の収入を超えた額のクレジットカードを使っていたのです。
    現代社会においてクレジットカードはひとりあたり数枚も発行されており、その利便性から社会に広く浸透しています。しかし、その反面彼女を自己破産に追いやったような危険性も持ち合わせています。そもそもクレジットカードとは何物なのでしょうか?
    クレジットカードとは、その名のとおり《個人のクレジット=信用に基づいて発行される》カードです。したがって、カードの発行自体が個人の信用に基づいた信用供与を意味しています。くだけた言い方をすると、「貴方に20万円の買い物の支払能力があるものとみなして、わが社が買い物の際に一時的に立て替えます」ということになります。カードの発行時に、個人の金融情報を調査して信用を供与するに足るか否かを決定しています。この信用供与の根拠となる金融情報とは、社会人として確実に収入を得ているか、過去に借金で事故期にわたる返済の延滞起こしていないかなどを調査したものです。現在、さまざまなカードが発行されていますが、個人のステータスシンボルともいえる「ダイナースクラブカード」や「アメリカンエキスプレス・カード下、AMEXなどは、厳しい条件をクリアした顧客にのみ発行しています。このときにカード会社が参考にしているのが、個人信用情報機関立した機関で、個人の金融情報をカード会社から収集し、カード会社に収集した情報を提供している登録された個人信用情報です。カードの発行に関しても、これらの情報を元に買い物可能な金額の上限を決定しています。一方、カード会社はクレジット申し込みの事実や、契約内容を個人信用情報機関に登録しています。
  2. クレジットカードの仕組み

    私は、3枚クレジットカードを持っていますが、そのうち使っているのは1枚だけです。前節で述べたような女性の自己破産の轍を踏まないためです。おそらく、本書を読んでいる貴方も複数のクレジットカードをお持ちなのではないでしょうか。現代社会においては、社会人でクレジットカードを持っていないほうが少数なほどクレジットカードは浸透しているのです。
    クレジットカードは、買い物をするたびに購入額の数%を手数料として、契約した店から徴収しています。クレジットカードによってはリボルビング払いという分割払いもありますが、この場合、さらにリボルビング払いの手数料を顧客から徴収しています。クレジットカード発行会社下、カード会社収入源は、これらの手数料収入です。手数料はカードによって異なりますが、2%から5%といったところです。貴方がクレジットカードで買い物をすると、買い物をした店には、この手数料を差し引いた額がカード会社から支払われます。お店によってはこの手数料を上乗せした額を徴収する所もあります。このように、カード会社は顧客の買い物額に比例して手数料収入が増えますので、カード利用に際してはさまざまな特典を提供しています。
    カード会社はこのように、顧客の買い物に対して、一時的に立替を行っている代わりに、手数料を徴収して経営が成り立っているわけです。
    日常的に買い物にクレジットカードを使用している方は、このようにクレジットカード会社に一時的に借金をしていることになります。特に複数のクレジットカードを平行して使っている方は、多重債務を負っているということになりますが、この事実を認識している方は少数でしょう。
    複数のクレジットカードを持つがために、自身の収入をはるかに超えた額の買い物をした結果、月々の支払いが滞り、支払いのための借金で自転車操業をするうちに自己破産に追い込まれる方も後を絶ちません。
    ●クレジットカードの賢い使い方
    その昔、ある紳士がレストランで夕食を済ませ、いざ支払う段になって財布を忘れてきたことに気付きました。このときの経験から、お金の代わりに支払う方法として考案したのが、クレジットカードの始まりです。
    クレジットカードは元々が現金を持ち合わせていない場合に支払う手段です。この元々の意味を教訓とし、現金があるならば現金で支払って極力クレジットカードは使わないほうがよいでしょう。クレジットカードはあくまでも、現金がないときのバックアップなのです。
    しかし、カード会社としては顧客を多く獲得しないことには手数料収入が伸びません。他のカードとタイアップでカードを発行するのも、新たな顧客を獲得する手段として考案されました。このようなカード会社間の顧客獲得競争の結果、ひとりで何枚ものクレジットカードを所有するような状況になりました。どのカードもショッピング可能な枠は同じ程度なので、月収20万円の会社員が、複数のクレジットカードの合計で100万円ものショッピング枠を持つような例が生まれました。これは、過剰なショッピング枠であり、多重債務への入り口ともなりかねません。
    複数のクレジットカードを持っていて、つい使ってしまうという方は、もう多重債務者の一員であることを自覚すべきでしょう。では、どうすれば多重債務者になるのを防げるのでしょうか?
    この場合、問題は複数のクレジットカードにあるのだから、通常使うクレジットカードを一枚に決めて、他のカードを破棄してしまいましょう。破棄までしなくとも、財布に入れるクレジットカードは一枚だけにしても効果があります。
    では、どのカードを使うのか迷うところではありますが、年会費が無料とか使用額によって特典が得られるカードがいいでしょう。西武系の《セゾン》カードは、入会および年会費が無料、かつ西友などで割引特典が使えるのでお勧めできるカードです。
    AMEXなどは、年会費が通常のグリーンのカードで12、600円込みゴールドカードでは23、100円込みなので、収入に余裕のある人向けのカードです。よくアメックスのゴールドカードを見栄で取得する人がいますが、国内で使う場合に限っては、ゴールドカードを持っていてもあまり特典らしきものはついてきません。私も一時期ゴールドカードを所有していましたが、役に立ったのは海外旅行での日本語サービスだけだったので、グリーンカードに格下げしました。
  3. クレジットカードのセキュリティ

