目次
- ○友達の期待に応えたい
- ○友達にダメな自分は知られたくない
- ○友達に相談できるレベルは人によって違う
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友達の期待に応えたい
「悩みを相談できるお友達はいますか?」カウンセリングの中で、そのようにお尋ねすることがあります。そういう人が身近にいらっしゃるという方は、自分の悩みを言葉にする機会があって、とてもよいことだと思います。しかし、一方でお友達に相談することのしんどさというのも感じているのではないでしょうか。自分のために時間を作ってくれる。悩み相談に、根気強く耳を傾けてくれる。過去の体験や考えを語って、何とか励まそうとしてくれる。そのように、自分に時間と労力を惜しまず提供してくれる人に対して、アナタは知らず知らずのうちに、相手の期待に応えたいと思うようになっていないでしょうか。「話を聞いてもらって楽になったよ、ありがとう」「うん、そうしてみる!」と言っておきながら、心の中では、「ダメだ、私にはそんなことできない。それができる位ならば、こんなに悩んでいないのに……」と思って、逆にふさぎ込んでしまうことがあるのではないでしょうか。そんなネガティブな感情が心の中に渦巻くと、「なんて私は、ひどい人間なんだろう!」と自己嫌悪に陥ってしまい、お友達が一生懸命に話を聞いてくれればくれるほどに、自分の心の中の葛藤に引き裂かれそうになる方も、決して少なくはないはずです。 -
友達にダメな自分は知られたくない
友達に気軽に相談できない悩みというのはありませんか。この悩みを話してしまうと、相手には、「こいつ、こんなダメなところがあったのか」と思われるのではないかと心配になって、つい相談するのを躊躇してしまったり、悩みが解決した後、私の暗い面だけが相手の印象に残るのではないかと気にしてしまったりする方もいると思います。また、どちらか一方が相手を助けるとなると、助けられる方は少し負い目に感じてしまい、それが新たな悩みを生み出してしまいます。「友達だからこそ、元気な自分だけを知っていてほしい」と、話される方も少なくはありません。それを見栄っ張りの人という言葉で片付けるのは、少し違う気がします。友達にダメな自分は知られたくないと思うのは、自分を大切にしたい気持ちの表れでもあるからです。 -
友達に相談できるレベルは人によって違う
「幼い頃からずっと一緒にいるので、私のことを何でもわかってくれる友達なんです。親や兄弟のことも知っていて、まるで私の分身みたいです」そんな親友を持ってらっしゃる方は、とても幸せだと思います。けれども、すべての方に、自分のことを裏も表もわかってもらっているわけではありませんよね。他者に自分のことについて話すことを“自己開示”といいます。この“自己開示”のレベルは人によって違います。例えば、どこで生まれたのかとか、何が好きなのかなど、一般的と思える事柄でも他者に伝えることを嫌がり、警戒する人がいます。その逆で、何もかもを自分が感じたままに言葉にしたり、自分の置かれている状況を詳しく見せられる人もいるように、自己開示のレベルには個人差があるのです。相手に自分の情報を開示しなければ、相談になりませんので、友達に相談できるレベルは、その人が自己開示できるレベルによって違ってくるということなんです。しかし、高いレベルの自己開示ができることが素晴らしいとは限りません。アナタは、「この友達には、ここまで自己開示できそう」といったことを、無意識に判断して話しています。その自己開示のレベルを急に上げると、相手が受け止めきれないということも出てくるため、友達との関係性に危険を伴う行為でもあるのです。
人間関係でストレスを溜めない技術
第1章 相談することの落とし穴より
人間関係の悩みに苦しみ、本当の自分を出せず、ストレスを溜め込んでしまう人に向けて、気持ちを上手に切り替えて、もやもや気分をスッキリ解消する方法を紹介します。