目次
- ○不定愁訴のオンパレード
- 1 自分に合った靴を選ぶこと
- 2 足の不調のサインを見逃さないこと
- 3 あし(足・脚)についてしっかり教育すること
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不定愁訴のオンパレード
おしゃれが大好きだった私にとって、ハイヒールは洋服やアクセサリーと同様におしゃれアイテムとして欠かせないものでした。ヒールの高い靴は、コンプレックスである短い脚を細くきれいに見せてくれる「魔法のアイテム」。「先がとがっていないと女じゃない」とばかりに、つま先が細くてヒールが高い靴を好んで履いていました。当時は若かったにもかかわらず、頭痛・肩こり・腰痛・生理痛・冷え症・むくみといった不定愁訴(ふていしゅうそ)(原因不明の体の不調)のオンパレード。つま先が痛くて脚がだるいので、歩くことが大の苦手で、すぐにタクシーに乗る生活。帰宅すると、着圧ソックスを履き、毎晩のように足マッサージ器のお世話になっていました。鎮痛剤を手放すことができず、何が原因でこんなに体調が悪いのかもわかりませんでした。そんな外見重視のバカ女だった私が、妊娠をきっかけに泣く泣くハイヒールを手放すことになりました。そうしなければならないとわかっていても、ぺたんこの靴を履いたときは、女じゃなくなったと敗北感を味わったものです。また、産前から産後にかけての苦しみは想像を絶していました。ひどいつわりと難産(微弱陣痛で23時間かかりました)、産後の母乳による激やせ、度重なる発熱・じんましんの発症……。楽しみにしていた赤ちゃんとの対面から一変、もう子育てどころではありませんでした。こうなってはじめて、何よりもまず自分が健康であることが、笑顔で子育てするために一番大事だということに気がつきました。そして、「あし育」をはじめるきっかけになったのが、娘が6ヶ月のときに、父に「姿勢が悪いぞ」と指摘されたこと。慣れない子育てにいっぱいいっぱいで、自分をふり返る余裕もなく、知らず知らずのうちに猫背になっていた自分にがくぜんとしました。その後も、どんどん成長する娘の重さに体が耐えきれず、肩こり、腰痛に悩む日々。ここまで来て、私はようやく自分のあし(足・脚)や靴について、真剣に考えるようになりました。そして、正しい姿勢、歩き方、靴選びや履き方まで、くるぶしから下の「足」だけでなく、その上の「脚」までを含めた「あし」全体を見直していったのです。このときに「あし育」を学んだことから、20代のころから長年悩んでいたトラブルがすべて解消し、その後は笑顔で子育てをすることができたのです。「ムダなものを削ぎ落として、シンプルに生きたい!」「本物の美しさは健康から!」と実感したこの経験こそが、私の人生の大きな転機となりました。そこで行きついた答えが3つあります。 -
1 自分に合った靴を選ぶこと
以前の私は、デザインを重視したヒールの高い靴を選んでいて、靴そのものの機能性や自分の足にフィットしているかは二の次でした。しかし、そもそも靴はファッションアイテムである前に、足の保護を第一の目的としています。デザイン性よりも機能性を重視し、しっかりと自分に合った靴を選ぶことが大切です。それとともに、靴にはもうひとつ重要な役割があります。それは「健康促進」です。正しく靴を選び、正しく履いて、正しく歩く。これだけでも元気な体づくりに非常に効果的なのです。 -
2 足の不調のサインを見逃さないこと
痛みは不調のサインです。痛い部分にばんそうこうを貼るなどの工夫をしても、多少の痛みが軽減できるだけでなかなか治りません。それどころかどんどん悪化して、治るまでに何年もつらい思いをしなければならなくなります。対症療法ではなく、根本から治すよう真剣に考えなければ、例えば外反母趾(がいはんぼし)の手術が必要になったり、高齢になってから足の不調が原因で転びやすくなったり、それがもとで寝たきりになってしまったり、取り返しのつかないことにもなりかねません。また、足の不調は、単に靴が合わない、歩き方が悪いというだけではなく、病気のサインかもしれません。昔から「足は万病のもと」といわれますが、足の不調からくるサインを見逃さず、何が原因かを突き止め、早期発見・早期治療で予防に努めることが大切です。 -
3 あし(足・脚)についてしっかり教育すること
