目次
- ○疲れを伴う悩みとは
- ○なぜ悩んでいるのかわからなくなったFさん
- ○悩む人の傍にいてできること
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疲れを伴う悩みとは
「う~ん、疲れた」と伸びをする私(ほんだきみ子)に対して、「さっきから、パソコンを前にフリーズしているだけじゃない」と返される。「違うの。頭の中は忙しいのよ。だって、どう書いたらもっと伝わりやすくなるのか、悩んでるんだもの」これは、この原稿を書いているときの、私と家族の会話。他人から見れば、フリーズしたかのように動きが停止しているからといって、何も活動していないわけではないのです。むしろ、その人の内面での精神活動は、非常に活発に行われていることがあります。その精神活動がスムーズに行動につながるときは、疲れを感じないのですが、上手くいかないときは、「疲れを意識する」人が多いようです。思春期の子どもの様子を見ていて、「悩むために悩んでいるようだ」と思われることはありませんか? 「そんな小さなことにこだわって、わざわざ悩みたいと言っているようなものだ」とおっしゃるご両親もいます。思春期の頃の子どもたちは、自分の内面を豊かにするためのトレーニングを始めたと考えてみるとよいでしょう。精神活動を行うためのトレーニングです。もちろん、まだ始めたばかりなので、スムーズに行動へつながらずに、ときにはフリーズしているように見えると思います。 -
なぜ悩んでいるのかわからなくなったFさん
人間関係などで深く悩んでいる人から、悩みから解放されると、どんな気分になるのかという質問を受けることがあります。そういうとき、自分ではどう想像されているのかお尋ねすると、「一気に霧が晴れたような感じだろう」とか、「きっと、清々しい気分になるに違いない」または、「視界がクリアになると思う」などのお答えが返ってきます。悩みのループを断ち切れずに、苦しんでいたFさんという方は、いざその状況から解放されてみると、「なぜ、悩んでいたのかわからなくなりました」とおっしゃいました。そんな言葉が、悩みからの脱出を示唆する第一声になる方も少なくはありません。「あれほど、上司から言われた言葉に悔しい思いをしていたのに。この頃、どうでもイイっていうか、この人にこだわっていても仕方がないな~って思うようになったんです」と。これを聞いた私は、「Fさんは“諦めがつかない自分の思いとの戦い”を終えることができたんだな~」と安心したのです。 -
悩む人の傍にいてできること
さて、身近に人間関係などで悩んでいる人がいて、苦しそうにしているとき、傍にいる人は何かをしてあげられるのでしょうか。傍から見ていると悩んでいる人は、まるで上から何かが乗っかっていて、その重さで押し潰されそうになっているように見えるかもしれません。「“上に乗っかっている何か”や、“重たそうな心の荷物”をさっさと降ろしてしまえばいいのに」と、思うでしょう。悩んでいる人に対して「気持ちを切り替えていこう」と言ってみたり、実際に手を出して、上に乗っかっている何かを振り払ってあげたり、引きずっている重たい荷物を降ろすのを手伝ってあげたりする人がいますが、一時的に振り払えても、本人がまた別のものを乗っけてしまう場合が少なくありません。傍にいる人の大切な役割は、気持ちを切り替えてあげることではなく、気持ちを切り替える準備、つまり本人が悩みや不安を主体的に降ろすことができるように、環境を整えてあげることなのです。悩みを抱える人がいたら、環境を整えてあげよう
人間関係でストレスを溜めない技術
第3章 「なぜ?」「どうして?」からの脱出より
人間関係の悩みに苦しみ、本当の自分を出せず、ストレスを溜め込んでしまう人に向けて、気持ちを上手に切り替えて、もやもや気分をスッキリ解消する方法を紹介します。