    クレジットカードの裏面には、磁気テープが埋め込まれており、この磁気テープの中に顧客の情報が記録されています。クレジットカードで買い物をする際に、カード会社にオンラインで接続されている磁気情報読み取り装置に、カードを通すのを見たことはありませんか?この読み取り装置で、顧客のカード番号、有効期限などを読み取ってカード会社に情報を送り、顧客の確認とショッピング枠の確認を行います。そこで問題がなければ、店舗の読み取り装置に承認番号を送り、カード利用書を発行します。ここで問題になるのが、カードのセキュリティの問題です。カードの複製を作り、この複製カードの磁気テープに違法に取得した磁気情報を書き込んだものを使用すると、読み取り装置はこのカードが本物か複製か判別がつかなくなります。
    そんなことが実際にできるのか疑問に思っている方もいるでしょう。しかし現にこのような犯罪行為がわれわれの周りで起きているのです。
    ここでH氏の事例を紹介しましょう。H氏はカード会社から送られてきた請求書を見てびっくりしました。その請求書には、買った覚えのない商品の項目が5件もあったからです。不審に思ったH氏はカード会社に連絡し、この5件の買い物が自分が行ったものではないと報告しました。カード会社は「最近マッサージに行ったことがないか」と尋ねてきました。記憶を辿り、請求書の来た前の月にマッサージに行ったことを告げました。カード会社によれば、マッサージをしているとき、上着を脱ぎますが、このとき従業員が上着のポケットから財布を抜き出した疑いあるというのです。財布に入っていたカードの磁気情報を特殊な読み取り装置を用いて読み取り、またカードを元通り財布に入れて上着に戻したのではないか、ということです。この読み取った磁気情報で複製のカードを作り、そのカードで買い物をしたという事例が実際あったようでした。
    最近、このようにクレジットカードに組み込まれている磁気情報を読み取って、カードの複製を作り、本来のカード所有者以外が複製のカードを利用する「スキミング」と呼ばれる犯罪が多発しています。
    カード会社もスキミング対策を行ってはいるものの、後手に回っています。スキミングの代表的な手口は、カード利用時に記録された磁気情報をオンラインでカード会社に送る時に、この磁気情報を別に記録しておく方法、スキミング専用の磁気情報読み取り装置を使って読み取る方法などです。
    毎月カード会社から顧客に送付される使用状況に使途不明の利用が含まれていたら、即座にカード会社に報告しましょう。カード会社も顧客からの報告で見張っており、不正使用が発生したことを監視していますが、昨年成15年年間で数百億円単位の不正使用が行われてしまっています。
    スキミング対策として、次の2点に気を配ってください。ひとつは、クレジットカードを利用する際には、目の前で処理してもらうこと、もうひとつは常にカードを携帯し、第三者にカードに触れられないようにすることです。
  4. クレジットカードの利用を考える

