目次
- ○足の甲マッサージはあまり良くない
- ○弾性ストッキングは要注意
- ○足を上げて寝るのはNG
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足の甲マッサージはあまり良くない
では、ふくらはぎ健康法のように、「足の甲」をもんだり、押したりとマッサージすればいいのかと思うでしょうが、これは大きな間違いです。足の甲の皮膚の下はアーチ状静脈からしみ出たリンパ水がたまりやすくなっています。ここをむやみにマッサージなどすると、リンパ水が流れるリンパ管や皮膚が損傷しやすく、皮膚そのものが傷んだり、逆にリンパ水がよりたまりやすくなってしまいます。リンパ水は自分の血液からしみ出てくるものなのに、アレルギーの原因となる厄介なものです。これを医学的には自家感作(じかかんさ)と言います。だから、リンパ水が常にたまった状態が長く続くと、皮膚が痒くなり、かきむしることで皮膚が変性して黒ずんだり、かさかさしたりします。しかも、これは元に戻らない不可逆な変化なので、そうならないような予防が大切です。 -
弾性ストッキングは要注意
「むくみをとって足を細くする」と弾性ストッキングも人気を集めていますが、これも要注意です。弾性ストッキングは当たる部位すべてを圧迫してしまいます。足の甲では、開いている抜け道血管を圧迫できれば動脈からの流れをとめることになるので効果がありますが、ほかの部位まで圧迫してしまうと、むくみの原因であるたまっているリンパ水の流れをむしろ邪魔することに働き、結果的にはむくみを解消することになりません。加えて、ストッキングが皮膚に当たることでかぶれや水泡などのアレルギーを起こすこともあります。弾性ストッキングをはいたことのある多くの人が、脱いだときに皮膚の痒みを感じたことがあるのではないでしょうか。肝心の足の甲への圧迫ができていないものはまさに「百害あって一利なし」と言えるでしょう。足は本来、日内変動(にちないへんどう)と言って、一日で太くなったり細くなったりします。季節的な変化でも太さは変わってきます。それをストッキングで無理やり細くすると、アレルギーの原因である落らく屑せつとなり、皮膚炎を起こします。こうした状況になると、皮膚は水分を分泌して保湿しようと働きますが、ストッキングの着用はそうした水分を逆に吸い取って、皮膚をさらに乾燥させてしまう。長く着用していると皮膚の表面がかさかさと乾燥し、痒くなってくるのです。こうしたことを繰り返していると、マッサージのときと同じで皮膚のダメージが起こるリスクが高くなってきます。 -
足を上げて寝るのはNG
また、「足を上げるとむくみがなくなる」とよく言われていますが、これはむしろ逆にむくみを助長させます。動脈を通して心臓から組織や細胞へ供給された血液中の水分は、9割ほどは静脈を通って心臓に戻りますが、残りの1割がリンパ水となって静脈からしみ出ています。ただし、リンパ水が吸収されるリンパ管には吸い上げたり、押し上げたりする機能がほとんどありません。横になって寝たときに静脈の流れがよくなり、静脈内の圧力が下がることでリンパ水はリンパ管を流れて静脈に戻ります。なので、横になる睡眠はリンパ管の流れでは大変必要なものです。寝るときに足を上げると、重力の関係で静脈内の圧力がさらに下がって静脈の流れがよくなります。リンパ管の流れも良くなるので、足がラクになったような気がします。ところが、足の甲にある抜け道血管も圧力が下がるので、同時に開きやすくなります。足はむくみやすく、さらに冷えを助長します。長年、足を上げて寝ることを続けていると、抜け道血管が成長し、動脈が静脈に流れる暴走が断続的に起こり、多発するようになります。結果的には、連続的に暴走することもあり、足は一層むくむようになります。なので、足を上げて寝ることはあまりおススメできません。そもそも、上げて寝るという姿勢がひざや腰を悪くする場合もあり、足先の冷えを助長して睡眠障害になってしまうこともあります。こうした民間療法が足のむくみに関しては対策にならないばかりか、逆に悪化させることにつながる場合もあるので、惑わされないようにするべきでしょう。