目次
- ○お騒がせ社員の置き土産
- ○セレンディピティを自分で招く――台無しにするのも自分しだい
- ○あなたのドラマクイーン度テスト
- ○鏡よ鏡……
-
お騒がせ社員の置き土産
「評判を築くのに20年、失うのは5分。それがわかっていれば行動は変わる」ウォーレン・バフェット(投資家)転職を決めたある女性の話です。わたしは彼女の上司だったので、面談をして、退職を希望する理由などをたずねました。「次の会社に、わたしにとって大きなチャンスがあると思うんです。社風も合ってるように思います」彼女はそう説明して、今までここで働けてたくさんのことを得てきました、と言ってくれました。機会をくださったことを感謝しています、とも。ですからわたしも、必要なら喜んで推薦状を書くと約束しました。彼女は優れた分析能力を持っていて、マーケティング部の水準を高める働きをしていたからです。今後も縁があればと思って、連絡先も交換しました。次の仕事での活躍を心から望んでいましたし、わたしのチームで果たしてくれた貢献に感謝していました。それに、狭い世界なのですから、きっといつかどこかで接点があると思っていました。そう、世界は狭いのです――少なくとも彼女はそれを自覚すべきでした。涙ながらに退職の意思を説明した彼女が、そのときどんな面倒を起こしていたか、わたしはまったく知りませんでした。彼女は周囲の数人に、自分の給料を赤裸々に話していました。彼女より勤続年数が長いのに、彼女より給料が低い人たちに、わざわざそのことを指摘したのです。あとからわかったのですが、彼女がそんなことをした理由は、「あんたたち、会社にちゃんと文句を言いなさいよ」と思っていたからでした。給料のことで会社に問題提起すべきだ、と周囲を焚きつけたのです。『なんでそんなこと煽るの?』『世間知らずか、バカなのか、どっちかでしょ。』彼女は新たなキャリアへうきうきと旅立つにあたって――あの様子じゃ順風満帆なキャリアにはならないとわたしは思っていますが――わざわざトラブルの種をまいていきました。元同僚となる人たちに「ちゃんと評価されてないのかも」という不安を抱かせて、後始末もせずに去っていったのです。たった一人が正義感を振りかざしてドラマを演じたせいで、組織にどれほど悪影響が広がることか!事実を知りもせず適当なことを言ったり、怒りなど負の感情を抱かせるようなことをしたり、プライベートな事柄をおおっぴらに話したり……そんなふうに事を荒立てる必要があるでしょうか。まして給料というのは秘密情報であり、個人に属するものです。社員と会社との間で、さまざまな条件に基づいて取り決められたものであって、他人と一概に比較はできません。特別な業務を担当する場合もあるでしょう。前の会社でもらっていた額を考慮に入れる場合もあるでしょう。この女性の場合は、特殊なスキルが求められる職種の経験がありました。入社後に大きく能力を発揮するポテンシャルがあったので、採用されたのです。彼女のもらっていた額も、そうした経験を加味して決められたものでした。『俳優のマンディ・パティンキンの記事で、こんな名言を見つけたよ。「比較は暴力につながる」って。』『「あんたはわたしより安いんだよ」なんて煽られたら、そりゃ暴力的な気持ちにもなるよね。』それに、ほかの人の給与体系について「こうするべき」などと言う権利はありません。それぞれにどんな経歴があるかなんて、わからないではありませんか。そもそも彼女は人の業績や昇給に関わる立場ではありませんでした。もっと言えば、彼女から余計なことを吹き込まれた社員は、ちゃんと仕事ぶりを評価されていましたし、ふさわしい昇給も受けていました。彼女は本当に無用な火種を投げ込んだだけだったのです。 -
セレンディピティを自分で招く――台無しにするのも自分しだい
こうした余計なお喋りのせいで、結局、何が起こったでしょうか。彼女は自分で自分の評判を台無しにしました。狭い世界でこの先どんな接点があろうと、わたしがまた彼女を起用することは絶対にありません。推薦状も書きません。むしろ、わたしが推薦状を書かないことが、事実上「推薦できるような人ではない」というメッセージになるでしょう。彼女にとっては不幸なことだと思いますが、それは本人が招いた不幸です。忘れないでください。世界はとっても狭いのです。自分の行動が自分の評判になります。評判は何より大切な資産です。不義理をはたらいた相手に、もう二度と会わなくてすむと思ったら大間違い。むしろ、きっと出会うときがやってきます!『その人、自分の行動の意味に気づいてたと思う?』『思わない。でも、いずれ痛い目に遭って気づくことになるよ。』わたしの元部下だった女性は、職場でドラマを巻き起こしました。誰の役にも立たず、彼女の将来に傷をつけるだけのドラマです。あなたがそんな人物にならないように、負のドラマを作り出す傾向がないかどうか、簡単な心理テストでチェックしてみましょう。 -
