目次
- ○飲みニケーションは必要?
- ○セレンディピティを自分で招く――あなたにできること
- ○鏡よ鏡……
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飲みニケーションは必要?
あなたはどちらかというと引っ込み思案なほうでしょうか。オフィスで一日くたくたになったあと、みんなで近くのバーに行って騒ぐより、家に帰ってテレビでも観ていたいタイプ? もしかしたら、アフター5に一緒にワインを飲みたい特別な人がいるのかもしれませんね。ランニングとかヨガのクラスとか、自分だけの予定があるのかもしれません。仕事が終わったあとの過ごし方は人それぞれ。でも、同僚からの誘いに加わろうと思わないあなたはコミュ障なのでしょうか。「人と打ちとけない性格」?「お高くとまってる」?『そんなこと言われる筋合いないわよ! 仕事中の人づきあいはちゃんとしてるじゃない。』『だったら、ちょっと飲みにつきあうくらい、面倒がらなくたっていいじゃん。』まず最初に言っておきたいのは、あなたはあなたでいいということです。大人数でわいわい集まるのが苦手なら、飲み会に参加するのは楽しくないですよね――あなたにとっても、周囲の人にとっても。プライベートが充実していて、毎日ほかの用事があるのだとすれば、それはとてもいいことです。「仕事が自分のすべて」になっていないというのは、あなたにとっても会社にとっても健全だからです。無理なことはする必要はありません。でも、考えておきたいポイントもあります。人は誰でも、信頼できる相手、尊敬できる相手と一緒に働きたいと思うものです。もちろんオフィスの中で信頼と尊敬を得ていけばいいのですが、オフィスの外で交流して、相手について少しばかり理解を深められるなら、それは職場での良好な人間関係の後押しになります。では、それを自分にとって無理のない方法でやるためには、どうすればいいでしょうか。まずは考えてみます――あなたがもっとよく知ってみたいと思う人は誰でしょうか。どのグループになら加わってみたいでしょうか。いつもと違う場面で会ってみたら上司の良いところがわかるかもしれません。あの部署の仕事について話を聞いてみたいな、と思う人はいませんか。 -
セレンディピティを自分で招く――あなたにできること
わたしはダラスにあるフリトレーに転職し、その後に夫のマイケルが起業するタイミングで、フリトレーの関連会社であるニューヨークのペプシに移ることになりました。フリトレーでマーケティングに携わっていた4年間では大きな成果を出せましたし、順調に評価され昇進していきました。ですからペプシに移った時点で、きっといい評判が伝わっていると思っていたのです。大歓迎してもらえるんじゃないかな、と。ところが実際にはそうでもありませんでした。当時は知らなかったのですが、フリトレーで幹部になった若い人材はどんどん親会社に送られることになっていました。そして誰もがやりたがるポジションに昇進していきます。ですから、ずっとペプシで勤めてきている人たちは、フリトレー社員がぽんっと入ってくるのをおもしろく思っていなかったのです。大歓迎どころか、とても冷たい扱いでした。わたしは委縮してしまい、「どうやってなじんだらいいんだろう」と悩みました。そこであることを思いついたのです。オフィスの外で交流して、わたしのことを少しでも知ってもらえれば、わたしが出世欲にまみれたタイプじゃないとわかってもらえるんじゃないだろうか。イリノイ州出身で、大学ではロシア語専攻で、夫のキャリアを支えるためにニューヨークに引っ越してきた悪意のない女性社員ということなら、警戒される要素もありません。そういうわけでわたしは、影響力を持っていそうな人と打ちとける努力をしてみました。わたしが敵ではなくて仲間として働くつもりなんだ、ということを、一人ずつ伝えていったのです。簡単だったとは言いませんが、効果はありました。『正確に思い出してよね。うまくいかなかったこともあったじゃん。』『完全な孤立からは抜け出せたんだから、それで充分。』先ほど、あなたがよく知ってみたい人をリストアップしましたよね。どんな場面ならその人について理解を深められそうか、考えてみましょう(そうです、これも人脈作りです)。食堂でコーヒーを一緒に飲むとか、ランチに誘ってみる程度なら、そんなにハードルは高くありません。勤務時間内に収まるので、他人のプライベートな時間に踏み込むことにもなりませんね。ほかの人だって、会社帰りに同僚と飲んだりする以外に、やりたいことはいろいろあるはずだからです。実際に誘ってみるときは、どういう意図で声をかけているのか、きちんと相手に伝わるようにしましょう。・業務内容について教えてほしいと思っている。
