目次
- ○先入観を捨てて自分の役割を考える
- ○心と頭を一致させよう
- ○先入観を捨てて自分の役割を考える
- ○整理メモ
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先入観を捨てて自分の役割を考える
実績をかわれて中途入社したものの、転職先は新しい業界で、扱う商品も複雑。私が何もかも分からない状態な一方、部下は業界にも自社サービスにも詳しくてとても優秀です。以前の会社では、優秀な上司として優位な立場から部下たちを指導していたのに、今の会社では指導しようもなく、どうしたらいいのかさっぱり…。心と頭の状態「目標を達成したいけど、どうしたら良いか分からない」「上司は部下より優れているべき」 -
心と頭を一致させよう
転職で中途入社ばかりだった私の場合、転職先の部下たちのほうが業界と会社の知識もノウハウも、私より勝っていることがよくありました。自分のほうが立場が上なので劣っていることを認めるのに抵抗はありましたが、現実には頼らざるをえないこともよくありました。けれど、どこか、それを認めるのがイヤで、会議で部下の意見のあら捜しをして指摘したこともあります。優越を示したかったのでしょう。差があることを認める営業マンとして優秀なNさんは、その力を認められて、金融業界からヘルスケアの会社に営業部長として転職しました。営業のスキルはあってもその会社のサービスについては素人、複雑なサービスで生半可な知識では売ることができないことが分かりました。それでも、期待されて入社したし、短期間で達成すべき高い目標があるし、自分をかってくれた社長の気持ちにも応えたい、まわりの人とも信頼関係を築いたうえで仕事をしたいと考えていました。しばらく仕事をして「自分が全部に口を出しながらやる今までの方法だと目標達成はムリだ。このままだと社長にも部下にも信頼してもらえない」とNさんは悩みました。考え抜いたNさんは、自分がその業界と会社のサービスについて知識がなく、それらについて勝っている部下たちの力を借りるしかないことを認めました。自分がすべき仕事にブレないと答えは見つかる私と異なるのは、認めたうえで「自分が本当にやりたいことは、自分の能力をかってくれた会社のためにも、予算を達成して貢献する」ことだと明確にしたことです。Nさんは変なプライドを持つことなく部下に接することができました。部下たちに「頼りにしているよ」と伝え、部下たちのモチベーションを上げることに注力したのです。すると、「承認されている」「貢献している」どちらも感じられている部下は、自らどんどん動いてくれて成果を上げてくれることに気がつきました。上司としての評価は「優秀」よりも「信頼」で決まるものそこで、Nさんは、承認を感じてもらうためにも、部下たちに、つねに声がけをしました。「よくやってるね!」「お客さんが感謝してたよ」といった簡単な言葉ですが、毎日のように声をかけることで、部下たちのやる気はアップしました。貢献していると感じてもらうための布石としては、部下たちのスキルアップを目指す営業スキルの勉強会を開催しました。スキルアップすれば、部下たちのできることが増え、貢献感につながるそうです。承認感と貢献感の両面の働きかけで、できすぎる部下たちは、Nさんに深い信頼を置くようになり、やる気も上がって、Nさんは高い目標を達成することができました。Nさんは「『上司だからこうでなくてはらならない』という思い込みを手放して、部下たちを好きになることもできて、社長からも部下からも信頼されて、これまで生きてきて今が一番幸せです」とのことです。 -
先入観を捨てて自分の役割を考える
先入観を捨てると視界が開けます。次のような質問を自分に投げかけてみましょう。「上司は部下より優れているべき」というのは、絶対なのか?
ポジションが上にいくにしたがって管理する範囲は広がります。社長はその最たるもので会社に関わる全部を見なくてはなりません。しかし、それぞれのの専門性を持つ人を活用し、最終的な意思決定をして責任を持つのが責任者のリーダーシップです。勇気をもって他人の評価を認めると、思い込みは消える「上司は部下より優れているべき」は、誰だか分からない人によって刷り込まれた思い込みに過ぎないし、自分を苦しめるだけです。その思い込みを手放してしまえば、「本当は部下たちのほうが、知識やノウハウなどで自分より優れている」と認める(だって、本心ではそう感じているんですから)ことも抵抗がなくなります。ここは、勇気をもって認めてしまうとラクになります。そうすれば、今までの経験からもいろんな対応策が思いつきます。Nさんの持論も活用できそうですね。「できすぎな部下がいてやりにくい」と感じていらっしゃる方は、苦しい思いをされているでしょう。その苦しさをこれからもずっと感じるよりは、先入観を捨て、自分がやりたいことをきっちり感じて考えてみるという一歩を踏み出したほうがずっとラクですよ。 -
整理メモ
H&Mジャパン社長を務めたクリスティン・エドマンさんが社長に就任したばかりの頃、本社の人事の方に「手帳を見せてくれ」と言われたそうです。1分刻みのミーティングで埋まっているスケジュールを見た人事の方に、「これは間違いだ。全部ミーティングの予定を消しなさい」と言われたそうです。「え?」と思いましたね。それまで私は、責任者は部下に正解を教えてあげることが仕事だと思っていたから。でも人事は、それは違います、と。会社にはPRの専門、店舗展開の専門など、優秀な人たちがいるのだから、彼らのコーチ役になればいい、とアドバイスしてくれました。 つまり、答えをあげるのではなくて、「What do you want to do?」どうすれば目標を達成できると思うかコーチングするのよ、と言われたのです。マネージャーは、自分よりも優秀な人を集めて彼らのサポート役、コーディネーション役をやらないといけません。 (NewsPicks「女性リーダーの敵」連載より)自分の役割が明確になれば、自分の仕事も部下の仕事も明確になって一石二鳥です。
人間関係の整理術
第4章 【職場の人間関係編】ジャマなものは断捨離してラクになろうより
本書でご紹介する「問いかけ」は、身近な人たちの悩み相談にのる際にも有用です。賛否でもなく、的外れなアドバイスでもなく、悩んでいる人の心に届き、動かす、そんな勇気づけの言葉としてお使いください。