あなたのドラマクイーン度テスト
質問 同期が昇進したら……・飲みに誘ってお祝いをする 1点
・無視して、「取り消されればいいのに」と願う 2点
・「あの子は〈特別なスキル〉があるから」と周囲に匂わせる 3点
質問 上司があなたのプレゼンについて改善を求めてきたら……・注意深くメモを取り、指摘は次のプレゼンに活かすと約束する 1点
・なぜそんなプレゼンになったか一つひとつ理由を説明する 2点
・涙を流し、「チームメンバーがちゃんと仕事してくれないんです」と訴える 3点
質問 コスト削減でウォーターサーバーが撤去され、水道水しか使えなくなったら……・節約には小さなことが重要なんだ、と納得する 1点
・自分に支障のない場所で、撤去すれば同じ節約効果があるものを提案する 2点
・不満を表に出し、CEOを「ケチなオバサン」と呼ぶ 3点
質問 あなたが希望していたポジションに、新人の女の子が採用されたら……・がっかりしながらも、その子を歓迎する 1点
・上司に面談を申し入れ、「どうしてわたしじゃないんですか」と聞く 2点
・「同じようなポジションになれないなら、今すぐ辞めます」と宣言する 3点
質問 近々リストラがあるらしい、という噂を聞いたら……・リストラ対象になった場合に備えて、今の自分の能力をアピールできる履歴書を用意する 1点
・リストラについて知ってる人はいないか、社内中に聞きまわる 2点
・「重大な情報を聞いたんだけど」と伝えてまわる 3点
質問 営業部長が秘書とつきあってることに気づいたら……・「わたしには関係ない。どっちも独身だし」 1点
・「ってことは、わたしが誘ったらこっちになびく可能性もあるかも」 2点
・2人の接触を監視する。タイミングを見計らって周囲にこっそり広める 3点
質問 眺めのいい個室オフィスが空いた。誰かがそこを使うポジションに昇進したらしいけれど、選考プロセスがオープンではなかった……・気になるから人事部に問い合わせる 1点
・不満に思ってることが周囲にわかるようにする 2点
・あの上等なワーキングチェアを自分の椅子と交換しておく。欲しいものは何だって奪ったもん勝ちでしょ 3点
スコア合計: 点
●スコア判定7点から10点あなたは偏ったシチュエーションにも冷静に反応しています。偉い!次の項に進んでください。11点から16点次の「鏡よ鏡……」を読んでから、WOW日記を開いて、自分が選んだ反応について考えてみてください。過剰反応を抑える努力は、今からでも遅くありません。どうか落ち着いて。自分が好きになれない自分にはならないように。17点以上バカな行動はやめること!あなたはムダな騒動を起こしてるだけで、それはキャリアにとってまったく役に立ちません。幸い、これは現実じゃなくてテストなのですから、WOW日記を使って自分の気持ちを理解し、ドラマを巻き起こしたがる気持ちを摘み取っておきましょう。本当にみっともないまねをしてしまう前に。『だけどさ、例のあの子は、ほんとに〈特別なスキル〉で昇進してたよね?』『そういうのは胸にしまっておきなさい。』 -
鏡よ鏡……
・他人の良い知らせを聞いたら、どう反応する?
・気に入らない知らせが耳に入ったら、どう反応する?
・正直なところ、ゴシップは好き?
・自分は他人からどう見られてる?
・自分は人から信用されて秘密を打ち明けてもらえる人間だと思う?
・秘密を守れるほう?つい喋りたくなるタイプだとしたら、それはなぜ?
女性のキャリアアップ38の嘘
2 オフィスでの本領発揮より
働く女性の出世や仕事、キャリアをめぐって、まことにしやかに囁かれている、さまざまな神話。あなたはいくつ信じていますか? ペプシコ、フリトレー、ハインツ、ゲートウェイ……。数々のグローバル企業で要職を務めてきた女性CEOがとことん本音ベースで語り尽くす、仕事と組織のリアル・ルール!