目次
- ○ダイエットに成功したいなら食べ物の価値を見直すべき!
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ダイエットに成功したいなら食べ物の価値を見直すべき!
●〝おいしさ〟は食べ物のなかにはなく、食べる人の解釈しだいで決まるダイエットと切っても切れない関係にあるのが食べ物です。間違ったダイエットをしないためにも、食べ物が私たちにどんな働きをしてくれるのか、ここで整理しておきましょう。食品学(食品に関する科学全般を扱う学問)では、「食品の三大機能」として「栄養にかかわる機能」「おいしさにかかわる機能」「体の調子を整える機能」の三つをあげています。たしかに、食べ物は「栄養素のかたまり」という側面をもっています。しかし、子どもや高齢者は別として、私たちの日常はもはや栄養補給のために食べるという生活ではなくなっています。少なくとも、いまの日本で、「栄養失調にならないために食べている」という人はほとんどいないでしょう。実際、低脂肪や糖分ゼロなど、わざわざ栄養価を減らした製品が人気になったりしています。逆にいうと、もし私たちが栄養補給のために食べているなら、完全に栄養バランスのとれた宇宙食のチューブみたいなものを吸っていてもいいわけです。でも、それで満足できる人はまずいないと思います。食べ物に対して、栄養よりも強く求めている何かがあるのです。では、「おいしさ」に関してはどうでしょうか。同じ食材でも、「○○産はおいしい」というようにブランド扱いされることがあります。しかし、実際は、○○産に味の違いを生むような特別な化学物質が含まれているわけではありません。そのため、食べたあとで「○○産のものだ」と聞いて、「ああ、そういえばおいしかった」となることもよくあります。つまり、おいしさは必ずしも食べ物のなかにあるわけではなく、「食べる人がどう解釈したか」という問題だということです。ですから私は、おいしさを感じさせることが食べ物の機能だとすることに、とても違和感があります。もう1つ、「体の調子を整える機能」に関していえば、食べ物で体の調子を整えることを意識している人が少なくないかもしれません。そろそろ健康のことが気になるので、ちょっと高いけれどトクホ(特定保健用食品)を積極的に取り入れているという人も多いでしょう。トクホのセールスポイントは、国の厳しい審査を経て、健康効果を表示することを認められた食品だという点です。このほか、栄養機能食品、特別用途食品などもあります。さらに、2013年に新しいルールがつくられ、論文などの科学的根拠を添えて届け出れば、無試験で、健康効果を表示した商品を販売できるようになりました。「機能性表示食品」といって、加工食品、サプリメント、生鮮食品など、幅広い食品が対象になっています。それに対して、そもそも食べ物は薬ではないし、薬のような効果を得るために摂るものではない、ということがだんだん理解されはじめたのがここ最近の流れです。食べることと体調に関しては、「納得できない」と言う人がいても不思議ではありません。「そうはいっても、私は朝食をとらないと元気が出ないんだ」と言う人が必ずいるものです。でも、それは、結論からいうとほとんど気のせいなのです。
香りや見た目で脳を勘違いさせる 毎日が楽しくなる応用心理学
第5章 脳を覚醒させるダイエットより
人間は無意識に感情や行動が変わってしまうということが、さまざまな実験や研究を通してわかってきています。 本書は、こうした脳科学や応用心理学の知恵を日々の生活に活用し、脳を勘違いさせることで毎日を楽しくすることを目的としています。