目次
- ○「居場所」の感じ方は、生きる姿勢によって決まる
- ○「居場所のなさ」は主客転倒
-
「居場所」の感じ方は、生きる姿勢によって決まる
「居場所のなさ」を本当に解決したいのであれば、それは生き方の話になります。大げさに感じられるかもしれませんが、「どのように生きるか」と「居場所」には、実は大きな関係があるのです。「人気者になりたい」「名声を得たい」など、「外から」何かを求める生き方では、「居場所のなさ」から自由になることはできません。それよりも、自分の「心の平和(やすらぎ)」を「内から」感じたい、と思う生き方こそが、「居場所」につながっていきます。その理由は本書を通してお話ししていきますが、どんな場でも、どんな相手でも、自分が「心の平和(やすらぎ)」さえ得られれば、そこは「自分の居場所」になるのです。そのときには、自己受容・自己肯定ができていると言えるでしょう。仮に相手が嫌な態度をとったとしても、「自分が疎外された」と思うのではなく「あらあら、機嫌が悪いのね」と思えるのです。このように、「外から」ではなく「内から」大切なものを得る、という考え方は、私がとても大切にしているAHの中核です。AHは、「自分の心の平和(やすらぎ)」を「唯一の目標」とする、自分の心の姿勢への取り組みです。他人のためのものではなく、あくまでも自分のためのものです(結果として他人にプラスになる、ということは本書からも理解していただけると思いますが、それが第一義的な目標ではないのです)。宗教と違って、「〜してはいけない」「〜しなければならない」は一切ありません。ただ自分が平和な心の人生を歩みたいか、怖れでいっぱいの人生を歩みたいかの選択だけです。その選択肢があると教えてくれるのが、AHだと考えていただけるとよいと思います。「居場所がない」と感じるときは、間違いなく、そこに「心の平和(やすらぎ)」はないはずです。自分が人間として不適格と感じることもあれば、世界が自分から見れば低レベルすぎる、「どうしてこんなこともわからないの?」と感じることもあるでしょう。逆に、周りが優秀すぎて、自分がとてもついていけないということもあると思います。もちろん、そこにとどまっている限り、生きづらいままでしょう。そんな生きづらさから解放されたいと思うのなら、まずは自分の生き方を決めることが必要です。それは、「心の平和(やすらぎ)」だけを目指そう、ということです。もちろんこれは裕福になってはいけない、能力を高めるための努力をしてはいけない、などという話ではありません。外的条件は一切関係なく、ただ、自分の心がやすらかならよいのです。「どういうふうにふるまえば賢く見えるだろうか」など頭の中に葛藤があったり、「人からどう思われるだろう」が気になったり、というような「怖れ」から解放される、ということです。自分の生き方が、「居場所」感を決める。 -
「居場所のなさ」は主客転倒
何らかの集まりに行って、あるいは職場などで、「居場所のなさ」を感じるときは、「(自分が)とけ込まなければ」と思い、それができない自分を責めたりすると思います。しかし、「居場所」と「自己受容」の深い関係を考えてみると、「自分は社交ベタだ……」などと自分を責めたりするとどんどん「居場所のなさ」が強くなると言うことができます。繰り返しになりますが、「居場所」感を得たいのであれば、周囲に振り回されるのではなく、「自分の心の平和」を中心に考える必要があります。どういうことかというと、「なじめるか」ではなく、「自分の心はどういう状態か」を考えるということなのです。「居場所」に関して言えば、常に目を向けるべきは「自分の心」。それがやすらかであるということは「居場所」があるということです。多くの場合、「うまく気を利かせてくれなかった主催者」や、「どこに行ってもなじめない自分」に目が向いてしまうと思います。しかし、あくまでも、その場にいるのは自分自身。自分の心がやすらかであれば、外形的にどうであれ、「なじんでいる」と言えるのだと思います。そしてそれが実は相手にも「居場所」を感じさせるのです。「あの人といると、何だか落ち着く」「あの人は話しやすい」と思われるようになる、ということです。つまり、自分の「居場所」は自分でつくれるし、それは相手にも波及するということです。自分の居場所感は、相手にもよい影響を与える。
「自分の居場所がない」と感じたときに読む本
第2章より
職場では同僚たちと、家庭では配偶者や子どもたちに溶け込めず、「疎外感」を覚えたり、「ひとりぼっち」でいることに対する「イライラ」「恥ずかしさ」「落ち込み」を感じている人が増えています。 また、「居場所がない」というと〝孤独〟を連想しがちですが、家族や恋人、親しい友人たちと一緒にいるときにも、「あるべき自分」を演じてしまうことによって、他者との「距離感」や「ありのままの自分を受け入れらない」と感じている人も多くいます。 本書は、そういった身近な人たちとの「居心地の悪さ」の原因を明らかにし、他者と自分との向き合い方のヒントを解説する1冊です。