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【医師執筆】夏場は要注意!正しい水分の摂り方

ご自身の血液検査を繰り返し行なってきた結果、「血液がサラサラな時には体がホカホカする」と医師・井奥昇志さんは言います。血液がサラサラであれば、身体中の細胞の新陳代謝が促されるそうです。
では、血液をサラサラにするにはどうしたらよいのでしょう?一番重要と言われる、水分のとり方について、ご紹介します!

井奥 昇志(医師)

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目次

  1. ○水か湯冷ましで取る
  2. ○良い飲み方のコツ
  3. ○炭酸水の効用
  4. ○水分が身体を冷やすこともある
  5. ○「のどが渇いてから」では遅い
     
      私(井奥 昇志)は以前、血液サラサラ検査を多く行っていました。
      指先を針で刺して、一滴の血液を顕微鏡で見る検査です。
      テレビモニターに映し出して本人にも見てもらいます。
      丸い赤血球が風船かお団子のようにたくさん映し出されます。
      のべ数千人に実施しました。以前はテレビの健康番組等で協力したこともありましたので、ご記憶の方もいらっしゃるかもしれません。
      いまは、テレビの健康番組のやらせ問題でサラサラ検査まで下火になってしまいましたが、私は今でもとても良い検査だと思っています。もともとはアメリカで行われていた検査で、私はハワイのセミナーで顕微鏡とビデオカメラをセットで購入しました。米国ではかなり普及しているようで、米国のある他のセミナーでは自己紹介で「マイクロスコピスト(顕微鏡検査師とでも訳されるでしょうか)」と言っている方がいました。
      ちなみに検査では、白血球という身体を守る細胞も見られます。こちらは生きていてアメーバのように動いているのが観察されます。LBA(Live Blood Analysis)などと呼ばれているゆえんです。
      私はこの顕微鏡による血液サラサラ検査を導入するにあたり、まずは自分が血液サラサラかどうかを見てみました。
      何度か繰り返すうちに、顕微鏡のサラサラ状態と、自分の体感に関係があることに気付きました。血液がサラサラの時は、なんとなくホカホカするような感じなのです。つまり血液がサラサラであるということは体のすみずみまで血流が良いので、このホカホカ感があるということなのです。
      赤血球は、身体に酸素や栄養を運ぶ血液中の細胞です。これにより身体の細胞が呼吸を行い、新陳代謝、生命活動を行えるのです。
      一方、毛細血管は1500億本あり、血管内の面積は6000㎡ともいわれます。身体の血管のほとんどは毛細血管ということになります。
      身体の毛細血管は、この赤血球がようやく一つ、変形しながら通れるぐらいの細さです。スムーズにサラサラと流れるためには、まずは赤血球一つひとつが柔らかいことが必要です。そしてさらにその一つひとつが、つながりや塊となることなく、離れていることが必要です。
      しかし、食生活習慣により赤血球が固くなったり、ベタついてくっついた塊となってしまうと、赤血球がスムーズに流れず、酸素不足、栄養不足、代謝不良となってしまいます。老廃物は逆に運ばれずに溜まってしまいます。こうなると、こりや痛み、肌荒れ、くすみ等にもつながり、ひいては動脈硬化、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、がんなどさまざまな生活習慣病につながる恐れもあります。
      そして、血液をサラサラにするのに一番重要なのは水分です。
    • どのくらい補給すればよいか

      人間は歩く植木鉢とも言えます。こまめな補給で枯らさないようにしましょう。
      寝る直前に大量に水を飲むなど、よほど取り方に偏りがあるか、または腎臓、肝臓、心臓など内臓の不調、病気等がない限り、水分を取ってもむくみは通常起こりません。
      ただし、過ぎたるは及ばざるがごとしです。多すぎれば根腐れしてしまいます。
      後でも述べますが、水は少なければドロドロ血液になりますが、取り方によっては冷えにもなります。
      一日に1・5~2・5ℓ(1500~2500㏄)を目安にしてください。(体格や季節、汗のかき方、入浴の仕方、食事内容等によっても適量は変わります。)
      そして大事なのはこまめな補給です。
      コップ一杯が約200㏄とすると、たとえば朝7時から夜22時まで15時間で10杯という計算で、ならせば1時間半ごとにコップ1杯の補給が目安となります。
      人間の身体は何もしなくても、呼吸により一日300~400㏄の水分を失います。呼吸するときの吐く息には湿り気がありますね。その水分が出ていくのです。
      また皮膚からも、汗とは別に一日300~400㏄の水分が蒸発していきます。これらは呼吸が早くなったり、体温が上昇するとさらに増えます。
      これらを合わせて「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」といいます。水分の喪失を感じないのでこう呼ばれます。
      また、尿と便で1500㏄程度の水分が失われます。(尿酸値が高い場合や、腎臓の機能によってはさらに尿量が増える場合もあります。)
      この他に汗をかけば、当然その分もさらに失われます。
      つまり一日に1㏄も汗をかかなかったとしても、最低でも2000㏄=2ℓ以上の水分が失われていきます。
      食事中には食物からも水分が補給されますが、食物だけで2000㏄を補給することは到底できません。せいぜい800~1000㏄程度です。
      さらに体内で作られる水分が300㏄前後ありますが、それを考慮しても一日約1000㏄以上の不足です。
      失う水分2000㏄に対して、通常あり得ませんが汗、その他の失われる水分がゼロだとしても、一日1000㏄以上の不足です。(その他に失う分とは、下痢やおう吐など病気時に失われる分です。)
      仮に一日で合計800㏄(コップ4杯)の水を飲んでも、200㏄足りません。
      そのペースだと10日では2000㏄、1カ月では6000㏄、1年ではなんと積もり積もって72000㏄=72ℓの不足となってしまいます。
      一日合計1000㏄でもぎりぎりです。汗をかくなどすれば、さらに補給が必要になるからです。
      余裕をもって「水」で1500~2500㏄を積極的に補給することが必要です。
      【水分は補給しなければ不足する!】

      水分は補給しなければ不足する!

