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肥満女性は低所得者が多い?その理由とは
安くて、手軽なファストフードですが、体には悪く太りやすいというのをなんとなく皆さんご存知かと思います。
ファストフードが太る本当の理由を坂井信之さんの「香りや見た目で脳を勘違いさせる 毎日が楽しくなる応用心理学」よりご紹介します!
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目次
- ○ファストフードはなぜ太る?
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ファストフードはなぜ太る?
●安くて、おいしくて、すぐ満腹になるのは、砂糖、塩、脂をたっぷり使っているから『スーパーサイズ・ミー』という、アメリカのドキュメンタリー映画をご存じでしょうか。監督・出演のモーガン・スパーロック氏は、30日間、毎日3食、マクドナルドの商品だけを食べつづけました。その結果、彼の体重は11キロふえ、体脂肪率は11パーセントから18パーセントになり、さらに躁うつ、性欲減退、深刻な肝臓の炎症を起こしたといいます。この映画がつくられるきっかけになったのは、10年ほど前にアメリカであった裁判です。毎日、マクドナルドのハンバーガーやポテトばかり食べていた人が、「そのせいで肥満になった」いってマクドナルドを訴えたのです。結果はマクドナルドが勝ちましたが、判決には「ファストフードはそもそも高コレステロールで非健康食品であるという危険性があることを知りながら、毎日食べた原告に問題がある」ということが示されていたそうです。ファストフードやスナック菓子などの値段の安い食品を食べていると、なぜ太るのでしょうか。それは、炭水化物、塩分、脂肪といったエネルギー源となる栄養素がたっぷり含まれているからです。こうした栄養豊富な食べ物はなぜおいしいのかというと、生き物の本能がそれを求めているからです。つまり、飢餓状態から脱するためのしくみなのです。飢餓状態というのは、たんにお腹がすいたという意味ではありません。野生動物が食物を摂取してから、次にいつ摂取できるかわからないような状態を想像してください。生命が誕生して以来、生き物は長いあいだ、そうした状態で生きてきました。私たち人間も同様で、飢餓状態に適応できるように体がつくられてきたのです。ですから、食べ物に不自由しない、つまり、飢餓状態ではない現在の私たちが栄養豊富な食品を食べつづければ、当然、肥満になります。たとえば、糖質は人間が取り込む栄養素のなかでもっとも重要なものであり、人間の体にはこれを体内に確保する見事なしくみが備わっています。体内の環境を一定に保とうとするしくみをホメオスタシスといい、とくに血糖については、脳の視床下部にそれをチェックするしくみがあります。そして、これまでは、これが「お腹がすいた」とか「お腹がいっぱい」と思わせると考えられてきました。ただ、現在は、空腹感はホルモンによって調整されているという考え方が優勢です。生活習慣病の1つである糖尿病は、血液中にふえた糖を調節することができなくなる病気ですが、血液中の糖が減った状態を調節できなくなるという病気はほとんどありません。なぜかというと、私たちの体のいろいろな部分に、たくわえられた脂肪やたんぱく質などから糖を取り出すシステムがあるからです。健康な人であれば、血糖値が低下したときに糖を取り出すホルモンが1つ働かなくなっても、それをカバーしてくれるバックアップシステムがあるのです。いっぽう、必要なぶんの糖を細胞に取り込んだり、貯蔵したりして血糖値を安定させるホルモンといえば、インスリンしかありません。このため、インスリンの機能が衰えたり正常に分泌されなくなったりすると高血糖の状態が続き、すぐに糖尿病になってしまいます。血糖値が上がった状態が長く続くということなど、野生動物にとっては想定外といえます。私たちは飢える心配がなくなったかわりに、今度は肥満と、それによって引き起こされるさまざまな病気のリスクを心配しなければならなくなったのです。いずれにしても、人間は飢餓状態に耐えて生き抜いてきた歴史から、基本的に高カロリーのものをおいしく感じます。しかも、そうした食べ物は値段が安い。そのため、安さ優先で栄養をとろうとすると高カロリーなものに偏りがちになり、太りやすくなるのです。こうしたことから、アメリカでは所得と肥満の関係が注目されています。日本でも、2010年に厚生労働省が行なった国民健康・栄養調査で「所得が低いほど男性は喫煙率が高く女性は肥満率が高い」という結果が出ています。ある程度以上の所得があれば、選択肢もふえてきます。新鮮な魚や野菜を中心にした食生活を送ることもできるし、ジムで運動したり、トレーナーに個人指導を受けたりすることもできます。しかし、必要以上にお金を使わなくても、本書に書いてあるヒントをもとにすれば、バランスよくおいしく食べて、しかも体型や健康を維持することが可能になります。
香りや見た目で脳を勘違いさせる 毎日が楽しくなる応用心理学
第5章 脳を覚醒させるダイエットより
人間は無意識に感情や行動が変わってしまうということが、さまざまな実験や研究を通してわかってきています。 本書は、こうした脳科学や応用心理学の知恵を日々の生活に活用し、脳を勘違いさせることで毎日を楽しくすることを目的としています。