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- ○リバウンド注意!ガマン型ダイエットが逆効果の理由
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リバウンド注意!ガマン型ダイエットが逆効果の理由
●ガマンしなきゃという思いが食べ物への執着をさらに強くする本当はもっと食べたい。でも、これだけでガマンしなきゃ。最近体重が減らないから、1食抜くことにしよう。そんなふうにガマンするダイエットは、体重増減のブレが大きくなり、最終的にはダイエット前と同じか、それ以上の体重になる傾向があります。なぜなら、ガマン型ダイエットをしている人ほど、「つい食べてしまう」という行動がふえるからです。ふだん食べることを抑制している人がガツガツ食べることを脱抑制といいます。タガが外れることで、やけ食い、むちゃ食いをしてしまうわけです。もう1つ、ガマン型ダイエットをしている人は、じつは食べ物のことを考えることが多くなりがちです。こうした状態は、アメリカの心理学者ウェグナーのシロクマ理論で説明することができます。シロクマ理論とは、「シロクマのことは考えずにこの作業をしてください」と言われると、どうしてもシロクマのことを考えてしまうという現象を指します。それと同じで、「食べてはいけない」と意識すると、逆に食べることにとらわれ、いつもごはんのことを考えるようになります。そして、あるとき、ひと口食べたら、とまらなくなってガーッと食べてしまい、「自分はダメなんだ」と自信を失って、どんどん食行動が崩れていくパターンに陥(おちい)るのです。ガマン型ダイエットには、次のような弊害があります。▼食べる量が一定しないために栄養の偏りが出てくる。
▼体重は落ちても、かえって太って見えてしまう。
▼摂食障害になるケースもある。
食べ物を味わうという点においても、ガマン型ダイエットには非常に問題があります。味覚とか嗅覚以前に、ダイエットで頭がいっぱいの人は、おいしいという感覚をそもそも感じていないことが多いのです。ガマン型ダイエットをしている人のなかには、食べておいしさを感じることに罪の意識をもつ人すら出てきています。現在、少なく見積もっても、日本の女子大学生の半数くらいはガマン型ダイエットをしています。BMI(肥満度を表す体格指数)で見ると、15〜25歳の女性の半分近くが18・5未満でやせていることが明らかになっています。これは若い女性にとって深刻な問題です。というのも、若い女性はこれから子どもを産み育てるためにも、十分な栄養と体力を備えていなければならないのに、自分の体さえ十分に維持できないような状態に近くなっているからです。では、ガマンをするのではなく、食べる量を自然にセーブするにはどうしたらいいのでしょうか。いちばん簡単なのは、見えるところに食べ物を置かないことです。それが無理なら、少なくとも、立ち上がったり、ちょっと歩かなければならないようなところに置くようにしてください。そして、ダイエットでも、置き換え型や、きちんとカロリー計算をして、その範囲内で食べることをおすすめします。ちなみに、日本では、食べたぶんだけ運動することもダイエットとされていますが、これは完全に和製英語で、本来の「diet」とは違います。もともと、ダイエットは食事療法を意味しており、食事内容を変えるのが正しいやり方です。
香りや見た目で脳を勘違いさせる 毎日が楽しくなる応用心理学
第5章 脳を覚醒させるダイエットより
人間は無意識に感情や行動が変わってしまうということが、さまざまな実験や研究を通してわかってきています。 本書は、こうした脳科学や応用心理学の知恵を日々の生活に活用し、脳を勘違いさせることで毎日を楽しくすることを目的としています。