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リンスインシャンプーとは

忙しいときには入浴の時間を節約したいこともありますよね。そんなときに便利なのが、リンスインシャンプーです。洗い上がりがパサつかないこの技術の秘密はどこにあるのでしょう。『身のまわりのすごい技術大百科』(KADOKAWA)からご紹介します。

涌井良幸

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目次

  1. ○リンスインシャンプー
     
    • リンスインシャンプー

      リンスインシャンプーとは、リンスの効能をあわせ持ったシャンプーである。シャンプーは髪から脂汚れを取るもので、髪をパサパサする性質がある。それに対してリンスは髪に潤いを与えてくれる。この相矛盾する性質を一つのボトルで実現するリンスインシャンプーとは、どのようなものなのだろう。
      本論に入る前に、まずは普通のシャンプーとリンスのしくみを調べよう。シャンプーは石けんと同様に、親水基と疎水基をあわせ持つ分子から成り立つ。油汚れに対して疎水基を突っ込み、親水基で表面を覆って、水で洗い落とせるようにするのだ。
      リンスも基本的に石けんと同一構造である。違うのは、親水基の電荷でんかである。水中において、石けんの親水基がマイナスなのに対して、リンスはプラスなのである。そのため、シャンプー後にリンスを利用すると、マイナスの電気を帯びている髪の毛にまとわりつき、シットリ感を出すのである。また、リンスは長い疎水基を持つため、髪がまとわりつくのを妨ぎ、髪のサラサラ感を演出してくれる。

      普通のシャンプーとリンスの分子

       似た構造だが、電気の帯び方が異なる。また、リンスの分子はシャンプーの分子よりも長い。

      普通のシャンプーとリンスの分子

      普通のリンスのしくみ

       髪にとりついたリンス分子は髪がもつれるのを妨ぎ、サラサラ感、シットリ感を出してくれる。

      普通のリンスのしくみ


      以上がシャンプーとリンスのしくみだ。しかし、これらを単純に混ぜてはシャンプーとリンス成分のプラスとマイナスが打ち消し合って元も子もなくなってしまう。そこで、リンスインシャンプーには工夫が必要なのである。
      代表的なのが、リンス成分として陽イオン性ポリマーを利用する方法である。陽イオン性ポリマーは、陽イオンをところどころに配した長い紐のような分子である。原液中では、リンスの陽イオンとシャンプーのいんイオンが結合している。水に解かれると分解し、小ぶりのシャンプー分子がまず先兵となって髪の汚れを落とす。髪をすすいだ後には、マイナスの電気を持つ髪にプラスの電気を持ったリンス成分が取りつき、リンス効果を発揮するのだ。
      忙しい現代人には便利なリンスインシャンプーだが、シャンプーとリンスを別々に使うほどの効果は得られにくい。応急的に利用するといいだろう。

      リンスインシャンプーの分子

       リンスインシャンプーのリンス分子は、通常のリンスよりも長いもの(ポリマー)を利用する。

      リンスインシャンプーの分子

      リンスインシャンプーのしくみ

       汚れを落とすシャンプー効果と、しっとり感やさらさら感を出すリンス。2つの効果が得られる不思議なしくみを解明しよう。

      リンスインシャンプーのしくみ

身のまわりのすごい技術大百科

涌井良幸

KADOKAWA

第3章 生活用品のすごい技術より

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