四足歩行から二足歩行へと進化し、人類は2本の足だけで体重を支えるようになりました。建物でいうと、まさに土台にあたるのが足です。土台である足が全身に及ぼす影響ははかり知れません。建物でも基礎となる土台はとても大切です。ドイツでは、おばあちゃんの知恵袋として「病気になったら、薬局ではなく靴屋に行け」ということわざがあり、足の健康が病気に直結しているという認識があるそうです。足の健康について、親からも学校の先生からもほとんど教えてもらわない日本とは大きな違いだとは思いませんか?私は2007年より、「足」の健やかな成長を守る「足育(あしいく)」の普及に力を注ぎ、「足育スタイリスト」として活動してきました。最近では大手靴メーカーが足育相談室を設置したり、各種団体が足育の指導者を養成するなど、ここ数年で「足育」という言葉がかなり普及し、社会的に認知されてきました。ですが、2008年の厚生労働省の報告で、変形性膝関節症の潜在患者が約3000万人と推定された(※1)ことに危機感をおぼえ、現代の超高齢化社会において日本国民の健康寿命を延ばすためにはどうしたらいいかと考えました。その結果、私が行きついたのが、足首から先の「足」だけではなく、その上のふくらはぎ・太もも・股関節までをも含めた「脚」を育てる「あし育」です。一生自分の足で元気に歩き、将来、寝たきりにならないためにも、「あし(足・脚)」全体が大切であるという考えから、「足育」から「あし育」スタイリストへと移行し、日々奮闘を続けています。私はもともとO脚ですが、そのままでは美しく見えませんし、将来、膝の痛みが出る可能性があります。そこで、日々エクササイズを実践したり、立ち方・歩き方を意識した結果、今では膝がつくようになりました。ですから、もう大人だからとあきらめないでください!「いつまでも健康で美しくありたい」「本物の輝きを手に入れたい」という強い気持ちで土台を整える意識を持つことが大切です。土台とはもちろん「あし(足・脚)」のことです。これからは「あし」をないがしろにせず、まずは正しい知識を手に入れること。そして、努力次第でいくつになってもイキイキと輝ける、健康的な美しさは決して失われないということを胸に刻んでほしいと思います。※1:厚生労働省「介護予防の推進に向けた運動器疾患対策について」(2008年7月)
「人間、見た目が9割!」といわれ、外見の重要性がますます高まっている現代において、いくら良いものを身につけても、姿勢が悪かったり、表情が暗かったり、歩き方が悪ければ、その効果は半減するのではないでしょうか。
私事ですが、年齢を重ねるごとに、きれいになることよりもまず維持することの大変さを実感する今日このごろ。毎朝、マイナスからのスタートで、それを人様に出せるレベル=ゼロ地点に近づけるだけで精一杯!
また、年齢による衰えをメイクでカバーしようとすると、厚塗りになってしまうことも。たくさん塗り重ねなくてもすむよう、土台である体や肌の状態を良くするためのケアが大切だと実感しています。
情報があふれ、本物かどうかが問われるこの時代だからこそ、年齢とともに中身をより充実させ、外見はシンプル主義で潔く、颯爽(さっそう)と生きたいと思いませんか。そのための秘訣が「あし(足・脚)」にあると考えています。
この本は、「年齢を重ねても、自分らしくイキイキと輝きたい」「外見にはあまりお金をかけたくないけれど、あの人は何か違うと思われたい」「年齢を感じさせない、颯爽とした若さを感じさせたい」「本物の健康と美しさを手に入れたい」そんな思いをお持ちの方に手に取っていただけたらと思っています。
私も、20代のころは毎日のように原因不明の体調不良が続き、「なぜこんなに調子が悪いのだろう……」と笑顔が消えていました。
そんなある日、鏡に映った自分の姿を見て驚きました。「これ、誰?」年齢的には若いはずなのに、覇気(はき)がなく、無表情で、猫背で、O脚で、若さとはほど遠い自分の姿がそこにはありました。
「若さって年齢じゃないんだ。イキイキと健康で美しくなるにはどうしたらいいのだろう……」この問いこそが、私の「あし育スタイリスト」としてのスタートラインになったのです。
「若々しさ=健康的な美しさ」と「あし(足・脚)」がいかに関係するのか、それをお伝えするために、もう少しだけ私の経験談にお付き合いください。
マイナス10歳の体をつくる「あし育術」
第1章より
「あし」はすべての土台です! 転びやすい、疲れやすい、腰痛、肩こり、膝痛etc…… それらの不調は「あし」のせいかもしれません。 全身の土台である足を知ることで、いくつになっても元気なカラダをつくることができます! 著者は3万人以上の女性のあしをケアした、あし育スタイリスト! あしを育てる【簡単エクササイズ】も収録!