目次
- ○「居場所を感じる」空間とは何だろう
- ・「居場所」を感じるためのガイドライン
- ○「群れる」女子との付き合い方
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「居場所を感じる」空間とは何だろう
「『居場所のなさ』を手放すワークショップ」では、「今日は『居場所のなさ』を感じませんでした」という感想が最も印象的でした。そして、テーマが同じく「居場所のなさ」であったとしても、違う形のワークショップでは、きっと「ここにも自分の居場所はなかった」と思う人が出ただろうなと思います。よく、「形のつながり」を強要するタイプのワークショップなどがあります。「隣の人とハグし合いましょう」「悩みを隣の人に打ち明けてみましょう」というタイプのものには、私は暴力性すら感じますし、それで「居場所」感が生まれるとも思いません(自分自身、そういう場に参加したことがありますが、一刻も早く家に帰りたいと思いました)。「形だけのつながり」はできても、心は満たされることがないでしょう。 -
「居場所」を感じるためのガイドライン
ここで注目すべきは、そのワークショップのガイドライン(指針)です。おそらく、「居場所」感は、そこからくると思うのです。もちろんガイドラインですから、ルールではありません。ガイドラインを破った誰かを排除したり、できなかった自分を責めたりする性質のものではないのです。ガイドラインは、あくまでも努力目標。ワークショップが始まるときに、みんなでガイドラインを読み上げ、できるだけ守ろうという方向を確認するだけです。居場所感に特定のテーマはいらない。 -
「群れる」女子との付き合い方
例:職場の女子グループが盛り上がっていると「居場所のなさ」を感じる。
「形のつながり」ということで言えば、多くの女子は「群れる」のが特徴です。この例からは、とくにそれを感じます。しかし、「群れる」ことは必ずしもハッピーエンドになりません。多くの女性が、疎外されることを怖れて群れている、ということもあります。群れから抜けると、何を言われるかわからないので怖いのです。だからと言って、盛り上がりの輪に入ってしまうと、「気に入らないテーマであっても、あなたたちと一緒に盛り上がります」という白紙委任状を与えるようなもの。あまりにも受動的です。不本意に、人の陰口につきあわなければならないこともあるでしょう。そんな人生は送りたくないですね。それよりも、「群れないと不安な、気の毒な人たちなんだな」と彼女たちを見て、自分は自分の人生を磨いていきましょう。それが、平和な心で「群れ」を見る方法です。もちろん群れから脱したい女子から相談を受けたら、自分の場合はこう考えた、ということを話してあげてよいでしょう。その人が従おうと従うまいと、自分の考えを再確認することができますし、相手が共感してくれれば親しい友達になれるかもしれません。それだけのことが頭ではわかっていても、完全にひとりぼっちになるのは寂しいこと。「群れ」を相手にせずに、その中の一人ひとりを見てみましょう。全員とは言いませんが、自分と気が合いそうな人を見つけることはできると思います。そんな人と一対一の関係を築いていければ、「群れ」に入れないことのダメージは激減します。もちろん自分の自由度も増します。一対一の関係を持つと意地悪をされる、というような「群れ」であれば、悪質だと言えます。そんな悪質な「群れ」にご機嫌取りをしてしまうと、いじめの構造に荷担することになりますので、距離をとったほうがよいでしょう。女子に限らず、親しくできる男友達をつくるのもよい方法です。私も医学部時代、女子が一割しかいなかったので、その中だけで暮らすのは不自由でした。結局男子の友達を増やすことで、楽しい学生生活を送ることができましたし、今でもみんな仲良しです。ただ、このやり方は下手をすると「男に媚(こ)びてばかり」という反感を買う可能性があります。ですから、自分としてのルールは、「医学部内に恋人をつくらないこと」としました。パートナーはほしい。でも友達との友情も壊したくない。その結果として自分で編み出した方法です。うまくいったと思います。「群れ」にしばられると「居場所」がなくなる。
「自分の居場所がない」と感じたときに読む本
第2章より
職場では同僚たちと、家庭では配偶者や子どもたちに溶け込めず、「疎外感」を覚えたり、「ひとりぼっち」でいることに対する「イライラ」「恥ずかしさ」「落ち込み」を感じている人が増えています。 また、「居場所がない」というと〝孤独〟を連想しがちですが、家族や恋人、親しい友人たちと一緒にいるときにも、「あるべき自分」を演じてしまうことによって、他者との「距離感」や「ありのままの自分を受け入れらない」と感じている人も多くいます。 本書は、そういった身近な人たちとの「居心地の悪さ」の原因を明らかにし、他者と自分との向き合い方のヒントを解説する1冊です。