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日本人がお酒に弱い理由(アセトアルデヒドとALDH2の関係性)

職場などで飲み会を開くと、お酒を全く飲めない人やすぐ真っ赤になってしまう人が半数近くいませんか?日本人は体質的にお酒に弱い人が多いのです。その体質はどのように出来上がってきたものなのでしょう。ヨーロッパの人々とは遺伝子レベルで異なるお酒への耐性をチェックしてみましょう。

長沼毅(理学博士)

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目次

  1. ○日本人は酒に弱い
     
    • 日本人は酒に弱い

      ナルコレプシーのように遺伝子によって決められている仕方がない体質は他にもあります。より身近な例を挙げてみましょう。
      職場や学校の仲間、友人たちなど10人程度で飲みに行くときに、少し周りを観察してみましょう。全体のうち3〜4人は真っ赤になりながら飲んでいませんか? そしてときに1人は全く飲めない人、つまり「下戸」がいないでしょうか?
      どうしたわけか多くの国ではお酒を飲めること、「アルコール代謝能」が高いことが「いいこと」だとされており、日本でもそれは同じです。しかし、日本人が他のヨーロッパ人やアフリカ人の集団と違うのは、その遺伝的特性上「飲めない」人が多い人類集団だということです。
      アルコールの代謝について少し教科書的な説明をすると、まず体内にアルコールが取り込まれると、「アルコール分解酵素」によってアルコールは「アセトアルデヒド」という物質に変えられます。アセトアルデヒドはいわゆる「悪酔い物質」であり、これが体内に蓄積すると頭痛や吐き気の原因となります。そのため「アセトアルデヒド分解酵素」によって水と酢酸に代謝されなければ酔いは醒めないのです。
      このアセトアルデヒド分解酵素の一つ「ALDH2」の活性の有無こそが、アルコールへの強さを左右します。下戸は、この活性が極端に低い人であり、日本人は遺伝的にこの活性が低い傾向があるのです。
      お酒が飲めない奴はダメだと言われても、そもそも遺伝子レベルで酵素の活性がないのだから仕方がありません。とはいえ、最近はお酒を飲まない人も出てきたことから、お酒を飲めない、下戸であることがそれほど大きな損失になることも少なくなりました。日本において、お酒を飲まない人への理解が進んできたと言えるでしょう。

考えすぎる脳楽をしたい遺伝子

長沼毅

クロスメディア・パブリッシング

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