目次
- ○ソムリエと会話してみる
- ○心を開けば、ソムリエはいろいろ教えてくれる。
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ソムリエと会話してみる
レストランでワインを注文するのは簡単です。なにを選んでいいのかよくわからなかったら、お店の人に「料理に合いそうなワインの候補」を挙げてもらった上で、前述した「六つの品種」と比較してみて、自分たちの好みに合いそうなものを選べばいいのです。そこまではOKでしょうか。さらに、ちょっと高級なレストランでワインをボトルで注文したりすると、ソムリエがそのボトルを恭しく持ってきて、みんなにラベルを見せてくれます。これは簡単に言うと「お前らが頼んだやつに間違いないか」という意味です。ラベルを見て軽くうなずけば、ソムリエは慣れた手つきでワインを開栓します。そしてグラスにちょろっとだけ注ぐと、そのテーブルの主っぽい客をロックオンして、目で「飲め」という合図をしてきます。合図を受けた人がどうすればいいかというと、香りをちょっと嗅いで、一口だけ飲んで、「はい。これでお願いします」と答えるだけです。この行為を“ホストテイスティング”と言います。まわりの人に自分の味覚の鋭さを示すためのアピールタイムではありません。お客さんにあとから「味がおかしい」とか「チェンジして」などと文句を言わせないための、一種の決まりきった儀式みたいなものです。なぜ儀式みたいかと申しますと、試飲をしたお客さんに言えることはほとんど「はい。これでお願いします」の一言だからです。もちろん味がおかしいときもあります。コルクにカビが生えて臭い状態を「ブショネ」と言います。簡単に言えば不運なハズレワインです。このブショネは百本に一本くらいの確率で存在するらしいのですが、初心者にはなかなか区別がつかないはずです。だから、もしもちょっとおかしいな……と思ったら、「このワインって、こういうものですか?」と恐る恐る聞いてみてもいいかもしれません。お客さんから聞かれたらソムリエは飲んで確認します。確認した上で「こういうものに決まってんだろ! どんな味覚してんだよ!」と逆ギレするはずもなく、ブショネじゃなければそう説明しますし、万が一ブショネだったならば丁重にお詫びした上で、交換します。でもソムリエである筆者も、今まで何千本、ヘタしたら何万本というワインを抜栓していますが、ブショネだと感じたことはありませんし、誰かに「ブショネだ!」と指摘されたこともありません。中にはブショネも当たったのかもしれませんが、ブショネにもおそらく程度があって、ほとんどは気づかれない? そんなレベルです。もしも顔をしかめたくなるようなひっどいブショネにあたったら、逆にラッキー! なのかもしれません。もしも自分で購入した高級ワインがブショネだったりしたら、だいぶへこみますが。ちなみに、ソムリエと接するとき、(ボロが出ないように)と身構えるためか、少しそっけない態度を取るお客さんがけっこういます。自分がおすすめするワインを、お客さんに楽しく飲んでもらいたいと願うソムリエからすると、それはちょっとさびしいことです。一言「ありがとう」とか「おいしいね」などと添えていただけるだけでも、雰囲気がなごやかになります。そうすると、ソムリエもそのワインをおすすめした理由や、ちょっとしたウンチクなんかを語りやすくなります。お客さんにそのワインを気に入ってもらえるかどうか、ソムリエも内心ドキドキしているものなのです。 -
心を開けば、ソムリエはいろいろ教えてくれる。
図解 ワイン一年生
1章より
またまた重版11刷5万9千部突破! 2016年年間ランキング1位(トーネッツアイ調べ 酒・ドリンク部門)ほか、全国書店で続々ランクイン!今、ワインの本で一番売れてます。ぶどう品種が擬人化されているので、ワインの味の違いがかんたんに想像できます。今まで読んだワイン本の中でも一番斬新で、わかりやすいと思えた一冊です。