目次
- ○合わない寝具や不自然な「寝る姿勢」が原因
- ○安静を保ち、肩を温めて血行を促進する
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合わない寝具や不自然な「寝る姿勢」が原因
病気が原因ではない首や肩、背中の痛みには、慢性のものと急性のものがあります。慢性の代表が首や肩の筋肉疲労が少しずつ蓄積してくる、いわゆる“肩こり”です。一方、急性の痛みの代表が“寝違い”です。朝起きて、首を動かそうとすると強い痛みがあって、動かすに動かせないという経験はありませんか。寝違いの原因は、敷き布団や枕の高さなどの寝具がからだに合っていない、不自然な姿勢で寝ていたなどで、特定の筋肉や靱帯に極度の負担がかかり、急性の炎症を起こし拘縮してしまった結果、痛みが出るのです。また、過労気味のときや泥酔しているときなどは、眠りが深くなり、睡眠中に寝返りを打って姿勢を変えることが少ないので、寝違いを起こしやすくなります。寝違いの原因
敷き布団が硬すぎたり、柔らかすぎる
枕の高さが合っていない
不自然な姿勢で寝ている
疲れすぎていたり、泥酔して寝ると眠りが深くなり、寝返りの回数が減る
↓
特定の筋肉や靱帯に負担がかかり拘縮してしまい、強い痛みがあらわれる
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安静を保ち、肩を温めて血行を促進する
寝違いによる急激な痛みに襲われたときは、首を動かさず、安静にすることが大事です。頸椎カラーなどで首を固定すると良いのですが、当座は厚紙にガーゼやタオルを巻いたもので代用することができます。痛みが強いときは、患部を冷やし、痛みを抑えます。次に、筋肉や靱帯の拘縮を緩和するために、蒸しタオルやドライヤー、湿布(温湿布、冷湿布どちらでも良い)などで肩を温めて血行を良くします。また、少しぬるめのお風呂にゆっくりつかって、全身を温めるのも効果的です。強くもんだり、首を伸ばしたりするのは炎症が強くなり逆効果です。こうした処置を行うことで、たいていの場合、1週間ほどで痛みは解消します。寝違いによる痛みを「軽症だから」と安静にせず放置すると、痛みがなかなかなくならないばかりか、胸郭出口症候群を発症することがあります。寝違いによる急性の首の痛みに対する応急処置
首が動かないように頸椎カラーなどで固定し、安静を保つ
厚紙でカラーをつくる
首にぴったり固定できる長さと幅に厚紙を切る
厚紙の縁が首に当たらないようにガーゼやタオルで厚紙を覆う
蒸しタオルやカイロ、入浴などで肩を温め、血行を良くして硬くなった筋肉をほぐす
痛みが強いときは……
ビニール袋に入れた氷をタオルにくるんで痛むところを冷やすと、痛みを抑えることができる。ただ、冷やしても寝違いを治すことはできないので、痛みを抑える一時的な処置と考えるようにしましょう
首・肩の痛みとこりを解消する
第4章 首・肩のこりを治すより
多くの人が悩まされている首や、肩周辺の痛みやこりと不快感。たかが肩こりと放置すると、さらに頑固な痛みに変わります。本書では、肩こりのしくみや原因とともに、肩こりと間違えやすい病気、首や肩周辺にあらわれる疾患、根本的に治す方法などをやさしく図解します。