目次
- ○男性の「地雷」は、どこに埋まっているかわからない
- ○男性は、想像以上にプライドや体面を重視する
- ○こんな「何気ない一言」で、男性が傷ついている
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男性の「地雷」は、どこに埋まっているかわからない
海上保安庁の本庁に勤めていた頃です。同じ課の後輩たちと、「今日、飲みに行かない?」という話になり、「行こう、行こう!」と盛り上がりました。楽しい思いつきに、みんなもちょっと興奮気味。ガヤガヤと帰り仕度を始めました。ところが、一人だけ急ぎの仕事を抱えていて、「行けそうにない」という男性職員がいました。私(永田潤子)とは大学時代の同級生で、海上保安庁でも同期のA君です。せっかくみんなでその気になっているのだから、私はぜひA君にも参加してほしいと思いました。そこで私は、「♪」がつくような明るい口調でこう言ったのです。「そんな仕事、さっさと片付けちゃいなさいよぉ。明日の朝、早く出勤してやればいいじゃない。一緒に行こうよ~」ところが、この言葉で、私は彼の地雷を踏んでしまったようなのです。A君は憮然として「俺は行かない」と答え、背中を向けて仕事を続けました。「えっ、それのどこがいけないんですか!?」この話をしたときの女性の反応は、だいたいこれです。皆さんも、「何がA君の気に障ったのか、わからない」と思ったのではないですか? 私も、そのときはまったく気づかず、どうしてA君が不機嫌になったのかもさっぱりわかりませんでした。それから半年後のことです。ある日、いつになく大変な仕事に手を焼いた私は、A君に、「ねえ、ちょっと手伝ってくれないかな?」と頼みました。すると返ってきたのは、「自分の仕事くらい自分でやれよ!」というきつい言葉。海上保安大学校からの長い付き合いでしたが、こんな言い方をされたのは初めてでした。しかも、それまでのA君だったら、同じ断るにしても、「うーん。今、ちょっと手があいてなくて。悪いな」などと言ったはずでした。「おまえはさ、半年前、俺に『仕事が片付かないなら、朝来てやれ』と言ったよな。だったら、おまえもそうすればいいんだよ!」A君が続けて言ったその言葉で、やっと気づきました。半年前のあのとき、私が何気なく言った言葉が、彼を深く傷つけていたのだと。 -
男性は、想像以上にプライドや体面を重視する
A君があんなに怒ったのは、男性としてのメンツをつぶされたと感じたからでした。彼がそう感じたポイントは、どこにあったのでしょう。私なりに分析した結果、彼の怒りの原因は次の3つにありました。ポイント① 「下に見られた」と感じさせた同級生のよしみもあって、あのとき私は、気軽に「そんな仕事、さっさと片付けて」とか「明日の朝、出勤してやればいい」などと言ってしまいました。でも、もし相手がA君ではなく上司だったら……と考えると、やはりそんな言い方はしなかったでしょう。つまり、私が言ってしまったのは、自分と同等かそれより下の立場の人につかう言葉だったのです。多くの男性は、女性よりも上下の関係を無意識下で強く感じています。そして、対等な関係ならば少しでも心理的に優位に立ちたいと思うようです。若手のリーダーとして同じような役職につく私にそのような言葉をかけられたことで、A君は自然と「下に見られてしまった」と感じ取ってしまった。それが、怒りの原因のひとつだったのではないでしょうか。ポイント② 「能力を疑われた」と思わせた仕事のことで頭がいっぱいで、余裕がなかったA君です。私の「さっさと片付けちゃいなさいよ」の言葉は、「その程度の仕事でモタモタしているなんて能力がない」と見下されたように聞こえたのかもしれません。ポイント③ 「仕事をバカにされた」と思わせた「明日の朝、早く出勤してやればいい」その言葉を聞いたとき、A君はこう思ったのではないでしょうか。「バカにするな。俺がやっているのは、そんな短時間で片付くような簡単な仕事じゃないんだよ!」この、多くの男性に共通する「上下の関係」や「プライドや体裁への意識」は、女性にはなかなか理解ができません。女性が考える以上に重視している人が多いのです。女性にとってはささいなことでも、男性にとってもささいなこととは限りません。 -
こんな「何気ない一言」で、男性が傷ついている
私自身もそう理解しているはずなのに、つい、同じ失敗を繰り返してしまっています。たとえば、プライベートな話ですが、先日、夫と同じような行き違いをしてしまいました。仲間内で計画したイベントの打ち合わせで、「会場へ運ぶ荷物をどうしようか」という話になったとき、私が言った一言が問題でした。友人「どうしよう。手が足りないね。配送業者を呼ぶ?」私 「あっ、それならうちの主人が車を出すから大丈夫」これです。この場には夫も同席していましたが、家に帰宅した後で、「あの一言には傷ついた」と言われてしまいました。それは、本人の承諾なしに私が勝手に提案したからでした。「夫は、私に指示されれば動くもの」と、自分がまるで妻の部下かアシスタントのように扱われたと感じたのだと思います。私としては、「うちの夫は優しく、そのくらいのことはやってくれる頼りになる人なの」と内心は自慢も含んだ発言のつもりだったのですが、男性には、それは通じないのですね。親しい間柄だからこそ何気なく言ってしまった言葉が、男性のプライドを傷つけ、メンツをつぶしている。女性から見たら、おかしいと思うかもしれません。でも、実際、それも男性の特質のひとつです。尊重して上手にコミュニケーションをとっていくのが、お互いの能力を引き出し、相乗効果でいい仕事をしていくための知恵なのです。
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