・会社の習慣について理解したいと思っていて、その人ならきっといいアドバイスをくれると思っている。
・純粋に、その人のことをよく知りたいと思っている。
約束をとりつけられたら、必ず準備をして臨んでください。一緒にコーヒーを飲むだけだとしても、こちらから誘ったのですから、会話のきっかけになる質問をいくつか頭に入れていくのです。相手が上司や、他部署の責任者だとしたら、まるで面接みたいだと感じるかもしれませんが、実際にそうなのです。相手について理解を深めることが目的だとしても、これがある意味で「仕事」だというのは変わりありません。混乱するかもしれませんね――仕事以外で交流を深めようとしているのに、これが仕事だなんて。でも、特に新しい職場に入ったばかりのときは、「人について知る・自分のことを知ってもらう」というのは「仕事を覚える」の一部だと心得てください。相手も最初は、職場における役割でしか、こちらのことを見ていません。もっと具体的にどんな性格で、どんな生活をしているか多少なりと知ってもらって、業務を円滑に進めやすくするのが狙いなのです。とはいえ、これはデートではありません。何でもかんでも話せばいいというわけでもありません。『最近セックスがマンネリで、縛られるのもいいかなって思ったり……っていう話は、やめておいたほうがいいかな?』『そうね。相手が手品師で、縄抜けのアシスタントを探してるなら別だけど。』目標は、この交流を通じて、こちらに好印象を持ってもらうこと。好印象があれば職場でのやりとりもスムーズになりますし、陰で悪口を言われたりしません。コーヒーやランチじゃなく、お酒を飲みに誘ってみるのも、もちろんいいと思います。ただし、アルコールが裏目に出ることがあるので気をつけて。計画以上に喋りすぎたり、予定以上に見せすぎたりしてしまうかもしれません。場合によっては、アフター5に大勢でわいわい飲みに行くのが最善の道ということだってあるのです。大人数なら注目の中心にならないので、ただ観察しているだけで、たくさんの情報が得られます。どんな職場でも(それを言うなら、生活の中のどんな場面でも)自分が喋りまくるより相手の話を聞くことに集中したほうがいい、というのが鉄則です。では、誰かとオフィスの外で会うのはどうしても気が進まない場合は、どうしたらいいでしょうか。苦手なことをすることはありません。あなたの心の中にきっちりした境界線があって、「仕事のつきあいは職場だけ」という声が聞こえるなら、その気持ちを尊重しましょう。その場合でも実践できる作戦があります。勤務時間内にアポをとって、取り組んでいるプロジェクトについて相談や話し合いをするのです。アフター5に誘い出すというハードルの高いことをしなくても、相手について理解を深める手段になります。結局のところ、職場でのコミュニケーションのポイントは一つです――自分にとって無理のないようにすること。他人の基準に合わせる必要はありません。 -
鏡よ鏡……
・自分らしさを出しやすい場所や状況はどんなところ?
・自分のプライベートについて、どの程度まで人に知ってほしい?
・同僚のプライベートについて、どの程度まで知りたい?
「社交性遺伝子」の配給があったとき、あなた以外のみんなは列に2回並んで、人づきあいがうまい人間になる遺伝子を2倍もらったのかもしれません。あなたはきっと配給のお知らせを見逃していて、かわりに「まじめ遺伝子」と「賢い遺伝子」をもらってしまったのでしょう。
大丈夫。その2つだって、ちゃんとはたらいてくれる大事な遺伝子です。
(巨乳遺伝子をもらわなかったあなたも、心配しないで!)
女性のキャリアアップ38の嘘
2 オフィスでの本領発揮より
働く女性の出世や仕事、キャリアをめぐって、まことにしやかに囁かれている、さまざまな神話。あなたはいくつ信じていますか? ペプシコ、フリトレー、ハインツ、ゲートウェイ……。数々のグローバル企業で要職を務めてきた女性CEOがとことん本音ベースで語り尽くす、仕事と組織のリアル・ルール!