いい人間関係を築けないのは性格のせいじゃない
人とうまくつき合えないのは、「自分の性格が悪いからだ」と考えてしまうことがあります。
「引っこみ思案で、人に話しかけられない」
「明るくないから、みんなのなかにいても浮いてしまう」
と感じて、
「もっと明るい性格だったら」
「もっと積極的に行動できれば」
と思ってしまうのです。
人は誰よりも自分の欠点をよく知っています。だからこそ、自分にコンプレックスをもち、できることなら、その性格を変えたいと思うのでしょう。
しかし、性格を変えるというのは、とても難しいことです。
性格は、以前はその人の生まれ育った環境によって決まると考えられていましたが、最近の研究では、遺伝の影響が大きいということもわかってきました。
性格が遺伝によって決まるというと、
「それならば自分はもう一生ダメなままなのか」
と考えてしまうかもしれませんが、決して、そんなことはありません。
もともと性格には、「ダメな性格」などないのです。
どんな性格にも、マイナスとプラスの両面があります。
引っこみ思案な人は、それだけ人と慎重につき合えますし、神経質な人は、物事をいい加減に片づけないというプラスの面をもっているのです。
もしも明るくて社交的で、はっきりとものを言える性格になったとしても、それでもう人間関係で悩まなくなるということはありません。相手によっては、その明るさに圧倒されて敬遠してしまう人だっているでしょう。
どのような性格の人でも、いつも誰とでも気が合うというようなことはないのです。
しかも、性格は周囲の状況やつき合う相手によって、まったく違った印象で受けとられるものです。
あるときには「行動力がある」とほめられることもあれば、別のときには「強引だ」と批判されることもあります。
ですから、私たちの性格が遺伝や環境によって決まるものだとしても、それが人づき合いの上手、下手を決めてしまうことにはならないのです。
もって生まれた性格を変えようとするのではなく、いまの自分のいい面を生かすにはどうすればいいのかを考えたほうが、ずっと簡単ですし、人づき合いもスムーズにいくようになります。
「強引な自分」を責めるよりも、「行動力のある自分」に目を向け、それを生かせる人づき合いの仕方を見つけていくようにしてください。
私たちは誰でも自分なりの〝人とのつき合い方〞をもっています。
たくさんの人と一緒に行動するのが楽しいという人もいれば、少人数のほうが落ち着くという人もいます。
一見、たくさんの人と行動する人のほうが、人づき合いが上手なように思えるかもしれません。
しかし、人間関係では、つき合っている人の数ではなく、人と人とが一緒にいて楽な気持ちでつき合えることのほうがずっと意味があります。
友達の数が少ないからと言って、自分は人づき合いが下手だと思いこむ必要はありません。
人間関係で大切なのは、自分にとって心地よいつき合い方を知ることです。
〝自分なりの人づき合い〞を大事にするようにしましょう。