目次
- ○ワインはまず「単一」から飲んでみる
- ○単一がわかってきたらブレンドを試してみよう
-
ワインはまず「単一」から飲んでみる
〝六つの品種〞という地図さえ手に入れれば、ワインの世界を冒険できるようになります。なぜなら世の中に出ているワインの多くに、六つの品種のうちのいずれかが使われているし、もしも知らない品種に出くわしたとしても、「(六つの品種のうち)どの味に近いか?」を店員さんに確認すれば、自分好みのワインに近づくことができるからです。これでもう安心ですね。いつも「ワインはどのようなものになさいますか?」というセリフを聞くたびに身を固くし、「やっぱりビールでいいや」と顔をひきつらせていた方にとっては、ものすごい進歩じゃないでしょうか。〝庶民による庶民のためのソムリエ〞を自称している筆者としましては、そういう方のお役に立てることを至上の喜びといたします。ところが、そう簡単にうまくはいきません。そう簡単にうまくいくなら、そもそもソムリエなんていう職業はこの世から不要になります。ワインというものがそこそこ難しくて、筆者は本当に良かったと思っています。というのも、実際にワインを買いに行ってみると、ある大きな問題に気がつくのです。「なんの品種が使われているのかわからない」そんなワインが、世の中にはいっぱい存在するのです。もちろんワインのラベルや店頭のPOPなんかに、堂々と「シャルドネ!」「カベルネ・ソーヴィニヨン!」などと記されているワインもあります。でもその一方で、品種が謎のワインというのも、わりと大きな割合を占めるのです。特に品種が「ブレンド」されたワインの大半は、ラベルに表記がありません。そして品種がまざってしまうと、相当な経験者じゃないと、どの品種がどの味なのか口の中で判別することは難しくなります。筆者もワインを何口か飲んだ後は舌も麻痺してきて、「君は誰かな?」と首をかしげたままフリーズしてしまうことがよくあります。だから「ブレンド」の場合は「特定の品種の味を捕まえる」というよりも、国や地域の違いによる、味の違いを楽しむという感じになります。反対に品種がハッキリと書かれているものは、「単一(たんいつ)」と呼ばれるワインです(ちなみに単一は、〝ヴァラエタルワイン〞とも呼ばれます)。これは使う品種をだいたい一種類に絞ったワインなのですが、「単一」の場合、使っている品種がシャルドネなら、ラベルに【なんとかかんとかシャルドネ!】とわかりやすく書かれています。だから「あの品種の味を捕まえたい」と思ったら、その品種の名前が明記された、「単一」のワインを選ぶといいでしょう。ワインを売っているお店では、単一のワインと、ブレンドのワインが混在していますが、どちらが主流かは「国」によって傾向があります。ワインの世界は大きく二つに分けられ、一方はワインの歴史が古い「旧世界」(主にフランス、イタリア、スペイン、ドイツ)、もう一方はワインの歴史が新しい「新ニューワールド世界」(主にアメリカ、チリ、オーストラリア、日本など)と呼ばれるのですが、「旧世界」のワインは一般的に「ブレンド」が主流で、「新世界」のワインは「単一」が主流となります。例外もいっぱいありますが、おおざっぱに「ヨーロッパはブレンド」「それ以外の国は単一」だと覚えておいてもいいでしょう。実際、お店で確認してみてください。たとえばカリフォルニアワインはラベルを見ればたいていどこかに品種名が書かれている一方、フランスワインはラベルを見ただけでは、どの品種が使われているのかわからないはずです。旧世界は難しくて、新世界は簡単なのです。新世界のチリワインなんかはよく「初心者向け」などといわれていますが、その理由の一つは「はっきりとわかりやすい味の『単一』が多い」からでしょう。ですからまずはたくさん種類のあるワインの中から、「新世界」の「単一」ワインを選ぶようにしながら、品種一つひとつの味を覚えてみてください。違いがはっきりと区別できるので、だんだんワインを選ぶことも、飲むことも面白くなってくるはずです。もちろん、単一に慣れてきたらブレンドも試してほしいところ。でもブレンドの本当の魅力がわかるのは、単一のスペックを理解してこそだと思います。これは筆者が『モンスターファーム』というゲームから得た、大切なヒントの一つでもあります。 -
単一がわかってきたらブレンドを試してみよう
いかがでしたか?これでまた一つワインを飲むのが楽しくなっちゃいますね!次に飲むときは『やっぱりヴァラエタルワインだね!』なんて言ってみちゃったり♡
図解 ワイン一年生
1章より
またまた重版11刷5万9千部突破! 2016年年間ランキング1位(トーネッツアイ調べ 酒・ドリンク部門)ほか、全国書店で続々ランクイン!今、ワインの本で一番売れてます。ぶどう品種が擬人化されているので、ワインの味の違いがかんたんに想像できます。今まで読んだワイン本の中でも一番斬新で、わかりやすいと思えた一冊です。