    • 水か湯冷ましで取る

      水分補給は、基本的にお水または白湯(湯冷まし)にしてください。
      お茶、コーヒー、アルコールは、水分補給にカウントしないでください。
      アルコール、コーヒー、お茶等で水分を取っても、それらの利尿作用によって、取った分量以上に尿で水分が出てしまいます。逆にその分をプラスして水分補給しなければいけません。
      水分を多少余分に取っても、影響は尿量が少し増えることぐらいです。尿量が多いことは一般的には腎臓の負担を軽くします。
      ただし、腎臓や、心臓など内臓に病気のある人は、かかりつけの先生の指示をしっかりと守ってください。
      寝ている間の約6~8時間は、当然水分の補給がありません。しかも水分は汗やトイレで失われる一方です。
      つまり朝にかけて「ドロドロ血液」になる一方です。早朝はそのために、脳梗塞や心筋梗塞が起こりやすい時間帯となります。
      このため、寝る前の水分補給は宝水といわれます。しっかりお取りください。
      適量であれば、むくみにもなりません。「夜間のトイレが増えるから寝る前には水を飲まない」という考えは危険です。
      また、朝起きがけの一杯も大事です。
      水分補給と同時に、胃腸を刺激し朝食に備えて、お通じも促すことになります。
    • 良い飲み方のコツ

      水の飲み方にもコツがあります。
      しばらく口に含んでから飲むようにしてください。
      「含み水」といい、一気飲みの逆の飲み方です。
      含むだけでなく「噛む」ことも有効です。水が体温に近づき、唾液と混ざり内臓に負担なく効率よく吸収できるようになります。
      冷たいままで一気に飲むと胃腸の負担になりますし、身体に留まって血液をサラサラにすることなく、尿として即出ていってしまうのです。
    • 炭酸水の効用

      水分補給には、水、白湯の他に炭酸水もおすすめです。
      炭酸水は一般に、血管を広げて血流を良くします。血管の細胞が炭酸に反応して、より酸素を得ようとして血管が広がるのです。
      この原理で、飲んだ場合は内臓の血流を、また炭酸水に入浴した場合は皮膚の血流を、それぞれサラサラにする作用が期待できます。
      欧州では炭酸温泉を健康のために飲む習慣もあります。それもこのような理由からです。炭酸温泉は入っても飲んでも良いのです。炭酸入浴剤も、もちろん飲用には適しませんが、同様の効果が期待できるようです。
      炭酸水を飲む場合は「砂糖なし」がお勧めです。毎日の事ですので、カロリーゼロではなく、完全に無糖、100㎖(=100㏄)あたり0カロリーがお勧めです。
      私はレモン果汁(濃縮還元ではないガラスボトル入り)を入れています。
      ただし、人によっては砂糖なしの炭酸でも刺激で頭痛が起きないとは限りません。
      その場合は炭酸水は避けてください。
    • 水分が身体を冷やすこともある

      このように、水分は取ることでサラサラと血流が良くなり、適度な水分補給は身体を温めることができます。
      ただし、小まめな水分補給が必要であるといっても、その他の食生活習慣次第では水分が冷えの原因となりうることがあります。
      まず全体の食生活習慣が整っていることが前提です。
      「水さえ取れば絶対健康」というわけではありませんのでお気をつけください。
      漢方では、水分の代謝が変調して身体の水のめぐりが悪い状態を「水毒」といいます。胃内停水(仰向けになると鳩尾(きゅうび)〈みぞおち〉のあたりがぽちゃぽちゃと音がする状態)、尿の出が悪い、そして冷えがある等の症状に現れます。
      偏頭痛のような慢性の頭痛に、この水毒が関係しているという考えがあります。
    • 「のどが渇いてから」では遅い

      のどの渇きは、年齢とともに感じにくくなってきます。
      年配の方が「渇いた」と感じるときは、かなりの水分不足状態だとも言えます。
      また、腎臓では一度濾(こ)された尿からナトリウムや水分を再吸収する働きがありますが、年齢とともにこの働きも衰えていきます。
      つまり、尿を濃縮する機能が弱くなるので、薄い尿が多く出るようになり、身体の水分が失われやすいということです。
      のどが渇いてから飲むのではなく、のどが渇く前のこまめな補給が大事です。
      のどの渇きを感じる時点で、水分は約2%欠乏しているといわれます。体重が60㎏の人では、この時点ですでに1200㏄の水分不足です。
      口や舌が渇いて尿の出が悪い状態では、水分の欠乏は約5%といわれます。
      60㎏の人だと、3000㏄もの不足となります。
      適度な水分補給は、血液をサラサラに保ち、冷えの解消につながります。
      それが、頭痛の解消につながっていきます。
      水分が不足していないか、いつも意識するようにしてみてください。
頭痛は防げる!

頭痛は防げる!

井奥 昇志

自由国民社

第4章 頭痛は防げる!より

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