    冒頭の自己破産した話からもわかるように、クレジットカードの利用は、貴方が支払える額内にとどめておくべきです。
    クレジットカード、特にゴールドカードを持った人は、振ればお金が出てくる打ち出の小槌を手にしたような錯覚に陥りがちです。カード会社はあくまでも貴方の経済力を信用してカードを発行しています。複数のカードを持っているからといって、複数の収入源があるわけではありません。一般の会社員の収入源は、会社からの給料のみです。収入源がひとつですから、普段使うクレジットカードも一枚に絞るべきです。
    何度も繰り返しますが、携帯するクレジットカードは一枚のみにして、できるだけ現金での買い物にしましょう。クレジットカードはカード会社に借金するものだと考えて、なるべく借金をしない、また借金をしても、返済できる額にとどめておきましょう。
    さらに、クレジットカードにはショッピング枠以外にも、キャッシング枠が用意されています。キャッシング枠もショッピング枠と同様に、顧客の信用度によって上限が決められています。
    U氏は、自分の所有しているクレジットカードに100万円のキャッシング枠があることを、カード会社の案内から知りました。その枠を使うつもりはなかったのですが、以前から使っているコンピュータの調子が悪く、新たにコンピュータを買うことにしました。クレジットカードのショッピング枠で購入してもよかったのですが、クレジットで購入するよりも現金で購入したほうが割引率が高いため、クレジットカードのキャッシング枠で現金を引き出して、コンピュータを購入することにしました。あまりにも簡単に現金が引き出せるため、あれこれ購入しているうちに、90万円をキャッシング枠で使ってしまいました。
    借りたお金は返さなくてはなりません。90万円も借りていると、一度に返済するのは無理なので、分割で返済することにしました。90万円借りているので、年利18%の利息がつき、毎月5万円返済していますが、半分近くが利息分として請求されており、完全に返済するには約2年間かかりました。キャッシング枠の金利は、1518%となっていますが、
    キャッシング枠の利用はあくまでも1ヶ月で返済できる範囲の利用と考えておきましょう。年利18%でも、1ヶ月で返済すれば金利は1・5%と抑えることができます。10万円をキャッシングで利用しても、1ヶ月で返済すれば利息は1、500円ですみます。これを一年間ほうっておくと、利息は18、000円となってしまうのです。これでも消費者金融から借りるより安いのですが、あくまでも1ヶ月の一括返済と考えて利用しましょう。
  5. 返済遅延とブラックリスト

    この章の冒頭でクレジットカードによる自己破産をした女性の例を述べました。自己破産すると、いわゆるブラックリストに載って、クレジットカードを作ることができなくなってしまいます。知人のS氏は800万円の債務を抱えてしまい、彼もやはり自己破産してしまいました。
    自己破産まで行かなくても、ブラックリストに載ってしまうことがあります。1ヶ月程度の返済遅延であれば金利がペナルティとなるだけですが、何ヶ月も返済を怠ると、個人信用情報機関に事故として報告されてしまいます。ここでブラックリストに載ってしまうのです。いったんブラックリストに載ってしまうと、新規にローンを組めなくなるなどの不都合が生じます。複数のクレジットカードを利用していると、多額な買い物ができ、金持ちになった幻想に陥ってしまいがちです。繰り返しますが、ついつい多額の買い物をしてしまう方は、やはり1枚のカードだけを財布に入れて、残りのカードでは買い物をしないようにするべきです。
    私の知人のN氏は、経営する会社の運転資金にカードローンを使い、多額のローンを抱えて破綻寸前にまで陥ってしまったところで、友人に借金してなんとかブラックリスト入りを逃れました。
    複数のカードを持っていると、自由に使える金が増えたと勘違いしたケースです。
  6. インターネットでの利用

    インターネットが普及してからは、ネット上のオンラインショップで簡単に買い物できるようになりました。オンラインショッピングで支払いにクレジットカードを使う場合、カード番号、有効期限、所有者名を入力します。万が一この3つの情報が第三者に漏れた場合、スキミングのように複製のカードを作るまでもなく、無断でオンラインショッピングされてしまいます。
    オンラインショッピングはセキュリティのかかった状態でこれらの情報を入力します。しかし、オンラインショッピングでクレジットカードを使う場合、コンピュータに入力したクレジットカードの情報が残ってしまうことがあります。第三者が使えるコンピュータ環境、たとえばインターネットカフェなどでは絶対にクレジットカードで買い物をしてはなりません。元々インターネットは、基本的に善者の利用を前提としています。このため、悪意を持った者ラッカー跳梁跋扈しているのが現状です。このようなクラッカーにクレジットカードの情報を盗まれてしまうと、大変な被害を被ることになるので、クレジットカードの利用は自宅のコンピュータのみで利用するようにしましょう。
    前項で解説した「スキミング」の被害にあった場合にも言えますが、万が一、カード会社からの請求書で明らかに第三者による不正な利用分を請求された場合には、速やかにカード会社に連絡しましょう。クレジット会社にもよりますが、一度引き落とされると返金はできなくなります。利用明細を送ってから引き落としまでの間に、不正利用を申し立てる必要があるのです。
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