人に相談することで見方が広がる
ストレスに対処するポイントとして、私は「3つのC」が大切だと考えています。
これは、
(1)人とのふれ合い(コミュニケーション)をよくし、
(2)自分らしく行動できる(コントロール)範囲を増やし、
(3)そして認知(コグニション)を現実的なものに変えていく
という考え方です。
悩んでいるときこそ、このコミュニケーションの役割を生かしてみましょう。
「こんなことを相談したら、ダメな人間だと思われないだろうか?」
そんなふうに感じて、悩みを誰にも打ち明けられず、一人で考えこんでしまう人がいます。
悩んでいる人は、「こんなことで悩んでいるのは自分だけ」と考えているので、誰かに話すことで自分をさらけだすのが怖いのです。
まわりを見て、「他の人は元気で楽しそうにやっているのに、どうして自分だけがグメなんだろう」という劣等感にさいなまれてもいます。
人間関係がうまくいかないだけで落ちこむなんて、だから自分はダメなんだと考えて、自分を責めるのです。こんな些細なことを解決できない人間は自分以外にはいないだろうと悩み、誰にも相談できずにクヨクヨ考え続けることになります。
実際は誰もがみんな、そういうかたちで悩んでいるのに、悩んでいる人は〝自分だけ〞という錯覚に陥ってしまいます。
どんな場合もそうですが、「自分だけがつらい」とか「自分だけが下手だ」ということは絶対にありません。
いまここで悩んでいるのは、決してあなただけではないのです。
思いきって親しい人に相談してみましょう。話を聞いた人が、「なんてダメな人間だ」と思うことは決してありません。
その人だって、あなたと同じように悩んだり、苦しい思いをしたことがあるはずです。あなたの話に耳を傾けてくれるでしょう。
自分で解決できない問題があって、つらくて仕方ないとき、友達でも同僚でも家族でも、適当な人がいなければ専門家でもいいですから、誰かに相談してみることです。
もし、すべてを打ち明けることに抵抗を感じるような場合には、すべてを話す必要はありません。
すべてを話すと、むしろつらさが増すことがあります。私たちは、誰も、人に言えないような悩みをかかえています。それをあえて口にすることはありません。
でも、まったく話さないでいるとつらさがたまってきます。
ですから、ほんの一部分を軽く話すだけでもよいでしょう。つらい気持ちを誰かに話すからと言って、自分のすべてをさらけだす必要はないのです。
口に出して話せば、それだけで自分の考えを整理することができます。
また、自分が感じている不安や危険を「本当にそうなのだろうか?」と、客観的に見直すきっかけにもなります。
そのときに大事なことは、誰かから完璧なアドバイスをもらうことではありません。人に話すことで別の視点が得られれば、それだけで十分です。
他人の視点を参考にすれば、ものの見方は広がります。
信頼している人から「このような考え方もあるんじやないの?」とか、「ここのところは考えすぎだと思うな」と言われれば、自分なりに考えるきっかけになるでしょう。
たった一人で悩んでいても、状況はますます悪くなるばかりです。
もし直接解決に結びつかなかったとしても、少し勇気を出して他の人に相談できれば、それだけで気持ちは確実に楽になっていきます。