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季節感を出すメイクの方法【メイクアップアーティスト執筆】

雑誌などでよく季節に応じたメイク特集などが組まれますが、その通りにメイクを施してもあまり自分には似合わない…と感じたことはありませんか?人には似あう色・似合わない色があるものです。必ずしも季節に応じた色味が似合うとは限りません。そもそも季節の感じ方も人それぞれ。美塾塾長の著書をチェックして、自分に合った季節の楽しみ方をしてみませんか。

内田裕士(メイクアップアーティスト執筆)

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目次

  1. ○「春だからピンク♡」それホント?
     
    • 「春だからピンク♡」それホント?

      私(内田裕士)は始めに魅力ありきで、本来持つ魅力に似合う範囲内で、季節や流行をおさえるべきだと思っております。
      季節ごとにメイクアップカラーを大胆に変える知人がいらっしゃいました。その方は秋だけとっても可愛くて、春と夏と冬は少しもったいないお顔をしていました。
      理由はカンタン。秋に出るような色が似合う方だからです。であれば1年通して、秋に使うような色でメイクをしたらいいんです。そしてれてきたら、その範囲の色の中で季節感を出せばいいのです。
      その前提で、少し季節をメイクやファッションに取り入れることについて、お話しさせていただきますね。
      そもそも春はピンク、秋はブラウン、冬はブラック、など季節ごとに取り入れる色ってありますが、そんなに単純なものなのでしょうか? 僕はそうは思いません。
      授業ではこういう質問をします。
      「季節ってどこにありますか?」
      そうすると塾生のみんなが「自然」「天気」「街」と答えていきます。
      最初はありきたりな意見が多いので、そこでさらに
      ホントにー? そういうところで感じていますか? それは知識のことですよね? 実際には日常でどんなときに季節を感じていますか? もっと思い出してー!」
      と突っ込むと、
      「空気」「スーパーマーケット」「行事」「子どもの服」
      などという臨場感のある言葉が出てきて、さらには
      「音」「匂い」
      などという独特な感性も飛び交います。
      そこで僕が、
      「ではそのような要素を日々感じながら、それをメイクに取り入れていますか?」
      と聞くと、ほとんどの方が「NO」と答えます。季節も流行ももっと繊細で情緒があって、それでいて身近で、毎日毎分毎秒移り変わっているもの。ですから知識で「春はピンク」なんてやったとしても、なんの情緒もありません。
      ある梅雨の季節に、妖艶ようえんでエキゾチックな魅力の方で、でも性格は明るくあっけらかんとした魅力の、周りのみんなが大好きな生徒様がいらっしゃいました。
      そんな彼女が「季節と流行」の授業で、今までにも増してグッと色っぽいアイメイクを仕上げてきたのです。ブラウンとベージュのグラデーションでなんかぴかぴかしているのですが、そのれた感じがまたその方のエキゾチックさとマッチしていてとっても色っぽいのです。なんと、仕上がったアイメイクの上にグロスを少しのせたんだとか。
      なるほどーと感心しながら、
      「そのメイクのテーマはなんですか?」
      とお聞きすると彼女は
      「かたつむり!」
      と、これまたあっけらかんとした笑顔で答えたのです。技ありなとてもとても雰囲気のあるメイクでした。そして、しとしとと雨が降り続けていたこの梅雨の季節との相性は抜群でした。当たり前です。梅雨には欠かせないキャストでもあるかたつむりさんのコーディネイトを拝借したわけですから。
      また梅雨が明けた頃、こういう生徒様もいらっしゃいました。ほとんど色味を使わないメイクで仕上げてきた彼女。明らかにアクセントは朱色に近いオレンジがぼんやりと浮かび上がったチークでした。
      「どういうテーマでメイクをしたのですか?」
      と聞くと、こんな答えが返ってきました。
      「このメイクのテーマは鳥居です」
      これまたビックリです。彼女はこう続けました。
      「先日山登りに行ったのですが、スギの木がたくさん生えている中、ほとんど舗装されていない道をずっと歩いていました。霧もあって、全体的にスギの木の緑もぼんやりとしていて、いつまで続くかわからない山道でした。
      しばらく歩いていたら急にそのぼんやりとした緑の中で朱色の鳥居が見えてきたのです。鳥居も霧がかかっているから当然ぼんやりとしているんだけど、緑との対比でこんなに鮮やかに見えるんだと思って、その鳥居をイメージしてチークを塗りました。
      また霧をイメージして、チークをつけた後、普段はつけないのですが、パウダーをうすくぶせたんです」
      まったくお見事な感性です。そんなところからインスピレーションが湧いてメイクをすることができたら、とても情緒あるたおやかな女性へとさらに成長していけそうですよね。僕たちの思う「季節」や「流行」ってそういうものだと思うのです。
      そして季節と流行というのは、なにも変わりゆく季節や流行に沿ってその都度、新たに色を購入することではないと思います。
      持っている色、似合う色で、似合うメイクで、その中で、季節や流行を表すことだと思います。茶道の世界では、ゴボウをあゆに見立てた花びら餅というお菓子で季節を感じていただくのです。その慎ましさが粋なのです。
      あなたも今ここにある季節を感じて、それをメイクで表現してみませんか?

      Point あなたが感じたものが季節です

毎朝、自分の顔が好きになる

内田裕士

フォレスト出版

Part5 あなたの「魅力」を磨くヒントより

日本最大級のメイク教室の創始者であり、本書の著者である内田裕士氏が提唱する、あなた本来の魅力を活かすナチュラルメイク。上達すればするほど、使用するメイク用品の量もメイクにかける時間も減るだけでなく、自分の素顔が好きになっていくという従来のメイクとは真逆のメイクです。なにより、あなた自身も気づいていない《隠された魅力を知ることができる》メイクなのです。そんな多くの女性たちの人生を変えてきたオリジナルのメソッドについて、内田氏が今回、初めて書籍で公開しました。

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